キキョウ会新体制および新制度、発足!
我がキキョウ会は新たな漆黒の要塞に居を移し、大きくなった組織の規模に合わせて体制と制度を改めた。
あくまでも組織内における役職や技能認定にすぎないけど、建物と同じく気分も新たに仕事をやっていけると思ってる。
先日の幹部会を思い出しながら椅子にもたれて足を組む。
私室の仕事机に置いてあった書面を手元に引き寄せると文書を見ながら頭で整理しておく。これは複数回の幹部会を経て決定した事項をまとめたものだ。
まず左胸に付ける紫水晶のキキョウ紋バッジは、台座の色を金・銀・銅として、役職の格を三階級で明示する。
職種徽章は左腕の袖にワッペンとして装着する。
技能徽章は略章をリボンラックに取り付けて左胸に装着する。
技能徽章は獲得難易度を高く設定し、幹部会での認定を必要とすることにした。特別に誇れる資格とするため、略章とは別に記念メダルの贈呈もする。これも階級章と同じく、各種技能徽章は金・銀・銅の三階級に分かれる。当然ながら金が最難関で、銅でも取得は非常に厳しい審査を必要とする。
でもって、技能徽章の略章の柄は以下のようになった。どれも単純な図案で種類については今後、増えたり減ったりすると思う。必要や要望に応じてね。
ひとまず決まった分として、簡単な説明もおさらいしておこう。
・闘身転化徽章:これだけは特別にルピーのプレートで柄はなし。
その名のとおりに、闘身転化魔法を使いこなせる者の証。
・武器戦闘徽章:柄は斜め一本線 『/』
遠近問わず武器を用いた戦闘に秀でる者の証。武器と名は付くが無手での戦闘巧者も対象になる。
・魔法戦闘徽章:柄は斜め二本線 『//』
攻撃、防御、支援を問わず、優れた魔法の技量を示した者の証。
・魔道具取扱徽章:柄は横一本線 『─』
戦闘用や移動用の魔道具の取扱や保守、多種多様な魔道具に関する知識に秀でる者の証。
・参謀情報徽章:柄は縦一本線 『|』
様々な作戦計画の立案、情報の取り扱いや知見に秀でる者の証。
・治癒徽章:柄は十字線 『十』
怪我や病気等を癒す魔法技術と知識に秀でる者の証。
・特別能力徽章:柄は星 『☆』
戦闘や治癒以外の分野で、特別に有用な魔法や技能、知識を有する者の証。
・交渉官徽章:柄は下向き三角形 『▽』
外部との折衝において、組織を代表するに相応しいと認められた者の証。
・法務徽章:柄はバツ印 『×』
国内外の多岐に渡る法に精通し、利用する術に秀でる者の証。
・生産建築徽章:柄は二重丸 『◎』
何らかの物資を作り出すことや、建築・工作に秀でる者の証。
・文学算術徽章:柄は横二本線 『=』
難解な文章を理解し作り上げることや、算術を理解し利用することに秀でる者の証。
・研究技術開発徽章:柄は横向き山形 『>』
何らかの研究実績を上げ、組織に利する者の証。
うーん、並べてみると多いような少ないような。
まあ、これまでと同じように必要に応じて変えていけば良いから、とりあえずはこんなもんだと思う。
そんでもって、新体制は次のようになった。
【会長】:私
職種徽章柄:牡丹
獲得技能徽章:闘身転化徽章、武器戦闘徽章・金、魔法戦闘徽章・金、魔道具取扱徽章・銅、治癒徽章・金、特別能力徽章・金、交渉官徽章・金、生産建築徽章・金、研究技術開発徽章・金
【副長】:ジークルーネ
職種徽章柄:牡丹
獲得技能徽章:闘身転化徽章、武器戦闘徽章・金、魔法戦闘徽章・銀、参謀情報徽章・銀、特別能力徽章・金、交渉官徽章・金、法務徽章・銅、研究技術開発徽章・銅
【三席】:グラデーナ
職種徽章柄:牡丹
獲得技能徽章:闘身転化徽章、武器戦闘徽章・金、魔法戦闘徽章・銅、魔道具取扱徽章・銅、交渉官徽章・銀
【本部長】:フレデリカ
職種徽章柄:牡丹
獲得技能徽章:魔道具取扱徽章・金、特別能力徽章・銀、交渉官徽章・金、法務徽章・銀、文学算術徽章・金
【副本部長】:エイプリル
職種徽章柄:牡丹
獲得技能徽章:特別能力徽章・銅、交渉官徽章・金、法務徽章・金、文学算術徽章・金
【会長付警護長】:ヴァレリア
