4話夢の中に
夢を見ていた。私がまだ、左目を失ってから、間もない頃、ちょうどその日は高校の入学式で体育館には、入学を待ちに待った生徒達でいっぱいだった。
校長のありがたい話しやら、高校生になってからの心構えなどのお話しとやらが延々と続いている
私の入学したところは公立の高校で、特に変わった学校ではない。進学校でもなく、かといって偏差値が低すぎる事もない。
指定服は学生服で私は紺色のブレザーに縞柄の赤いネクタイと、チェック柄の赤いスカートといった格好で、その他の生徒達と一緒に話しを聞いていた。ちなみに男子生徒の格好は、ブレザーとネクタイは一緒で、下は紺色のチェック柄のズボンだ。
あまりに話しが退屈だったので、あくびが出そうに鳴るのを必死に堪えながら、左目の黒い眼帯のズレを直していた。
早く終わらないかな。この話し。説教臭くて嫌になるな。真剣に聞いているやつ何ているのか?っと考えていると、ようやく校長の長い話しが終わった。
生徒達は、一息つき、ぞろぞろと体育館を後にしていく。私もすぐに移動したかったが1時間も立ちっぱなしだったせいか、足が痺れていて少し歩きづらかった。
それでも少しづつ体育館の出口を目指して歩いていると急に何かにぶつかった。目を凝らして見るとそれは男子生徒だった。
私は片目がないせいで平衡感覚がとりづらく奥行きがわかりづらくなってしまった為、そこに人がいるのに気づかずぶつかったらしい。
すると男子生徒は声を掛けてきた。
「君。大丈夫?怪我でもしてるの?」
どうやら、私の眼帯を見て怪我か何かと勘違いしているらしい。まあ、仕方ない。こちらの事情など知らないのだから
私はその時、初めて山城陽介と出会った。