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六番通りの新名所

 エクセンブラの状況は不穏なまま好転せず、ただ時だけが過ぎて行く。

 突如出現して蛇頭会を亡ぼしたと思ったら、裏社会の総会に奇襲をかけた上にマクダリアンらまで殺害し、忽然と姿を消したレギサーモ・カルテル。

 かの麻薬カルテルは、依然として潜伏場所を掴ませない。


 クラッド一家によれば、生け捕りにした敵からの情報も、結局は大した役には立たなかったらしい。

 どんな思惑があるのか、あの襲撃事件以降は動きも見えないし、有力な情報は何も掴めてないって話だ。

 あれだけのことを仕出かして、まさか母国のメデク・レギサーモ帝国に引き返したとは考えにくいし、機会をうかがってるだけとは思うんだけどね。うーむ、謎ね。



 五大ファミリーが忙しそうに敵の捜索を続ける一方、我がキキョウ会は己の事に邁進することができてる。

 新たに大量に加わった新人教育は順調に進んでるし、続々と正規メンバー入りを果たしてもいる。


 特に服役中の囚人からスカウトした連中は、金を掛けただけあって優秀な連中が揃ってる。奴らはやっぱり、どうしょうもない悪党ばっかりだったけど、同じ悪党である私たちとは気が合うところもあるらしく、思ったよりも早く馴染んでくれそうだ。元囚人だからって遠慮したり腫物を扱うようにする奴なんて、我がキキョウ会には存在しないからね。そりゃあ居心地は悪くなかろうとも。

 実際のところ、腹に一物抱えた奴だっているんだろうけど、そこはオルトリンデを始めとした情報班がしばらくは油断無く様子を見てくれてる。裏切ろうたってそう簡単にはできっこない。


 それに私はキキョウ会が求める能力さえあるなら、人格なんて問わないとも宣言してる。どんなぶっ飛んだアホだろうがクズだろうが、ウチの役に立つならなんだっていい。その代わりに、あだをなすようなら容赦もないけどね。

 まぁ、能力があるからこそスカウトした奴らなんだ。特に商活動のルールに明るい連中の加入は、事務班を大いに助けてくれると期待してる。



 ドンディッチの辺境伯との取引も、まずは少量から始めるってことで合意した。

 相手方に時間の余裕がないこともあってか、交渉はこっちに有利な内容でサクサクと進み、特に怪しい動きもないままに成立することができた。

 一応は誠意を見せるって意味と貸しを作る意味でも、使者であるローズマダー傭兵団には手ぶらで帰らせず、ある程度まとまった量の下級回復薬と、少量ながらも中級と上級回復も持たせて帰らせた。

 今後ともいい関係を作って行きたいところだし、こっちからブツを出してやるのはサービスだ。近々、向こうからもブツが届けられるだろう。



 そして冬真っただ中の今日、一つの成果をお披露目することができた。

「やっと形になったわね」

「ええ、軌道に乗るまで油断はできませんけれど、今日の様子を見る限りでは大丈夫そうですね」

 私たちがいるのは、我がキキョウ会肝いりで完成させた超高級ホテル。その名も『エピック・ジューンベル・ホテル&リゾーツ』。ジューンベルはキキョウ科の花の一種で、ベルのように包み込むような花弁が特徴の可愛らしい花だ。可愛らしいはともかく、キキョウ科の一種ってことで私たちの拠点として、とっても相応しい名前だと思う。


 六番通り、そしてキキョウ会の中核を担うシンボルの一つになるべくして完成させた施設だ。ここは多大な資本を注ぎ込んだ結晶とも言える重要施設。そのオープンを記念して、関係各所の知人とその関係者を呼んでパーティーをやってるんだ。


 名目上、私たちキキョウ会は表には立たないことにしてるから、パーティーの仕切りは支配人に据えた余所から引き抜いた超有能なおばさんにやらせてる。彼女も長年くすぶってた影響か、引き抜いてからは馬車馬のように働いてくれてる功労者だ。最高責任者である支配人にした甲斐があるし、これからの期待だって持てる良く働くし頭の回る優秀な人だ。


