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キキョウ会、再構築

 まだ寒い、それでも春の息吹を感じつつある頃。

 キキョウ会は新体制で歩みを進めることになった。


 これまで組織の増強に努めてきた結果、メンバーは大幅に増え、新規に始めたホテル事業やドンディッチとの取引も順調極まりない。

 やるなら今しかないということで、前々から考えてた組織の刷新を実行したんだ。


 人員が増え、シノギが増え、そしてこれからも増える見込みのキキョウ会は、今までの体制では持てるポテンシャルを十分に発揮できない。

 今までにも新規の班を作ったりはしてたけど、もっと大胆な組織再編に踏み込むことになった。

 幹部会で取り決めた結果、次の形に移行したんだ。変わらないところもあるけどね。



 ■キキョウ会新体制


【会長】:私(留任)

【副長】:ジークルーネ(留任)

【副長代行】:グラデーナ(留任)

【本部付直率若衆】:8人(★新設)


【会長付警護長】:ヴァレリア(留任)


【本部長】:フレデリカ(留任)

【副本部長】:エイプリル(留任)

【事務局長】:ソフィ(留任)

【本部付事務局若衆】:22人


【情報局長】:ジョセフィン(留任)

【情報監察局長】:オルトリンデ(★新任、情報統括室副長から異動)

【情報局・監察局付若衆】:30人


【警備局長】:ゼノビア(★新任)

【警備局付若衆】:34人(★新設)


【広報局長】:マーガレット(★新任)

【広報局付若衆】:4人(★新設)


【治癒局長】:ローザベル(★新任)


【建設局長】:プリエネ(★新任)

【建設局付若衆】:14人


【研究開発局長】:シャーロット(★新任、第五戦闘班副長から異動)

【研究開発局付若衆】:5人(★新設)


【教導局長】:フウラヴェネタ(★新任、若衆から抜擢)

【教導局付若衆】:4人(★新設)


【戦闘支援団長】:シェルビー(留任)

【戦闘支援団付若衆】:18人


【第一戦闘団長】:アンジェリーナ(留任)

【第二戦闘団長】:メアリー(留任)

【第三戦闘団長】:アルベルト(留任)

【第四戦闘団長】:ボニー(留任)

【第五戦闘団長】:ポーラ(留任)

【第六戦闘団長】:ヴェローネ(★新任、第一戦闘班副長から異動)

【第七戦闘団長】:ブリタニー(★新任、第二戦闘班副長から異動)

【第八戦闘団長】:ミーア(★新任、第三戦闘班副長から異動)

【第九戦闘団長】:リリアーヌ(★新任、第四戦闘班副長から異動)

【第十戦闘団長】:オフィリア(★新任、遊撃隊長から異動)

【戦闘団付若衆】:各13人


【顧問】:ローザベル、コレット(留任)


【管理局長】:カロリーヌ(予定)

【管理局付若衆】:5名程度(予定)




 体制表を眺めると、これだけでなんかウチも大きくなったと思えてくる。セクションごとの長と若衆の人数を並べただけだってのにね。ここには書いてないけど、各部署には副長格の人員だっている。

 キキョウ会の人数は、以前に役職を決めた時には見習いを含めても百人足らずだった。あれからかなりの日数が経過して、今となっては正規メンバーだけでも三百二十人くらいにまで増えた。大変な人数だ。さらにはまだ見習いだっている。

 大きくなってきたなって思うし、なかなかに感慨深いものはある。この新体制でさらなる飛躍を成し遂げるつもりだ。


 それぞれの役割に思いをはせる。



 まず組織のトップを務めるのは無論、会長の私となる。副長、副長代行がそれに次いで、事務方のトップはフレデリカが変わらず務める。それ以外の局長や団長は同格として上下関係はないものとする。これは今までと変わらない基本だ。


 『本部付直率若衆』は、私と副長、副長代行が直接自由に使える戦力として新たに組織した。必要な時に他の戦闘団から人を動かす必要をなくして、柔軟な運用を可能とする部隊として使うことになる。