職種徽章柄:牡丹
獲得技能徽章:闘身転化徽章、武器戦闘徽章・金、魔法戦闘徽章・銅、特別能力徽章・銅
【本部付直率メンバー】:補佐2人、若衆14人、本部長および副本部長秘書官4人
【事務局長】:ソフィ
職種徽章柄:ペンとコイン
獲得技能徽章:魔法戦闘徽章・金、交渉官徽章・銀、法務徽章・銅、文学算術徽章・銅
【事務局メンバー】:伍長2人、補佐3人、若衆36人
【情報局長】:ジョセフィン
職種徽章柄:猛禽類
獲得技能徽章:武器戦闘徽章・銅、魔法戦闘徽章・銅、参謀情報徽章・金、特別能力徽章・金、交渉官徽章・金、法務徽章・銀、文学算術徽章・金
【情報局メンバー】:伍長2人、補佐3人、若衆28人
【情報監察局長】:オルトリンデ
職種徽章柄:猛禽類
獲得技能徽章:闘身転化徽章、武器戦闘徽章・銀、魔法戦闘徽章・銀、魔道具取扱徽章・銀、参謀情報徽章・金、特別能力徽章・銅
【情報監察局メンバー】:伍長2人、補佐3人、若衆20人
【警備局長】:ゼノビア
職種徽章柄:盾
獲得技能徽章:闘身転化徽章、武器戦闘徽章・金、魔法戦闘徽章・銅、参謀情報徽章・銅、交渉官徽章・銅
【警備局メンバー】:伍長2人、補佐3人、若衆78人
【広報局長】:マーガレット
職種徽章柄:紙片とマイク
獲得技能徽章:魔道具取扱徽章・銅、交渉官徽章・銀
【広報局メンバー】:伍長1人、補佐1人、若衆10人
【治癒局長】:ローザベル
職種徽章柄:薬ビン
獲得技能徽章:治癒徽章・金、交渉官徽章・金、研究技術開発徽章・金
【治癒局メンバー】:伍長1人、若衆3人
【建設局長】:プリエネ
職種徽章柄:城
獲得技能徽章:魔法戦闘徽章・銅、生産建築徽章・金
【建設局メンバー】:伍長2人、補佐3人、若衆32人
【研究開発局長】:シャーロット
職種徽章柄:りんご
獲得技能徽章:武器戦闘徽章・銅、特別能力徽章・金、交渉官徽章・銀、研究技術開発徽章・金
【研究開発局メンバー】:伍長1人、補佐2人、若衆12人
【教導局長】:フウラヴェネタ
職種徽章柄:本と短剣
獲得技能徽章:武器戦闘徽章・銅、魔法戦闘徽章・銅、特別能力徽章・金、交渉官徽章・銀
【教導局メンバー】:伍長2人、補佐3人、若衆22人
【管理局長】:カロリーヌ
職種徽章柄:女の横顔
獲得技能徽章:魔法戦闘徽章・銅、特別能力徽章・金、交渉官徽章・銀
【管理局メンバー】:伍長1人、補佐2人、若衆15人
【戦闘支援団長】:シェルビー
職種徽章柄:装甲車
獲得技能徽章:武器戦闘徽章・銅、魔法戦闘徽章・銅、魔道具取扱徽章・金、交渉官徽章・銀、法務徽章・銅
【戦闘支援団メンバー】:伍長2人、補佐3人、若衆50人
【第一戦闘団長】:アンジェリーナ
職種徽章柄:剣と斧に戦闘団ナンバー
獲得技能徽章:闘身転化徽章、武器戦闘徽章・金、参謀情報徽章・銅
【第一戦闘団メンバー】:伍長2人、補佐3人、若衆38人(以下、第十戦闘団まで同様の編成)
【第二戦闘団長】:メアリー
職種徽章柄:剣と拳に戦闘団ナンバー
獲得技能徽章:闘身転化徽章、武器戦闘徽章・金、魔法戦闘徽章・銅
【第三戦闘団長】:アルベルト
職種徽章柄:剣と弓に戦闘団ナンバー
獲得技能徽章:闘身転化徽章、武器戦闘徽章・金、魔法戦闘徽章・金
【第四戦闘団長】:ボニー
職種徽章柄:二本の剣と短剣に戦闘団ナンバー
獲得技能徽章:闘身転化徽章、武器戦闘徽章・金
【第五戦闘団長】:ポーラ
職種徽章柄:二本の剣と鎖に戦闘団ナンバー
獲得技能徽章:闘身転化徽章、武器戦闘徽章・金
【第六戦闘団長】:ヴェローネ
職種徽章柄:剣とメイスに戦闘団ナンバー
獲得技能徽章:闘身転化徽章、魔法戦闘徽章・金、参謀情報徽章・銅
【第七戦闘団長】:ブリタニー
職種徽章柄:剣と槍に戦闘団ナンバー
獲得技能徽章:闘身転化徽章、武器戦闘徽章・銀、魔法戦闘徽章・銀
【第八戦闘団長】:ミーア
職種徽章柄:剣と短剣に戦闘団ナンバー
獲得技能徽章:闘身転化徽章、武器戦闘徽章・銅、魔法戦闘徽章・銀、特別能力徽章・金
【第九戦闘団長】:リリアーヌ
