10話遊園地で(前半)
やっと仕事が一段落したので、僕は奏と一緒に朝から遊園地に来ている。休みの日だというせいも合ってアトラクションなどは長蛇の列だ。奏は落ち着きがない様子で辺りを見渡して僕に声を掛けた。
「陽介。早く行こうぜ。何ぼーっとしてるんだ?」
僕は入園料のチケットを買うので並んだだけで少し疲れてしまった。まさかあんなに長い時間ならばされるとは思わなかった。
「わかったよ。どこから行くの?」
僕は少しため息を吐きながら答える。奏は少し腕を組み悩みながら、言った。
「とりあえず、片っ端から、全部回って行こうぜ。時間が、かかりそうなやつは後回しにしてさ」
「うん。いいよ。ただし、時間が許す限りだからね。あと僕の体力が持てばの話しだけど」
奏は嬉しそうに口元を上げ答える。
「じゃあ。あの赤い扉があるお化け屋敷から入ろうぜ!何か面白そうだし」
僕はなんとなく、嫌な感じがしたけど、いいよと答えて頷く。奏がこんなに楽しそうにしているのに水をさす気にはなれなかったからだ。
奏は僕に近づくと無理やりに腕を引っ張って歩きだした。別に逃げるつもりはこれっぽっちもないのだけれど、
それから、しばらくして色々な所を回った頃には夕方になっていた。最後に奏は観覧車に乗りたいと言い出したので、一緒に乗る事にした。
観覧車のドアを従業員の人に開けてもらい、僕と奏は順番に中に入った。ゆっくりと下から上に流れて行く感じは少し落ち着かないが、対面に座っている奏を見ればなんとか、落ち着きをたもてる感じがした。
「なんか、お前、少し落ち着きがないな?怖いのか?」
僕は誤魔化すように答えた。
「そんな事ないよ。奏がいるから、全然そんな気分じゃないから、大丈夫だよ」
奏は少し照れた様子で答える。
「何を馬鹿な事言ってんだ。恥ずかしい事言うなよな。全く」
どうやら、一応話しをそらせたようだ。良かったと考えていると、観覧車はようやく折り返し地点の頂上付近にたどり着いたようだ。




