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乙女の覇権安定論 ~力を求めし者よ、集え!~  作者: 内藤ゲオルグ


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初めてのお手並み

 甲板から遥か遠くに見えるのは、活発に出入りする小さめの船と多くの人々が行きかう港の様子だ。

 そこはある小国家群に属する町。船で運ばれた鉱石が次々と陸揚げされる光景が見られる。百三十キロほど離れた鉱山島から運ばれてきた物だ。

 海賊の目を掻い潜るか、上手く逃げおおせた果てにここに至る。リスクを承知してでも旨味のある仕事なんだろう。


 でも逆にリスクとなるのは海賊だけとも言える。連なるように点在する島々によってか、鉱山のある島までは水深がそれほど深くなく、危険な大型水棲魔獣の脅威がほぼないらしい。

 魔獣のリスクを回避できるとなれば、そのための設備や装備が不要になる影響が大きい。海で物を運ぶ仕事をするなら、海賊に備えるのは普通のこと。一つ減るだけでも楽ってもんだ。


 海賊からしてみれば中途半端に船を襲うんじゃなくて、ブツの集まるこの町を略奪したほうが効率が良さそうに思えるけど、そこは町の連中も良く分かってる。

 港は半ば要塞のように防御を固め、陸上戦力としても傭兵団を抱え込んで有事に備えてる。海では傍若無人な海賊どもも、この町には手を出せないってわけだ。


 見たところ、海賊船は付近にいない。近づけば要塞から激烈な魔法攻撃が押し寄せるからだろう。所属する魔法使いがどの程度のレベルか知らないけど、海賊船が付近に見えない事実だけでそれなりの練度なんだと想像できる。


「大きい船がいないですね、お姉さま」

「うん、聞いてたとおりね」


 港を賑わせるのは鉱石を運ぶ船がほとんどだってのに、割かし小さな船ばかりだ。これにはいくつか理由がある。


 鉱山のある島とこの港町はわずか百三十キロ程度と近く、一日あれば荷物の積み下ろし含めて往復できる距離だ。魔道具としての船は存外速く、荷物を満載にした大型船でも時速にして四十キロくらいは出るらしい。

 陸上車両は魔道具ギルドによって著しい速度制限が課せられてるってのに、船にはそれがない。この辺の理由は良くわからないけど、まあ結局は政治と金の話なんだろうね。

 とにかく、一日で往復可能なら、船員の食料や寝泊まりするための物資を積む必要だってほとんどない。


 それに大量に物資を運んでも海賊に奪われるリスクが跳ね上がるだけだ。海賊から逃げ切ろうとする速度も考えれば、積み荷が少なくても足の速い船のほうが好まれる。

 積載量や速度、価格や維持費、確保すべき船員の数など様々な要素を考えると、ここでは小型船を選ぶのが主流のようだ。これに加えて大型魔獣に襲われるリスクがないことも、防御力に劣る小型船を選ぶ理由になってる。


 小国家群はその名の通りに小国家がひしめいて争い合う地域だ。

 もっと言ってしまえば国家なんて上等なもんじゃなく、部族が幅を利かせて争ってるのと大差ない。海軍を持てるほどの予算もなければ、独自に軍艦を建造できる設備も技術もない。

 この港町は特殊な中立地帯みたいな感じで、有力商人が金を出し合って維持してるらしい。通りすがりの私たちには関係ないし深い興味もないけどね、色々と特殊な状況と事情がある。


 ただ、単純に商船が徒党を組んで海賊どもを倒せないもんなのかと思っちゃう。事情があってやれないのか、普通に難しいのか。まあいいや。


 海賊側は普段の海賊行為で物資は奪っても、船を沈めたり殺しは控えたりするのが大半という話も聞いた。

 そうやってバランスを保ってるつもりなのかもね。でも所詮は他人の財産を奪う賊だ。私たちと同じ悪党ってことで、どんなバランス調整を図ってるとしても、襲うことをためらう必要はどこにもない。


「ここに寄って行くんですか?」


 甲板で風に当たるヴァレリアは少しやつれた感じになってる。苦手な船に慣れるのは、まだ時間を要するらしい。町に寄るかとの質問は、早く船を降りたいと言ってるのと同じだ。


「ふふっ、残念だけど寄らないわ」


 私たちは特殊な集団だけにトラブルを呼び寄せやすい。無駄なことにかまける時間は惜しいから、寄り道はなしだ。

 用があるのは、もう少し南に進んだ先の港町。そこは海賊が奪った物資を売り払うためにできたような、非常にアンダーグラウンド感の強い町だ。私たちはそこら辺で海賊を襲う。練習台の訓練として。