 直率は新人ばっかりで編成したんだけど、ジークルーネとグラデーナが暇つぶしも兼ねて鍛え上げてくれるんじゃないかと期待してる。いつの間にか精鋭になってそうよね。


 ヴァレリアには部下を持たせる案もあったけど、本人の希望もあって自由に動かしやすい今のままの立場とした。

 それに私には護衛が何人も必要じゃないし、妹分がいるだけで十分。そんなわけで相変わらず単独の『会長付警護長』となる。


 事務班は『事務局』と呼称を変えたけど、今までの幹部にはそのまま継続して仕事をしてもらう。

 今回、それぞれの事務局幹部には、それを支える秘書官のポストを作って、幹部待遇とする若衆をそこに据える変更は加えた。実質的に事務局のトップを補佐する、重要な役割を担ってもらうことになる。


 情報統括室は、『情報局』と『情報監察局』とに分離して役割を分けた。

 情報局長を任せるジョセフィンは、室長から局長へと単に呼称が変わるだけで、役割に変更はない。

 そして情報監察局長としてはオルトリンデを据えて、これも彼女に今までやっててもらったことと差異はほとんどない。キキョウ会の内部に目を光らせるのが主な役割で、全体として人数が激増したからには、これまで以上に重要度も高まったために役割を明確化した。ジョセフィンとの連携も重要だから、これまでとやることはそう変わらないと認識してる。まぁ、この情報部に関しては、内部で相談してやり易い方法でやってくれていいけどね。

 特に重要なのは、残ったスパイの監視と元囚人を始めとした、まだ信用するには早いメンバーへの警戒を欠かさないことだ。いざという時にはしかるべき処置をする役目もあるし、情報監察局には特殊な能力を持った人材を多く配置してる。

 ただ、情報を司るこれらの部署は信用こそが第一になる。メンタルに不安がある奴もやっていけないだろうから、所属メンバーは慎重に検討しなければならない。単に能力があるからといって配置できない、なかなかに難しい部署だ。今の人員を揃えるだけでも相当な苦労があったと聞いてる。


 そうそう、スパイだけで編成した特別班は、早々に察知されて瓦解した。内部統制の強化や、もっと大胆に粛清のような不穏な噂を流したりなんだりと工夫があった結果だ。情報班が仕込みを上手いことやってくれたお陰もあって、おおむね思惑通りに進んだ格好だ。

 あからさまな圧力を前にターゲットにした全員が逃亡したんで、今じゃ割とスッキリできた。それについては色々とすったもんだはあったけど、まぁ大した問題じゃないし別の話ね。


 『警備局』はそのまま警護班から昇格して名称も変更した。警備局長としてゼノビアが正式に就任し、まずは本部と高級ホテルの警備を主な役割とする。

 構想ではいずれ、全ての拠点およびシマの警備を担当することになり、ゲストを迎えた際の警護まで担当する。

 この部署に関しては範囲も負担も大きいから、いずれはゼノビアを総指揮官にして部隊を細分化するか、戦闘団のように分割してそれぞれにリーダーを立てる可能性が高い。

 警備局長は新幹部にしては部下の数が多いけど、そこはみんなも納得してる。人数が必要なのは誰でも分かるし、専門家と呼べそうなのはゼノビアしかいない。それに彼女の実力は誰もが承知してるからね。あと役割の広さもあるから、ここには優先的に追加人員も回す予定だ。


 広報班は『広報局』として名称変更し、局長のマーガレットも正式に幹部とした。

 マーガレットのこれまでの仕事に不満はないけど、これからは部署のトップとして部下を使うことに慣れてもらいたい。今のところはまだ上手く行ってるとは言い難い状態みたいだけど、時間の問題とも思ってる。ちなみに、この部署に限って副局長は空席だ。


 治癒師の立場も明確化させた。若い治癒師たちはこれまで適当に治癒班と呼んで、ある意味じゃ特別待遇の状態にあった。

 それというのもローザベルさんとコレットさんが勝手にスカウトしてきて、弟子として鍛えるのを好きにやらせてた経緯があるからね。

 ただ組織の刷新にあたっては、曖昧な存在を排除したい思惑もあって、正式に『治癒局』として発足させた。

 普通に局長はローザベルさん、副局長にはコレットさんが就任。この部署については立場を明確化させただけであって、実情としてはこれまでと変わりない。

 実際には治癒師としての修行以外に、徐々にだけど幼い子供以外にはキキョウ会標準の教育と訓練も受けさせてるみたいだからね。キキョウ紋を背負う資格を持ったメンバーが誕生するのも時間の問題と思ってる。時間が経てば治癒局はもっと発展するだろう。


