プロローグ
とある面倒臭い神様が創った、創ってしまった世界。
既に使い古された勇者が魔王を倒し世界を救うという機構。ありきたりな王道を軸に、しかしその他のあらゆる設定があまりにもドカ盛り。若気の至りの負の遺産。
武器一つを取って見ても、材料はどこの物か、製作者は誰か、作った時の環境は……等々と無駄に多く全てが能力に影響する。勇者どころかアイテム屋の主人さえも投げ出す始末。
武器だけでもそれなのに、ダンジョンや世界の作りは更に複雑怪奇。隠し道の無いダンジョンは無く、そのパターンや内部のギミックも底意地が悪い。最奥に何も無いダンジョンは当然の様に無数にあり、大いに勇者をガッカリさせる。
数多くの勇者が挑み、敗れ、或いは『こんなクソ世界知ったことか!』と投げ出されてしまった。
しかしそれでも勇者達は諦めず、遂に魔王を討ち世界を救う。
物語はこれでめでたしめでたし……とはならなかった。
隠しダンジョンの更に奥、そのまた気が遠くなる程奥の一室。
その最奥に、創造主の神さえも忘れていた魔神がいた。
自身を取り巻くクソ世界の事など露知らず
『勇者君がいつ来ても良い様に、ちゃんと準備しとかないとね』と意気込んで。