表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/13

7話雨の日に

学校のチャイムの音がなり、一限目の授業が終わる。僕は席に座りながら、チラッと隣の席の雨坂さんの様子を見た。彼女は両手を机の上で組んでそれを枕がわりにするように頭を乗せて眠っていた。


今は話しかけるのは、よした方がいいだろうと思い僕は次の授業の準備をする事にした。


昼休み


やっと雨坂さんは机から顔を上げた。どうやら、眠りから覚めたらしい。手で口元を少し隠しながら、小さくあくびをしている。その姿がまるで、昼寝から起きたばかりの猫のような姿を連想させて、見ているこちらとしては少し和んでしまった。


僕はおそるおそる声をかけて見た。


「雨坂さん。おはよう。いい夢は見れた?」


すると雨坂さんはまだ眠たそうな顔でこちらを見て答えた。


「別に、どんな夢を見ようが山城君には関係ないでしょ?じゃあ私、桜と待ち合わせしてるから行くね」


と言って席を立って教室から出ていった。僕はその姿を見送ってから、鞄の中から弁当箱を出して食事をする事にした。


放課後。


上履きから、靴に変えて外に出てみるといつのまにか雨が降っていた。そんなには強くない見たいだけど、今日は傘をを持ってきてないので、少し困った。


仕方ない。服が多少、濡れてでも帰るかと思い、歩き出そうとした時に、玄関先で1人たたずんでいる雨坂さんを見かけた。僕はゆっくりと近づいて話しかける事にした。


「傘忘れたの?」


雨坂さんは少し不機嫌そうな顔で答える。


「そうね。忘れたわ。今日は雨が降るとは思わなかったから、そういう山城君はどうなの?」


「僕も持ってきてないよ。一緒だね」


雨坂さんは呆れた顔をして、言った。


「まあ、通り雨みたいだから、ここで待っていれば、止むでしょう。あなたはどうするの?」


「じゃあ僕も一緒に待とうかな。いい?」


「別にいいけど、私は喋らないからね」


そう言って雨坂さんは口を閉じた。僕は何をするでもなく、雨坂さんの隣に並んで、ただ雨が上がるのを待っていた。今はほんの少しでも一緒にいられる事が嬉しかった。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