 建築班もこれまでの実績を鑑みて『建設局』に格上げ、班長で準幹部扱いだったプリエネも正式に幹部とした。

 王都遠征以降に発足させた部隊だけど、今となっては十分頼りになる連中に成長してくれてる。春から始まる予定の闘技場建設でも、その力を遺憾なく発揮してくれるだろう。



 そして今回の組織変更で完全に新規に立ち上げた部署の『研究開発局』。この局長には、刻印魔法の研究で成果を上げてきたシャーロットに、第五戦闘班副長から異動させて務めてもらうことにした。

 シャーロットの戦闘力や戦闘班の副長として磨き上げてきた能力がもったいない気持ちがありつつも、結局は研究メインの部署も必要ってことで、その代表をやってもらう。本人もどちらかと言えば研究者気質だと思うしね。


 研究開発は今後、他の組織と協力を取り付けることも考えられるから、元貴族としての見識や交渉力が大きな武器になるとも私たちは考えた。今のシャーロットなら、誰が相手だろうと舐められる心配もないし、彼女以上の適任はいない。

 それから研究開発局の副局長は、花魔法使いのリリィにやってもらうことにした。まさしく研究開発に余念がない女だし、個人能力の高さやシノギの大きさからして、幹部とすることには誰からの異論も出なかった。ただし、シャーロットとは違って、対外的な役割は期待してないから、彼女には今までどおりに好きにしてもらう。実際、好きにやらせとく方が成果も大きいだろうしね。



 もう一つの新規立ち上げ部署は『教導局』となる。ここは増え続ける見習いの基礎教育を専門的に行う部署として立ち上げた。

 訓練教官や講師は、初期の頃は適当に空いてる人員がやってきたけど、ちょっと前から本気で取り組み始めた組織増強にあたっては、優秀な若衆にその大部分を委ねてきた。そしてその成果に不足はなく、見事に結果を出し続けたのを教導局長に就任させたんだ。

 抜擢したのは、フウラヴェネタという女傑だ。今回の組織刷新で局長として取り立てたのは、若衆の中からは唯一となるわね。


 フウラヴェネタは、ヴァレリアと近い犬系の獣人だ。外見年齢は三十歳くらいの感じで大人っぽく、穏やかな雰囲気ながらもどこか厳しそうな印象も受ける。武器の扱いも剣と弓に秀でて、水魔法も第四級まで行使可能な実力がある。それに見識も広い。

 ウチにきた時から凄く優秀で、即戦力として戦闘班に組み込んでたんだけど、すぐに物の教え方が上手いと評判になったらしい。

 試しに見習いの教官役をやらせてみたところ、これがハマった。


 たくさんいる見習いに対して、短期間で個人個人の長所や問題点まで洗い出し、教育方針を定めた報告書まで作る念の入よう。さらにはならず者の見習いたちからも個人的な相談を受けたりまでする懐の広さ。私がいくら強くたって、こうはいかない。特別な魅力の持ち主ってことになるわね。

 教育係としてこんな適任はいないし、自然と教官としての信頼を集めてしまった逸材だ。

 臨時の教官や講師を他の部署のメンバーが務めることだってあるけど、基本的にはフウラヴェネタに任せておいて間違いない。


 評判の指導を一度見に行った時は圧巻だった。

 新しい見習い連中を前にして、フウラヴェネタが語りかけた一幕だ。


「ようこそ、キキョウ会へ。わたしはあなたたちの訓練教官を任されたフウラヴェネタです。あなたたちはこれからキキョウ会の一員となるべく、見習いとしてここで生活してもらいます。今、ここにいる時点で、キキョウ会がどのような組織か、どのようなリスクがあるか、改めて説明する必要はないと思っています。しかし、これだけは言っておきましょう。見習いから正規メンバーへの道のりは遠いです。訓練は過酷を極めます。死ぬほど辛い思いをするでしょうし、実際に死んでしまうかもしれません。きっと何度も辞めてしまいたいと泣く羽目になります。辞めるのは構いませんが、その前に一度だけでも今日の事を思い出してください。それを伝えます」


