12話高台で
奏に案内されて、僕たちは車で高台の街が見渡せる所に来ていた。周りには休憩用のベンチ、そして林道しかなかったから、僕と奏はそのベンチに座った。隣にいる奏が声を掛けて
「やっぱりこから、見る景色は綺麗だな。もう夜だから、灯りだけしかあんまり見えないけど」
「そうだね。もう少し早くこれば良かったかな」
奏は首を横に振って答える。
「お前に言いたい事があるんだ。今さらかもしれないけど聞いてくれないか?」
すると奏は右手で眼帯を外して僕の顔を覗きこみながら言った。
「私の左目はこんなんだから、みっともないかもしれない。醜いかもしれない。そんな俺だけど、おれはお前の事が好きなんだ。だからこんな自分で良ければ恋人として付き合ってくれないか?」
奏は泣きそうな顔をして僕を見つめる。外した眼帯を握りしめながらそう言った。左目のある場所には義眼が入っていて、赤い宝石のような瞳が輝いていた。僕は奏を真剣に見つめて言った。
「僕も奏が好きだよ。たとえどんな姿でも構わない。その眼帯もその瞳も綺麗で可愛いいよ」
「何だよ。可愛いいって馬鹿!こっちは真剣に悩んでるのに。けどいいんだな?こんな私が恋人でも?」
奏は少し不安そうに僕を見ながら問いかける。
「いいよ。僕は奏だから、付き合いたいんだ。これからは恋人として、それから友人としてもよろしく頼むよ」
奏はほっとしたのか、しがみついてきて顔を僕の肩に乗せた。多分。顔を見られたくないんだろう
「なんだ。これなら、もっと早くに言えば良かった。本当に自分が馬鹿みたいだ。あーあ」
奏はそう言いながら少し右目を閉じながら両手を僕の背中に回してきた。
僕は奏の頭を優しくなでながら夜空の星を見上げる。しばらくは、このまま何も考えず奏のぬくもりを感じていたかった。