 キキョウ紋を背負った大戦力を乗せた船は速度を落として進み、鉱山島と港町を行き来する船を横切るようにして通り抜ける。

 海賊が跳梁跋扈ちょうりょうばっこする界隈に見慣れない商船が立ち寄ることはあまりないはずだ。陸揚げされた鉱石はそのまま小国家群に散っていくから、再び船に載せられることだってない。

 中型の貨物船とはいえ、ここらの船よりは結構大きな船が珍しいのか、たくさんの視線を感じた。



 途中の港町をスルーしてからしばらく。

 星のない曇り空の夜に、私たちの船は海上で静かに時を待つ。

 鉱山島や港町が夜は稼働してない影響で、夜間は休む船がほとんどだ。夜も深い時間になれば、行き交う船はない。


 私たちの船は灯り一つ点けず、魔道具もほとんど起動させない。まるで闇の海と空との間に溶け込むよう。遠くからじゃ視界に入っても気づくのは無理だろう。

 海賊でも船乗りなら目のいい奴はいるはずだ。灯りの類は見とがめられる恐れがある。

 ただし、微弱な魔力を感知できるほどの実力者がいるとは思わない。それでもこれは訓練の一環だから万全を期してやる。


 初夏の少し蒸し暑い空気の中で、船員を除いた私たちキキョウ会一同は甲板の縁で黒い海を見下ろしてる。すると目には見えない、魔力感知に少し引っかかる程度の反応が接近しつつあった。


「港の様子からして、首尾よく行ったようだ」

「うん、騒ぎは起こってないわね」


 ずっと遠くの港町に視線を向けたジークルーネの言葉にうなずき、念のために追跡者の気配がないか広く探っておく。半径一キロメートル以内に人はいないと断言していい。

 やがて姿を見せたのは黒塗りの小さなボートだ。これも魔力感知で場所が分かってても、肉眼じゃ全然見えない。偵察に行ってた三人がそこに乗って手を振ってるらしいのが、魔力感知でなんとか分かる。


「もう通信オンでもいいわね……こちら紫乃上、三人ともお疲れ。どうだった?」

「こちらヴィオランテ、聞いていたとおりに海賊船がたくさん停泊していました。港に入りきれない船がいくつも沖のほうに浮かんでいましたから、対象はり取り見取りでした。マーキングはなるべく大きな船を選んで付けてます」


 海賊船には目印となる、微弱な魔力を発する装置を付けておく。同じようにして、この母船やボートにも波長の異なる装置が付いてる。これによって、闇の海でも迷子になることはない。


「なら余裕そうね。図面で位置の確認したいから、早く上がってきて」


 三人は多数のボートを収容する格納庫のほうに移動した。

 私たちもぞろぞろと船倉に引っ込み、三人と船内で合流。さっそく偵察の成果を紙に書かせる。これを基にして襲撃対象を割り当てていく。


「対象外の船や港の連中には気づかれずに事を終えるのが理想だ。騒がれないよう気を付けろ。制圧を終えた班は速やかに戻れ」


 いまからやろうとしてるのは、こっそりと海賊船に忍び込んでの奇襲制圧訓練だ。

 闇夜に紛れてボートで海賊船に近づき、ある程度の距離に至ったら海中から泳いで接近する。そうして見張りを想定しながらも強引によじ登って船に侵入、速やかに海賊を無力化しながらブリッジを確保する。


 ただの襲撃訓練だから、制圧後には海賊船は放棄して撤収だ。

 本番は引き込む海賊を殺すわけにはいかないから、この訓練でも殺しは厳禁。事故が起こってしまったら教訓とし、本番を想定した経験を積む。


「海賊どもは飲んだくれて油断してそうね。そのあたりはどう?」

おかに上がっている海賊は飲んで騒いで遊んでいました。ですが停泊している船にはそれなりの人員が残って警戒している様子でしたね」


 ヴィオランテは感心したように言う。

 まあ、いくつもの海賊団が集まってる状況を思えば、奴らもライバル同士なんだ。油断なんかしてられないか。船は貯えを積んでる上に命を預ける商売道具なんだから、隙を見せるわけにはいかないんだろう。