 さて、なんで人の往来が少ない冬の時期にオープンさせたかには理由がある。

 はっきり言って冬は暇な人が多い。暇を持て余した金持ちがカジノに入り浸るなんて、ここじゃ極当たり前の光景だ。

 街の有力者が他の街や他国に行くことも少ないし、そうなると街の有力者同士で社交の場を開いたり、親睦を深める、あるいは新しい知人の開拓に熱心になる時期でもあるんだ。上流階級の若者の社交界デビューが行われるのも、この時期が多いらしい。


 そこになにかと話題のキキョウ会が満を持してオープンする超高級ホテル。それもオリジナルティ溢れる趣向が満載と噂されてるとなれば、食いつかない客は少ないだろう。

 現にこのパーティー会場には、予想を上回る客で賑わってる。直接に招待した客には、家族友人知人も連れてきてくれても構わないとしたからね。それも手伝って、かなりの盛況だ。

 同業者には相当嫌がられてるだろうけど、そこは競争だからね。切磋琢磨して街を盛り上げたらいい。


 事実上のオーナーである私も、今日のパーティーへの出席を見送るわけにはいかない。

 有力者を集めたからには顔見せくらいはしないと、機嫌を損ねる奴もいるからね。無駄に悪感情を招く必要はない。まぁ、面倒に思わなくもないけど、たまにはこういうのも悪くない。昨今じゃ、粉をかけてくるうざったい奴も減ったから、パーティーに出ても問題はあんまりないんだ。


 今は一通りの知り合いに挨拶を済ませて、フレデリカと別室で寛いでる。

「ホテルは部屋の予約も含めて春まで一杯になっているようです」

 開業してからの仕切りの一切は支配人任せだ。カジノの運営からショーの手配、料理のメニューやスタッフの管理まで全部ね。

 例外として、金の監査と大きな予算の承認はフレデリカを主としたキキョウ会がする流れだ。あと警備も私たちが担当する。ここはこれからのウチの中核を成す重要施設だからね。万が一にも、想定以上のトラブルは許されない。

「いくら冬が暇だといっても、凄い人気ね。やっぱりカジノかな?」

「事前情報を撒いておいた甲斐があります。パーティーでもその話で持ちきりのようでした」

 暇人どもを引きつけて止まないのは新しい娯楽だ。カジノはどこも似たり寄ったりになりがちだけど、これまでのキキョウ会直営カジノは、女だけが一切を取り仕切るってことで、差別化を図ってきた。この新しい施設には、さらにユニークな要素を取り入れてる。


 ギャンブルの種類は数あれ、世界でここだけの真新しいモノを生み出したんだ。単純なことだけど、これは最悪失敗したとしても話題にはなる。もちろん失敗する気はないけどね。


 どんなギャンブルにおいても先達はいる。だけど、これは新しいギャンブル。似通ったものがあったとしても、新しいものであることに違いはない。となれば、コツを掴んだ熟練者やシステムを熟知した猛者もまだ存在しないことになる。誰もがルールを知ったばかりのイーブンな状態から始められるんだ。

 一応は類似したギャンブルだってあるから、完全にそうとは言い切れないんだけど、新しいってことで名目は立つからね。娯楽に飢えた連中にとっては、垂涎物の餌に等しい。


 カジノ遊びといえば色々ある。

 ダイスを使ったもの、カードを使ったもの、ルーレットにスロット、ビンゴ系もあるわね。これは世界が変わろうと、概ね似たようなゲームが多い。


 ウチのカジノが提示したのは、単純だけどダイスを使った新しい遊びと、カード自体を新しくした新規のもの。しかも雰囲気を重視するため、既存のゲームとは部屋を別にして内装も完全に別物にした。スタッフの服装も、照明も、提供する飲食物、一つ一つの小道具に至るまで徹底的に。

 この空間だけは別世界を演出して、常とは異なるゲームに興じてもらう作戦だ。この雰囲気を味わうだけでも価値あると、そう思わせるほどのクオリティを意識してる。ウチが得意としてるテーマパーク化の一種だ。