 言葉を切ると目の前に並んだ一人一人と目を合わせるようにする。真っ直ぐな視線は異様な迫力をもって見習いたちを射抜いたはずだ。

 この場の空気を支配し、静けさが満ちた中でフウラヴェネタは言葉を続ける。


「……あなたたちは様々な選択肢がある中、わざわざキキョウ会の門を叩きました。理由はそれぞれでしょうが、きっと大きな可能性を感じたからではないでしょうか? この世界で、女だけで構成された組織がのし上がったことはありません。成功を収めた唯一の組織と言っても過言ではないでしょう。キキョウ会はあなたたちが今までにいた場所とは違う場所です。そしてこの訓練所は、そこに行くための準備をする場所、資格を得るための場所です。ここで頑張れば誰もが新しい場所に行くことができます。ユカリノーウェ様が治めるキキョウ会は、あなたたちがまだ見ぬ世界に連れて行ってくれます。あの人が、わたしたちが、あなたたちを連れて行きます。いつの日か、その世界でやりたいことをやってください。キキョウ会のメンバーであれば、それができます。命を懸けるに値する何かが、必ず得られます。諦めてしまうのは簡単ですが、その前に今日の事を思い出してください」


 まったく、よく言ったもんだ。

 見習いを卒業できる時点で、知識はそれなりになるし、腕っぷしだって一端のものになる。正規メンバーとして働き出せば基本的な報酬だって悪くない。それを元手に何をやってくれたって構わない。商売を始めたっていいし、趣味に没頭しても構わない。仕事の時間外なら飲んだくれたって、好きに遊んだっていいんだ。最底辺の生活を送ってたような女からしてみれば、それは夢のような話だろう。事実だけどね。


 教育係は裏方だけど、物凄く重要なポストでもある。

 フウラヴェネタはキキョウ会にきてから長いわけじゃないけど、それでも私たちは任せるべきと判断したわけだ。

 その判断は功を奏し、次々と使える人材を各部署に送り込んでくれてる。本人も楽しんでるみたいだし、これからにも期待を寄せてる期待の部署だ。



 戦闘支援班も『戦闘支援団』として格上げした。団長は変わらずにシェルビーが務める。

 役割も変更はない。戦闘団の支援を行い、道具の管理と保守もする。ただ権限は拡大して、予算の使い道については任せることになる。範囲内であれば誰の許可も要らないし、必要なことを迅速に進めてもらうためでもある。そうなれば事務局の手間も減る。

 この班も役割が広くて大変だけど、今までと変わりはないし、継続して上手くやってくれるだろう。



 戦闘班も以前からの構想の通り『戦闘団』に格上げし、同時に数も第十戦闘団まで一気に増やした。

 増やしたことにはもちろん意味があるし、これは未来を見据えた采配だ。現状だとまだ各戦闘団の人数は、団と称するには少ないけどね。

 今まで戦闘班の副長だった、ヴェローネ、ブリタニー、ミーア、リリアーヌには、それぞれに戦闘団を持たせて今後を任せる。


 これまでオフィリアに預けてきた遊撃班は、その役割は各戦闘団が随意に行うこととして、戦闘団に変更。遊撃隊長だったオフィリアは、第十戦闘団長として肩書を変えて活躍してもらうことになる。


 各戦闘団の定員は、もっと増やすつもりでもいる。これらの副団長には若衆の中から団長が選んで据えてるし、彼女たちはもちろん幹部として遇する。

 単純に幹部の数もかなり増えたけど、新しいモチベーションとなってさらに精力的に働いてくれると期待してる。



 『顧問』の肩書きはそのままとすることになった。

 ローザベルさんとコレットさんには、治癒局のトップとしての役割を正式に担ってもらうけど、私たち幹部も頼りにする年の功があるからね。これまで通りに広い範囲で色々と力を貸してもらうことになる。


 新体制表の最後にある『管理局』はまだ予定だけど、正式に発表することにした。

 カロリーヌの存在をキキョウ会の若衆に知らせる目的もあるし、色街の仕切りを任せられるのは彼女をおいて他にはいない。

 近々、幹部としてカロリーヌを迎え、その時に色街をウチが所持してればそのまま管理を任せ、なければ新しく作ることも視野に入れる。どうするかはカロリーヌに任せるけどね。

 とにかくキキョウ会には、そっちの世界で頑張ってる女たちからの問合せが多いんだ。これまでは手を差し伸べる余裕がなかったけど、状況はこれから必ず変わる。だからこその新体制だ。