「こっちとしては油断しきってない相手は望むところよ。せいぜい役に立ってもらおうじゃない」

「言えている。では各班、目標の位置を確認次第、順次出撃だ」


 編成は七人前後の全八班。最初に班を一つだけ船に待機させ、どこかの班が戻ってから入れ替わりで出撃する。

 まだ私たちの存在は海賊どもにバレてない。今夜の襲撃はたぶん楽勝だ。でも最大限に警戒されてる状況で、やり遂げてこそ訓練だと思ってる。初回のお試しくらいは、さくっと終えて戻るとしよう。


「そんじゃあ、メアリー班長。いつでもいいわよ」

「はい、行きましょう。第一班は出撃!」


 掛け声に班員が応じて、ボートが収容された格納庫に移動する。


 私とヴァレリアはメアリーの班に同行するけど、オブザーバーみたいな立場で見学だけだ。

 対海賊戦は第二戦闘団が担当するってことで、私とヴァレリアとジークルーネは本当なら出撃しなくていい。でも待ってるだけなんて退屈だし、実戦参加の経験はあって損はしない。見学だけでも付いていく価値がある。エクセンブラにいる時じゃ、得られない経験は貴重だ。


 作戦行動の経験には、普段と違う装備を使うことも含まれる。

 なんせ海に入るんだから、いつもの装備は使えない。キキョウ会特製の外套でも、さすがに水中での活動にはまったく適さない。ちゃんとした物を一式準備したってわけだ。


 ボートに乗り込む一同は揃いの装備に身を包む。

 手と頭部以外の全身を覆うドライスーツはブーツまで一体になってて、足先から首元、手首まで完全に水を遮断する。魔道具ギルドに用意させた最高クラスの品だけに、防御力がそれなりにあるのに意外と動きやすいのがいい。しかも浮力調整が可能で、ブーツにはフィンの展開と収納機能まである。


 顔に付ける装備は二つ。目から鼻まで覆う大きなダイビングマスクは暗視機能が搭載され、闇の海中でも視界を確保してくれる上に水深や温度を表示する機能まで備える。

 口にくわえるスノーケルは、水面移動時の呼吸だけじゃなく、長時間の水中呼吸まで可能とする優れものだ。これによって空気ボンベが不要になるっていうか、ダイビング用のボンベがそもそも存在しない。スーツなども含め、さすがは『魔道具』って感じだ。


 他の装備はグローブと腰に付けた魔獣除けとコンバットナイフ、これに加えて空気抜き機能搭載の防水ポーチがある。ポーチには水から上がった時に使うイヤリング型通信用魔道具やワイヤーなどの小道具類、回復薬が小分けにされて入ってる。


 攻撃力と防御力は普段よりもずっと下がってるけど、それを補って余りある鍛え抜いた力が私たちにはある。それを発揮する場面だ。



 海に飛び出したボートは、波の音に紛れるほど小さな音しか発さない。

 狭い場所に身を寄せ合うようにして乗っかりながら、遠くにある目標の魔力反応を見据える。私たちの目標は港のほうじゃなく、沖に停泊してる船。その海賊船は三隻編成で固まってるけど、襲うのは手前の一隻だけだ。


「この辺りで停めます」


 運転役の娘がエンジンを切り、別の娘がアンカーを下す。あとは海中を移動し、海賊船に乗り込む流れだ。

 みんなが無言でイヤリングをポーチに仕舞いながら水中装備を装着。班長のメアリーが全員の様子を確認すると、いよいよ海に飛び込んだ。


 事前に何度も訓練を繰り返しただけあって、水中での動きもみんな慣れたものだ。迷いのない動作で目標に向かって泳ぎ進んでいく。

 フィンの生えた足を力強く動かし、ぐんぐんとマークした魔力反応に近づく。海賊船の傍に至ると水面から完全に海中に身体を沈めて様子をうかがう。


 魔力反応で甲板や窓際にいる見張りらしき海賊を観察しながら、目視でも捉えるために船の周りを一周する。

 作戦は事前にどうするかある程度決まってる。あとは実行するだけだ。


 甲板だけじゃなく船内まで含めて魔力反応を一通り確認し終えると、それぞれが定めた襲撃ポイントに移動。合図もなく、おもむろに始まった。


 メアリーたちが見張りの目の届かない場所に向かって、鉤爪を付けたワイヤーを投げる。私とヴァレリアも即座に同じように投げ、引っかかりを確認すると一息に登ってワイヤーを回収。メアリーの近くで身を潜めながらイヤリングを装着した。濡れた耳に着けるのがちょっと嫌だけど、しょうがないと諦める。


 ただ通信用魔道具を装着しても、基本的にほとんど使わない予定だ。使うのは何かしらのトラブルが起こった時のみ。通信圏内にはほかの船に乗り込む班もあるから、各班の細かいやり取りが垂れ流し状態になると混乱の元になってしまう。班毎にチャンネル設定ができないと、こういう時に不便だ。