 肝心の賭博の内容としては、ダイスを使ったものでは、ありそうでなかった単純極まる『丁半博打』や『大小』、ちょっと複雑になる『チンチロリン』を取り入れた。まずはディーラーならぬ壺振りの存在がユニークだし、色っぽくてカッコいい女が場を仕切るなんて、それだけで一見の価値がある。遊びも単純なればこそ取っ付きやすい博打を皮切りに、娯楽に飢えた好奇心の強い連中はきっと、この新しい賭博に夢中になるはずだ。


 新規のカードを使ったものは、いわゆる花札の真似だ。絵柄はこの世界にちなんだ植物や魔獣なんかを使ってるけどね。ゲームとしてはバカラに似てて取っ付きやすい『かぶ』系の遊びを取り入れた。見た目のインパクトから興味をそそるように絵柄にはこだわったから、新しいもの好きにはウケるだろう。時期を見ながら、もう少し色々な遊びを増やしていくつもりでもいる。三人とか二人で遊ぶゲームだけど、『花合わせ』や『こいこい』だって面白いんだ。可能性はまだまだ広がる余地がある。


 どれも名称はもうちょい馴染みやすいのに変えてるけどね。その辺の名称とか胴元が損をし難い細かなルール作りとかまで、支配人やカジノの担当者には入念に考えさせてる。

 私は取っ掛かりを与えたけど、あとはスタッフのみんなで作り上げてくれたものだ。彼女たちは誇りをもって、これをさらに発展させてくれるだろう。上手くいけば、今は別部屋扱いの規模を拡大させて、別フロアにするビジョンまである。ま、それはあくまでも先の話だ。


 パーティーが終わったあとから、カジノは解禁になるから、集まった人たちはその話題で持ちきりだ。良い傾向ね。ガンガン楽しんで散財してもらいたい。



「せっかくの機会なんだし、あんたも少し社交でもしてくればいいのに。ギャンブル好き同士、話も合うんじゃない?」

 金髪メガネ美人のフレデリカの格好は、今日はTPOに合わせてきちんとしたドレス姿だ。深い緑色ベースの上等なドレスは、フレデリカの髪色が映えて見栄えがする。どこぞの高貴な出のお嬢さんですと言われても違和感がないほどだし、新鮮で見違えるわね。

「それを言うのならユカリこそ。会長としてサービスして回ってきてはどうですか?」

「もう十分やったわ。顔繋ぎはしたし、これ以上は御免よ」

 顔を見合わせて笑う。実際、挨拶回りだけでかなり疲れた。フレデリカには付き合わせてしまったこともあって、疲れて一緒に別室に引っ込んだんだ。


 めかし込んだフレデリカと同じく、今日の私の格好はいつもとは、ちと違う。

 墨色や月白の外套は纏わず、髪に合わせた紫紺のドレスを着てる。いつものようにトーリエッタさん作だけど、防御力は度外視で、いかにも貴族のお嬢さんが着るデザインのもの。ヴィクトリア朝っぽいドレスだけど正確な種類はイマイチ分かんないし、似合ってるかどうかも謎だ。まぁトーリエッタさんの見立てを疑うことはないとはいえ、あんまり着たいとは思わなかったけど場所柄仕方ない。キキョウ会の会長として、格好つけることも必要だ。


 パーティー会場を歩くと、自然と視線を集めてしまうのも仕方がない。客観的事実として、私は美人だし備わった能力や立場から来る存在感が別格だからね。きっと思い込みじゃないはずだ。うん、文句がある奴がいるなら、遠慮なくぶっ飛ばすけど。

 そんなわけで会場をウロウロしてると無駄に目立ってしまうし、私はもてなす側であって主賓はゲストだからね。今日はたくさんの良いとこのマダムやお嬢さんたちだっているから、彼女たちより目立っちゃ悪い。


「じゃあフレデリカ、あとは任せて良い? 私はホテルの中をちょっと見てから帰るけど」

「ええ、あとはわたしたちで見ておきます」

 今日からホテルの責任者は支配人に移ったけど、それまではフレデリカとソフィが主導してやってたこともあって、カジノが落ち着く朝方までは様子を見守ってもらう。ソフィは最初だけパーティーに出席して、あとはどこかでサラちゃんと休憩してるはずだ。