 そして、副局長や副団長の名前は新体制表には書いてないけど、ほぼ全てを若衆の中から昇格させた。

 古参のロベルタやヴィオランテは戦闘団の副団長に収まってるし、情報局じゃ同じく古参のグレイリースが副局長としてこれからは力を振るう。


 それと幹部扱いとはならないけど、一部を除いた幹部には数名の補佐を付ける。『補佐』という新ポストとなるわね。

 これは次の幹部候補としての若衆に、補佐としての肩書を与えることによって、経験と責任感を積ませ、気合いを入れさせるためでもある。


 今回の刷新によって、初期メンバーがほぼ独占してた幹部の椅子は、大きく広げられることにはなった。

 それでも私を始めとした以前からの幹部の影響力が落ちたとは全く考えてない。実績と実力が、そうはさせない。新たな幹部たちだって、相応しいと認めた能力があるからこそ幹部にしたわけで、その辺を勘違いするような阿呆を抜擢してないからね。

 色々な問題はあるだろうけど、それでもなんとかやっていけると思ってる。



 ちなみに各部署における若衆の人数は確定した人数じゃなくて、これは随時増えたり移動したりで変わる。あくまでも現時点での暫定的な数字となる。人材交流や色々な経験を積ませるため、常時若衆の人事異動をすることに決まってたりもするからね。


 人数は増えたけど、完全に春になる頃にはまた増えてるのは間違いないし、春になればなったで見習いがもっと増えるとも予測してる。それも激増すると思ってる。キキョウ会の知名度は徐々にだけど高まり続けてるし、エピック・ジューンベル・ホテル&リゾーツの評判は世界中の注目さえ集めることになるだろう。闘技場のオープンだって遠くはない。キキョウ会が表に立たないつもりの事業でさえ、世間は面白おかしく騒ぎ立てるはずだ。そうなれば世界中から今以上に加入希望者が殺到する。見習いが増えれば相応に正規メンバーだって増えるんだ。そして私たちはまだまだ組織の増強を止めるつもりはない。


 そう、まだまだ、これからなんだ。

 充実はしてきてるけど、今のままじゃ五大ファミリーにとって代わるなんてとても無理。まだまだね。大きなことをやるには人数が必要だ。例えばだけど、エクセンブラで一番大きな勢力を誇るクラッド一家の構成員は、末端まで含めればおそらくキキョウ会の五十倍はいるだろう。もしかしたらもっと多いかもしれない。正確なデータはないから、ジョセフィンたちの推測にすぎないけどね。まぁ大きく外れてるってことはないだろう。


 まだまだ人数の少ない、別の言い方をすれば、まだ足りないキキョウ会。比較してみれば分かるけど、ウチは小さな勢力なんだ。人数の上ではね。だからこそもっと増やしたい。必要だってある。理想を語るなら、一年後には正規メンバーを十倍くらいまで増やしたいとさえ思ってる。今回の刷新で一気に増やした幹部も、そのくらいのメンバーが集まればちょうどいい感じになるだろう。幹部の人数をかなり増やしたのにはそういった意味もある。だって、これは将来を見据えた組織再編でもあるんだからね。


 はっきり言うと我がキキョウ会は、戦闘班なら若衆だって一角の実力者だ。幹部ともなれば一騎当千。個人の能力が異常に突出してることもあって、特に武力じゃすでにどこにも負けない戦力があるとすら思う。それでも武力だけでなにもかも解決できるわけじゃない。それに組織力の高さは個人の能力の高さを大いに覆し得る。


 他の組織だってバカじゃないんだ。むしろウチよりも遥かに狡猾だと考えるべき。長年やってる老獪な組織に比べたら、キキョウ会はまだまだ全然若い組織なんだ。自信はあっても謙虚に、油断なく。

 私は全てを預かる会長として、決してみんなを悪いようにはしないつもりだ。

 なにより私自身のために、より多くを望み、この手に収めてやる。私は欲張りだからね。色々なものが欲しい。


 これまでもそうだったけど、決して楽な道なんかじゃない。

 でもだ。キキョウ会なら、それができると信じる。


今回は完全なる説明回、そしてほぼモノローグでお送りしています。

会話形式にしてしまうと非常に長くなり、文字数的に前・中・後編などに分割した方が良い分量になってしまいます。(現状でも8000字超になってます……)

どうしようか悩みましたが、簡潔に一話で終わらせることにしました。

とにかく新体制をなんとなくでも、知っていただければと思います。合わせて将来を見据えた再編であることもご理解いただければ。


ご不明点、ご質問などありましたらお気軽にメッセージをどうぞ!

(色々と詰め込んだので、若干の不安があることは否めません……。)


組織増強を集中的にお送りするパートは、今回で一段落とします。

次回から展開が変わります。(次話タイトル未定)

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