職種徽章柄:剣と指揮棒に戦闘団ナンバー
獲得技能徽章:闘身転化徽章、魔法戦闘徽章・金
【第十戦闘団長】:オフィリア
職種徽章柄:剣と炎に戦闘団ナンバー
獲得技能徽章:闘身転化徽章、武器戦闘徽章・銀、魔法戦闘徽章・銀
【顧問】:ローザベル、コレット
職種徽章柄:王冠
各セクションの所属メンバーは、幹部の職種徽章に準じる。
ローザベルさんとコレットさんだけは、顧問の王冠と治癒局の薬ビンで二つの職種徽章を持つことになる。両方とも装着するか、特別対応で一個のデザインにまとめるかは好きにしてもらう。
情報局と情報監察局の職種徽章はあえて同じにしてある。以前から密な協力体制の上で仕事をやってもらってた関係もあるし、内部監査を主とするメンバーにそれと分かる職種徽章を付けさせるのは、どの立場にしても精神衛生上好ましくないだろうといった配慮もある。
私の職種徽章の柄は牡丹にしたけど、好きな花ってだけで特に深い意味はない。花言葉はたしか、王者の風格とかそういった感じだった気はするけど、それが理由とは言わない。私も含めた特定のセクションに属さないメンバーにはこれを付けさせることにした。
大変だったのはやっぱり技能徽章についてだ。各々の獲得技能徽章については相当なすったもんだがあった末、今の状態になんとか落ち着いた。ちなみに王都で修行中のシャーロットは不在だから、私たちで勝手に決めてる。
幹部と補佐の分をまず決めるにあたって激論を交わし、誰かと比較した能力基準じゃなく、一定の能力基準を考えるのにかなりの時間を要したことは語るまでもない。
今後も揉める場面は多いと想像できるけど、優れた能力のメンバーについての議論なんだから、ポジティブに考えていきたい。
その他のメンバーが得るべき技能徽章ついては、所属セクションの幹部と補佐による推薦があった場合に幹部会で審議する。
現時点でも技能徽章を得るに相応しいメンバーはそこそこいると思ってるから、ひと通りの審査を終えるだけでも結構な時間がかかるだろう。考えただけでも面倒だけど、大変なのは最初だけと思ってみんなで頑張るつもりだ。
体制上の目立つ変更点としては、グラデーナの役職名が変わった。副長代行の呼び名は略して『代行』とされることもあって、これだと会長の代行と思われ易い事情があった。グラデーナ自身の希望もあって、この機に新役職名として副長代行から『三席』に改めたわけだ。
三席はまさに組織のナンバースリーであることを指すから、会長と副長に次ぐ存在であることを明示してる。グラデーナは姉御肌の人柄だから、幹部のみならずベテランから中堅以下のメンバーにも広く慕われる存在だ。
対外的に重要なポジションであると同時に、組織内の上と下を繋ぐ役割としても変わらず活躍してくれると期待する。
冬季の大仕事として、こうした内部の改革を敢行できたことは、今後にいい結果をもたらすと信じてる。
体制表を改めて眺めると、前回の組織再編時の人数から大幅に増やすことに成功したのはやっぱり大きい。
前の時は正規メンバー320人くらいだったはずが、今は830人くらいになってる。倍増どころじゃないし、見習いも含めればもっと多くなった。
でも、私はまだまだ満足しないし忘れてない。前の時には十倍くらいには拡大したい考えたんだ。それを思えば倍増、三倍増程度じゃまだまだだ。
クラッド一家だって勢力を拡大してるから、今のウチと比べてもまだ二十倍以上は大きな組織になってる。アナスシア・ユニオンは世界規模の組織だからもっと凄い。
ウチは個々の能力、特に戦闘能力が尋常じゃないから、単に人数だけで戦力を比較できるもんじゃない。だけど人数が多いってのは、単純な戦力とは違う『力』を持つことになる。
そう、私がなんで人を増やそうとしてるかと言えば、数ってのは色々な意味での『力』だからだ。
集団戦闘における強者とは、普通に考えると人数が多いほうを指す。ほかの大組織に比べてまだ人数の少ない私たちは、そういう意味だとは弱者と定義される。これは個々の能力がどうこうって話じゃなく、現実としてそうなんだ。