 街の有力者を集めただけに、警備も最高レベルで厳重だ。今日だけの特別仕様でね。

 客がいる場所の近くにはゼノビアやヴァレリアも配置してるし、寒い屋上からも全周囲を監視する体制を整えてる。何もないとは思うし、現に何もないんだけど、レギサーモ・カルテルの暗躍を思えば警戒しすぎるってことはない。



 部屋から廊下に出ると、夢のように豪華な空間がどこまでも続く。

 このホテルの魅力は無論カジノだけじゃない。だからこそ、春まで予約が一杯になってるんだ。

 ギャンブル目当ての客と、真新しい会場でパーティーというか社交の場を開きたい層からの人気が高く、予約を占めてる。


 社交界のために使うって連中が多く予約してるのは、単に新しいホテルが気になるってのもあるだろうけど、その理由の多くはやっぱりオンリーワンたる施設にある。

 高級ホテルの基本的なところはもちろん押さえてる。富裕層向けで値段が滅茶苦茶高い代わりに『夢のホテル』を実現したつもりだ。


 まずはオーヴェルスタ伯爵家の人をアドバイザーにして、高貴な身分の人でさえも感嘆する特別な社交のための空間を用意した。ここでパーティーを開くこと自体がステータスとなるように。そのくらい金に糸目を掛けずに作り上げた空間がある。私はまだ作ってる途中のを見ただけだから、完成形までは実は見てない。その内に何かのパーティーに呼ばれるだろうから、その時でいいやって感じだけどね。


 そしてここの良さ、私が自慢したいのは金を掛けた設備とは別にある。徹底して鍛え上げられたプロのスタッフによる超一流のサービスは他の追随を許さず、他の全ての施設のサービスを一流から二流に追いやるレベルで完成したと豪語できる。あのおばさん支配人の経験と熱意の賜物だ。こればっかりは実際にスタッフを束ねる立場にある彼女でなければ成し得ない仕事だ。私が横から口を出した程度じゃ到底不可能ね。サービスという観点に妥協なく取り組むことは決して簡単とは言わせない。


 これだけじゃない。当然だけど社交空間以外の設備にだってこだわってる。


 最高級のレストランとバーは、ホテル内に全部で八つも用意して、多彩な食や酒を、多彩な空間と眺望とで提供する。さらにこのホテルだけの特典として、提供される野菜と果物は、その全てがリリィが研究開発した超高品質作物が使われる。これだけは他がどんなに努力をしても真似ができないウチだけの秀でた特徴だ。最高の素材を一流の料理人が腕を振るって提供する。これには美食家じゃなくたって、きっと誰もが何度も足を運びたくなる魅力があるはずだ。


 極上のスパは神技とまで称せられるほどの技術を持ったセラピストが贅沢な寛ぎと安らぎを提供し、男女の別を問わずに高貴な身分の人さえ虜にするだろう。トリートメントルームはもちろん、プールにサウナにジムまで完備した。あらゆる要望に応えるべく、全ての施設は当然の如くこだわり抜いたと聞き及んでる。このエピック・ジューンベル・ホテル&リゾーツは、他とは次元の違う存在になるべくして誕生した超高級ホテルなんだ。応えて見せなくてなんとするの精神ね。


 客室についてもスイートは言うに及ばず、スタンダードルームにおいてさえ室内装飾やインテリアに一切の妥協はない。さらに備え付けのアメニティは私が監修して、何人もの職人や魔法使いが血涙を流しながらも作り上げた特上品だ。これについては王侯貴族が常用するものさえ凌駕すると自負してる。これは別途販売もするから、売り上げにも期待してるところだ。


 あちこちに用意した庭園や花壇、花飾りなどはリリィが監修し、ガーデニングにうるさい王族さえも文句のないだろう圧倒的な景観を作り出す。それはアートと称しても過言じゃなく、芸術に興味が薄い人であっても、きっと見る者を魅了することは間違いない。リリィの庭園を見慣れた私たちでも感嘆するくらいだからね。


