表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使の狂想曲  作者: ムイミ
1/5

偶然か必然か

血潮が飛び誰かがどこかで死ぬ場所で、私は一人の人間に出会う。その少年は幼くひ弱そうに見えるが、その瞳に宿す、鋭く刺さるような闘士。それに私は惹かれた。

天使と悪魔が戦争を始めてから約二百年、だいぶ景色が変わったし、護るべき人間も少しずつ減り、いまではほとんど見なくなった、

「はー、何してんだろ私」

不意に出てしまった本音に驚いた

ガサッ

「誰だ!!」

何かが動く音がして、すぐに後ろを振り返り臨戦態勢になる。悪魔が天使の結界を破り侵入したのかもしれないので、草むらをかき分け確認する。しかし、そこにいたのは一人の少年だった。

「君、ここで何してるの?」

優しく話しかけてみる、人間の子供と接する時はそうしろと、どこかの本で読んだからだ。

「ここどこ?」

人間の子供は、何もかもがわからないというような声で質問して来た。

「ここは、天使の都、聖タリウム」

私は、人間の子供の質問に答えることにした。

「???」

頭の上に、いくつかのクエッションマークが付いているかのように、小首を傾げる人間の子供。こちらからも少し、質問をしてみる。

「君名前は?」

流石に、人間の子供、と呼ぶのは面倒なので名前を聞くことにした。

「分かんない」

下を向き、しょんぼりしている人間の子供。困った、記憶がないのは勿論だが、人間の子供、と呼ぶのも面倒だ、思い出すまで私が考えた名前で呼ぶか。

「君、今から君はカルマっていう名前ね」

多少無理矢理だがなんとか名前が決定した。

「カルマ?」

「そう!カルマ!」

強引に名前を決め、次の質問に移る。

「なんでここにいるかわかる?」

駄目元で聞いて見た。

「メリラス」

「!!」

不意に出て来た、メリラスという言葉に戸惑った。メリラス、それは、私達を統率し、今の戦争でどの統率者よりも功績をあげている、大天使という位の天使だ。だが、彼女には裏の顔があると噂されている、その噂と言うのは、人間の子供を触媒とした大魔法を研究している、と言うものである。嫌な予感がする。

「メリラスがどうしたの?」

聞いてみることにした。

「その人が、僕を呼んでた」

「どんな風に?」

「頭の中に言葉が入ってきて、気付いたらここにいて、何も分かんなくなった」

おそらく、メリラスの記憶改竄魔法だろう、まあ、今のままじゃ何もわからないしメリラスのとこに行ってみるか。

「カルマ、今からメリラスのとこに一緒に行ってみよっか」

「わかった」

それから数分後、メリラスが居るナラマ

宮殿にやって来た。ナラマ宮殿はまず、長い階段を上らなくてはいけない。だが、階段を上る前の広場にいたのはお目当の人物、つまりメリラスが立っていた。

「やぁ、少年よく来てくれたねぇ、おゃ

珍しい客人だね」

「メリラス、君この子に何をするつもりなの」

「何をするつもり、とは人聞きの悪い、僕は何もしないよ」

やはりコイツの喋り方はウザい、て言うか、女なのに一人称が僕って・・・

「リマエル、この子がどんな存在か知ってるの?」

リマエル、と言うのが私の名前だ。

「知らないけど、君が子供を触媒として大魔法を研究してるのは知ってるよ」

「ふぅん、まあいいわ上がりなさい」

次の瞬間、視界がガラッと変わった、メリラスのテレポート魔法だろう。

「ここは、僕の秘密の研究所さ」

「こんな所に私達を連れてきて何をするつもりなの」

「別に、貴女には興味ないわ、僕が欲しいのは、その子だけだから」

「じゃあ質問を変える、カルマに何する気」

「カルマ?あぁーその子名前ね、貴女が考えたのなかなかいいわね」

不気味な笑みを浮かべながら、こちらに歩いてくるメリラス、一応カルマを後ろ

に隠す。

「なんで隠すの?」

「君が何をするかわからないからだよ」

「そこを退かないと、僕の部隊を抜けてもらうよ」

「それで脅してるつもり?子供を触媒にして大魔法を研究している奴と、同じ部隊なんて反吐がでるね」

どストレートに本心を言ってやった。

「なら良いお前なんかクビだ!!そして僕を侮辱した罪で、ここで死んでもらう!!」

急に人変わりすぎだろ、なんて言ってる暇じゃない、大天使相手にただの天使が勝てるはずがない。

「カルマ、逃げるよ!」

「うん!」

私は、大きく息を吸い叫ぶ。

「テレポート!!」

その言葉と共に視界がガラッと変わっ・・・てない!!

「ここでは、テレポート魔法は無効化されているんだよ」

驚いている私に説明するメリラス。

「くそっ!!こうなったら!!」

魔法を使う態勢になる。

「今宵魔術は、完成する・・赤く蠢く炎の精霊よ、汝の力をここに示せ」

炎魔法≪アブレーション≫を唱える、部屋はたちまち炎に包まれる。

「ふぅん、なかなか良い技を使うね」

メリラスは後ろに飛び魔法を使う態勢に入る。

「今宵魔術は、完成する・・青く煌めく水の精霊よ、汝の力をここに示せ」

水魔法≪サブマージョン≫部屋の炎を完全に消された。

「チィ!」

どうすれば良い、腐っても奴は大天使、たかが天使の魔法でどうにかなる相手ではない、しかも魔力のキャパシティも断然相手のが有利、せめてカルマだけでも逃す方法は無いか、

「お姉ちゃん、大丈夫?」

そんな声と共に手を握ってくるカルマ、ん?何かがおかしい、なんだこの、魔力が込み上げてくる感覚は、私は驚いてカルマの方へ振り向く。

「!!!」

そこにいたのは蒼く発光するカルマだった。なんだこの包まれるような柔らかい魔力は、今ならどんな魔法だって使えるような気がしてきた、だから思いっきり撃ってみることにした。

「今宵魔術を、改変する・・赤く蠢く炎の精霊よ、汝の力をここに示せ」

上級炎魔法≪メギドフレイム≫いつもなら撃てるはずのない魔法が、簡単に撃てた、その喜びと共に一つの違和感を覚ている瞬間だった。

「テメェ!僕の服に煤がついたじゃ無いか!」

さすがは大天使、上級魔法でも簡単には倒せない・・・さあ、ここからどうしようか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