いつ如何なる時でも弱者戦略が通用するもんじゃない。タイマンや目の前に敵が全員やってきてくれるなら、私たちは連戦連勝で勝つことは可能だ。我がキキョウ会は規格外に個々の戦闘力が高いからね。
だけど、そんな都合のいい展開なんて考えるべきじゃない。敵の身になってみれば、勝てない存在がいるなら避けて通ればいいんだ。そいつの殺害が目的じゃないなら、無理に戦う必要はない。人数が多いなら、多方面から様々な策を実行できる。
それに対して人数が少ないとできることの範囲が狭くなる。考えるまでもなく当然だ。
もし超強い人が一人だけいたとする。どんなに強くたって二か所も三か所も同時に守ることはできないし、どこか一つを守ってる状態で固定されてしまう。攻めることも応援に行くこともできないし、打開策を考え付いても別の何かをする手がない状態だ。一人なんだからね。
その状態はもう負けに等しいんじゃないだろうか。もっと言えば、戦う前からすでに負けてるってことだ。
こっちが十人に対して、相手が二十人くらいならまだいいかもしれない。だけど百人だったら、二百人だったら、千人だったら?
そんなのは個々の実力で覆るような状況とは違う。強者個人がやられなくても、手の届かない所にある守るべきものが守れない。
少ないなら手が回らないのは当然。守るだけじゃなく手を広げようとするなら、もっともっと人数が必要になる。実行部隊だけじゃなく、様々な角度から支援する人たちだって、相応に必要な人数は増えるんだ。
単純明快で、とにかく人数が多いってことは有利になる。そして私はそれが必要だと思ってる。
これは戦闘だけじゃなく、商売にだって当てはまる。手広くやろうとするなら、少ない人数じゃできっこない。
現状での私たちのライバルである、クラッド一家とアナスシア・ユニオンは巨大な組織だ。それと比べれば、ウチは儚い組織とすら言える人数でしかない。
現状で伍する立場にあること自体が異常なことだ。エクセンブラでの立場の維持にももう少し人数が欲しいと思ってるのに、私たちはまだ手を広げたいと思ってるんだからね。人数がもっともっと欲しい。
特にこれからのブレナーク王国は旧レトナークを呑み込んで、大きな国土を得ることがほぼ決まってる。ウチは港の利権を狙ってるから、そっちにもっと人をやらないといけなくなるし、エクセンブラの支配を固めつつある今、外に目線を向けてもいる。
基盤となるエクセンブラに多くのメンバーを確保しつつ、色々な場所に人をやるためには、まだまだまだまだ人手が必要だ。個人の戦闘力が高いだけじゃ、そういったことができない。
状況が変わった今、目標はさらに高く上方修正だ。
少なくとも現状からの五倍増を目指したいと強く思う。そこまで至って、ようやく何をやろうとしても人手不足とは思わなくなるんじゃないかと思ってる。
こうして組織改革を行ってるうちに、長い雪の季節にも終わりが見えてきた。
雪解けと同時に、私は予定のとおりドンディッチに行くつもりだ。
少し前に闘技場へのテロを目論んでくれた落とし前を付けに行く。
雑事はさくっと終わらせて、忙しくなる春と夏に備えないとね。
完全なる説明回でございます。
前回の組織再編時もそうでしたが、今回も拡大する組織にとって必要な措置だったと考えています。特に各人の技能徽章のついては悩みました。その前にはどういった種類を用意するかも悩みました。ひょっとしたら、あとでちょこっと修正するかもしれません。
ほかにも職種徽章のイメージや略章の図案なども、色々と決め事が多くこうして投稿後もあれで良かったのかと思わないでもありません。考えていて面白かったのですが難しかったです。余談ですが、記号は環境依存文字が多くて難儀しますね。
ストーリー的にキリが良いので、登場人物一覧を更新しようと思います。気が付けばもう二年近く更新していなかったようです……。マジかよって感じですね。
近々更新の予定です! 済みましたらどこかでお知らせします。