 トドメは某所を参考にした噴水ショーだ。冬の間は未稼働だけど、春になればお披露目できる隠し玉でもある。

 ホテル前に贅沢に造った巨大な人造湖を利用して、ド迫力の噴水ショーを随時行う予定なんだ。普通の噴水は世に数あれど、これほど大規模な噴水ショーはおそらくないレベルというのを実現した。

 数百に及ぶ魔道具の噴射装置を使用し、様々なバリエーションでもって、多彩な表現を行うんだ。夜はライトアップもするしね。

 このアイデア自体は私が出したけど、実際の演出はキキョウ会メンバーの若衆の中から芸術肌の奴が設計してくれて、噴射装置のカスタマイズは魔道具研究サークルの面々が実施してくれた経緯がある。


 我がキキョウ会ながら、メンバーが力を合わせれば割かし何でもできてしまいそうなところが凄い。

 プリエネたちの協力もあるし、内製化できるところは内製化してしまって、予算を抑えられたことも大きい。


 とにもかくにも規格外のホテルを作った。作ってやった。

 それこそウチがこの時のために溜め込んだ資金が空になる勢いの莫大な金がかかったけど、このホテルなら数年もあれば余裕で回収しきれる自信がある。

 はっきり言ってハイクラスどころじゃない。とんでもないものを生み出してしまった。

 春以降、ここは世界中の注目を集めることになるだろう。きっと、誰も放ってはおかない。



 それに加えて、まだ満足してるわけじゃない。もっと良くなる余地もあって、実はまだ増設できる余地があるんだよね。空き地は少ないけど、地下は拡張できるし、ネタがあるなら活用しない手はない。ここはただの宿泊施設じゃなくて、リゾートでもあるんだからね。可能なことは取り入れたい。

 私としては変り種ではあるけど、釣堀とかバイクの展示や試乗、意表を突いて魔法の訓練施設なんかも面白いんじゃないかと思ってる。


 釣堀については手軽に魚釣りが楽しめる施設なんてここじゃ見たことないし、子供でも楽しめるからね。案外受けるんじゃないかと。日々の雑事や家族サービスに疲れたおっさんが、のんびりするにも適してる気がするし。イベントとして釣り大会とかを開催するのも面白いかもしれない。


 あとバイクは完全に趣味だけど、金持ち相手なら道楽で興味を示す奴もいるんじゃないかと思ってる。本当ならレース場も作りたいんだけど、さすがそこまでの余裕はない。試乗だけで目一杯ね。これはドミニク・クルーエル製作所の協力もいるし、やるにしても先になるけど実験的に試してみたい。まぁ完全に趣味の延長だから優先度は低いけど。


 それと本命は魔法の訓練施設だったりする。

 街中で魔法をぶっ放せるところってのは特殊な施設以外にはないし、自宅に備えるほどの金持ちだってそう多くはない。射撃場みたいな的当てとかを用意して娯楽要素を持たせれば、これも受けそうな気がする。ただ、安全管理がどうだこうだとか面倒そうなら止めておいた方がいい気もするけどね。要検討だ。



 まだ走り出したばっかりだから、想定外のトラブルに見舞われることだってあるだろう。それでも大概のことは支配人以下スタッフがどうにかするだろうとも思ってる。これでようやく、重いものが一つ手を離れる。


 春には闘技場のあれこれが本格的にまた動き出すし、他にも大きな予定があったりする。

 正直なところ、レギサーモ・カルテルとかどうでもいいと思えるほど忙しいんだ。できることなら麻薬カルテルとのゴタゴタなんて、五大ファミリーで勝手に解決しておいて欲しいくらいだ。


 さらに忙しくなる春に向けて、冬の間に片付けておきたいことはまだあるんだし。

 まぁ、一つ一つ片付けていくしかないわね。

 次は土台を整えることに集中しよう。ああ、これもまた大変なんだけど……。


ホテル紹介が思いのほか長くなってしまいました。

これだけでも数話にまたがるエピソードが作れてしまいそうでしたが、余りにも本筋から離れ過ぎますので、ざっとした紹介でお届けしております。

別の機会で舞台として登場することがあれば、もっと本筋と絡めて書きたいとも思っています。


次回は作中の最後にもありますよう、土台を整える話となります。次話「地ならしの算段」に続きます。

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