 浮かんだ余計な感想を振り払う。ゆっくりのんびりする場面はない。

 休む間もなく、今度は同行する娘が見張り役と思われる海賊の背後に忍び寄り、口を塞ぎながら頸動脈を押さえて締め落とした。鮮やかな手並みだ。


 ほかの場所でも続々とメンバーが船に乗り込んで動き出してる。

 甲板の見張りを倒せば、あとは魔力反応を探りながら船内での戦闘になる。メアリーはブリッジを目指すらしく、なんとなくの当たりを付けつつ船内に侵入した。



 私たちの本命は軍艦を使ってる海賊だから、ここらのチンケな海賊船とは大きさがまったく違う。船内構造が事前に分かってなくても、ある程度は推測できるし探索範囲もそう広くない。

 問題は海賊船てのは非常にごちゃごちゃしてる点だろう。

 軍艦含めて魔道具の船ってのは、文字通りに魔力で動くから風を捕まえてどうこうって動力じゃない。だからマストも無ければ帆だって無いのが普通。


 ところがどっこい、海賊船てのはそこが違う。大抵の海賊船にはマストと帆があるんだ。

 理由としては帆に魔法で風を当てて増速するとか、高いマストが見張りに重宝するとか、マストからロープを使って他の船に乗り移るのに便利だとか、色々と理由はあるらしい。

 私としてもやっぱりマストと帆があるのは、ヴィジュアルがカッコ良くてなんかいいわね! と思ってしまう。


 ちょっとばかり本物の海賊船に感動を覚えながらも、第二戦闘団のメンバーに遅れず付いていく。彼女たちは移動がてらに各部屋をチェックし、誰かがいれば気絶させながら進む。

 背後からなら締め落とし、正面からなら鳩尾みぞおちを殴って悶絶させる。殺さない訓練も兼ねてるんだけど、確実性と早さを兼ね備えたメアリーの技巧は冴え渡ってる。


 私とヴァレリアは後ろから見てるだけだ。見てるだけの感想としては、全体的に初めての海賊船襲撃とは思えない迷いのない動きをしてる。これは事前の訓練や素の実力、そして何事も恐れずに突き進める度胸の賜物だろう。

 うん、ウチはきっと海賊としてもやっていけるに違いない。その予定はないけど。


 そうして海賊船に乗り込んでから、わずか十分くらいで完全に制圧してしまった。

 決して広くはない船、多くはない海賊どもが相手じゃあこんなもんだろう。いや、多くないって言っても、五十人くらいは乗ってたんだけどね。初めてにしては上出来どころか、もうベテランじみた仕事ぶりだ。


「不意打ちなら簡単ですね、お姉さま」

「一方的に終わったわね。見張りはいてもザルみたいなもんだったし。警戒度が上がれば、ちょっとは違うと期待できるかな?」


 完全な奇襲が成功し、波もほとんど立ってない静かな夜だ。船上ってアドバンテージが海賊にはあったはずだけど、それが全然ないも同然の条件になってしまった影響も少しはあるだろう。

 戦闘力の差が環境によって多少は埋まらないと、訓練としてはちょっと弱い。これはあくまでも訓練だからね、襲撃が成功すればいいってもんじゃない。


「今回を教訓に次はもう少しは抵抗があると期待します」


 ストイックを体現したようなメアリーも、この楽勝すぎた結果には不満のようだ。装着したままだったゴーグルを取りながら、完勝の喜びを欠片も感じてない表情で言ってのける。


 手応えのなさだけじゃなく、妙なブツを発見したとか、女が捕まってるとかいった報告もない。色々と拍子抜けだ。

 ひょっとしたら近くにある二隻の船には何かあったかもしれないけど、メアリー団長が余計なことをすることはない。今日の目的は一隻だけだ。


「そんじゃ、そろそろ引き上げようか」

「帰りましょう」

「撤収指示します……こちらメアリー、第一班は撤収! 第一班は撤収!」

静かに海賊狩り始まりました。しかしまだほんの前哨戦といったところです。

海賊の受難は始まったばかり。次話「奇襲、襲撃、強襲!」に続きます。

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[良い点] >運転役の娘がエンジンを切り 何を隠そう、今回の話で一番びっくりしたのがここでしたwww エンジン!ですよね!動力船ですよね!魔導バイクが有るんですから そりゃ船だって動力船ですよね! …
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