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天使の狂想曲  作者: ムイミ
4/5

初陣

コンコンコン

扉を叩く音が静かな朝の部屋に響く。

「はーい今行きますよー」

朝からやってきたのは、恐らく昨日家に来たガレウスだろう。

「返事は決まったか?リマエル」

「ああ」

「なら早速聞くとしよう」

「命令に従うよ、天使王直属騎士第二部隊に入隊する」

昨日カルマと話し合って決めた。

「そうか、なら今日この十億タースで、入隊にあたり、必要なものを備えに行ってくれ」

と言われ、手渡されたのは十億タース、入隊にあたり必要なものとは、装備などだろう。

「わかった、いつから部隊に行けばいいか教えてくれ」

「あぁ、三日後に大規模な、魔王軍の大軍が来るとの予想だ、それにカルマ殿とリマエルに、参加して欲しいとの事だ」

三日後かなかなか早いな、まあなんとかなるだろう。

「分かった、ありがとう」

私は軽く会釈する。

「では、これで失礼する」

ガレウスは家の扉を閉めて、帰っていく、ガレウスと入れ違うように階段を降りてきたのは、カルマだ。

「お姉ちゃん、おはよぉー」

あくびをしながら降りてくる

「うん、おはよう、早速だけど、ご飯食べたら、買い物行こっか」

「いいよ!でも何買いに行くの?」

「昨日、天使王直属騎士第二部隊に入隊するって言ったよね?そのための装備などを買いに行くんだよ」

「そーなんだ、分かった」

朝食を食べ終えて、街に出る私とカルマ。まず、魔法を撃つための、杖を買いに行く、

「ここだね」

私の行きつけの、杖屋だ、

「ここでは、カルマ、君にあった杖を探そう」

「どうやったら見つかるの?」

「そうだねー、まずは感覚かな」

そう言って、私の杖を見せる

「この杖、私は直感で選んだよ、見つけるというより、惹かれ合う感じかな、まっ、カルマもそのうち分かるさ」

「そーなのかなー?」

と言って、目をつぶるカルマ。

「どうしたの?」

そう言った矢先。

「あった!」

カルマが何かを見つけたみたいに、ある杖の所へ歩み寄る、

「これって、まさか・・」

そこにあったのは、初代天使王のニネシスの杖だった。

「この杖が、僕を呼んだの」

簡単に言うけど、そんなの本当に才能があるものにしか出来ない。話によると、初代天使王もこの位の歳に、この杖と巡り会ったそうだ。しかも、初代天使王は、最後の左利きの魔術師としてとても讃えられたとか。もしかして、と思った時だった。

「お客さんそれは、初代天使王の杖なの、結構高いけど、大丈夫?」

店員さんが来た。

「具体的にいくらぐらい?」

「そーね、値札によると、五億タースね、」

五億タース、その言葉にびっくりする。

杖は、高くても一億タースぐらいだ。それが五億タースって、高すぎませんか?

「ちょっと高いね、でも、この杖には色々と、初代天使王が残した付与が付いてるの。この杖が本当にあなたにあってるのなら、とんでもない魔術師の誕生だわ」

「試し撃ちとか出来るの?」

そう聞いてみた。

「はい、出来ますよ。こちらえどうぞ」

そう言われ、天使の集いのような、ドームに入った。

「では、存分に試し撃ちして頂いていいですよ」

店員さんがそう言ってから、カルマは詠唱に入る。

「今宵魔術は、完成する・・青く煌めく水の精霊よ、汝の力をここに示せ」

水魔法≪サブマージョン≫、杖があっているせいか、天使の集いの時よりも、格段に威力が上がっている。カルマが、次の魔法を詠唱する。

「今宵魔術は、完成する・・赤く蠢く炎の精霊よ、汝の力をここに示せ」

炎魔法≪アブレーション≫、やはり威力は上がっている

「お客さん!ストップ!店の壁が壊れます!」

その声を聞きカルマは詠唱を止める。壁を見てみるとヒビが入っており、今にも崩れそうだ。

「ごめんなさい」

カルマが頭を下げる。

「いえいいんですよ。貴方ほどこの杖にあっている人、始めてみましたから」

店員さんの言い方から推測するに、かなりの人がこの杖を、使ってみようとしたのがわかった。

「カルマ、この杖が君にあってると思うよ」

「そうかな」

「うん。店員さん、この杖買います」

「わかりました、ありがとうございます」

その後も色々買い物をして、防具などを買った。

そして、魔王軍到来の当日。張り詰めた空気の中、私達は天使王直属騎士第二部隊に向かう。

「カルマ、今日は絶対勝とうね」

「うん」

カルマも緊張しているのか、返事する声が少し震えていた。そして天使王直属騎士第二部隊に付く。

「おはようございます、カルマとリマエル来ました」

「貴方達が新しくこのたいに入った人達ね、初めまして、私はこの隊を率いています。タセロ、と申します。よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

「お願いします」

優しげな人だと思った、だがその目は少し、切なそうであったことに、私達は気づかなかった。

「簡単にこの隊の説明をします。この隊は、天使王直属騎士の中でも、最前線で戦う部隊です。一度戦場に行ったら、帰ってこられる保証は出来ません。」

まぁ、戦場ならそうだろうな、しかも、最前線てことは、余計に生存率は下がる。

「そこまではほかの舞台と変わりません、最前線、というのを省けば、ですが、この隊には、一つ特殊なところがあります。それは、二人一組で戦うということです」

二人一組、だと?そんなことできるのは、よほど信頼している者同士でないとできないぞ。そう思った時、なぜ私までこの隊に呼ばれたかが分かった、カルマと私をペアにさせるためそうしたのだろう。

「後一時間で魔王軍の大軍が来ます。準備に入ってください!」

「わかりました」

タセロの声を聞き私達は、準備に入る。そこからの一時間は、私が生きている中で、一番早かったかもしれない。

「カルマとリマエル、準備完了しました」

「わかりました」

魔王軍到来まで、後十分、そろそろ魔王軍が見えてきてもおかしくない時間。張り詰めた緊張感が一人の声でかき消される

「進軍しろー!!」

天使王直属騎士第二部隊隊長のタセロの声だ。その声を聞き第二部隊隊員が、我先に、と声を出し前進する。この隊に戦略などない、自分の力の全てを尽くし、命に変えても敵を倒す。・・ただそれだけだ。

私達も、前進し、ついに、魔王軍との全面戦争が始まろうとしていた。その時の私達に、不気味な笑を浮かべる者がいるとは、知らず。

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