95、成れの果ての姿
どうやら『神光聖者エリュニウス』の目的は見事に果たせたようだな。
●【No.095】●
―ギドレファナス王国―
国内の北側にある王都にして、要塞山脈都市である『ギヤンマウンテン』の頂上にある王城『ギヤンヴァレルダ』にて。
現在の『玉座の間』の中であったとされる場所では、
最終進化を遂げて、新たな身体に変身した『神光聖者エリュニウス』は当然ながら強さも増しており、最早…『左刎王ギドアロス』の実力を大きく超えている。
●『神光聖者エリュニウス』 レベル:570 耐久力:5500 攻撃力:2220
その『神光聖者エリュニウス』が、今…倒れている『左刎王ギドアロス』の所まで歩いて近づく。
「これで…ようやく…私は…」
ピカァッ!
『神光聖者エリュニウス』が『左刎王ギドアロス』の目の前に立つと、突如として『左刎王ギドアロス』の巨大で漆黒の身体が強く光り出している。
その様子を見ていた王家親衛騎士団隊の "乙女のミレイジュ" と "水瓶のディケトリア" の二人がひどく動揺していて、一体どういう事なのか『神光聖者エリュニウス』に質問してきた。
「ひゃっ!? 何…突然…化物の身体が光り出したわっ!?」
「一体何なのよっ!? この化物はっ!? 何故…こんな所にいるのよっ!?」
「この化物の名前は『左刎王ギドアロス』と言う。 先程…この私が倒したのだ。 さらに言うならば、この化物はかつては人間であり、ギドレアスと言う名前の国王であった。」
「えぇっ!? そんなバカなっ!? ギドレアス様が…こんな化物にっ!?」
「嘘を言わないでっ!! そんなデタラメ…信じられないわっ!! あの国王様が…っ!?」
「………」
(ふん、この私がデタラメを言うとでも思ったか!)
二人が必死になって反論しているけど、『神光聖者エリュニウス』はそれを無視して、さらに話しを進めている。
「…だけど…私の探し求めてきた真の姿と目的が…遂に私の目の前に…!」
すると光り出している『左刎王ギドアロス』の身体が一本の剣に姿が変わっていき、刀身が白銀色で柄の部分が青銅色の異形の剣に変化した。
「…剣…?」
「あぁ、これこそが幻にして、伝説の皇剣【絶望神の剣】なのだ。 この剣だけは復讐の神々の系譜を継ぐ、この私にしか装備できないのだ。」
『神光聖者エリュニウス』は【絶望神の剣】を手に入れた。
「…遂に…この私のもとに…これで私も…彼らに肩を並べる存在に…」
「…なにを言ってるの…?」
「その剣は一体……っ!?」
「この剣は…かつて、ギドレアスと呼ばれた男の成れの果ての姿…傲慢な国王から凶悪な化物へと変貌を遂げて…最後には剣となり、ようやく…この "私のモノ" になったのだ。」
「え……っ!?」
「一体何のことを…?」
「ふん、既にこの王国に国王はいない。 あとの詳細な情報が知りたければ、あの男にでも聞くがいい。」
「っ!!?」
『神光聖者エリュニウス』が指摘した場所をミレイジュとディケトリアの二人が見てみると、そこに負傷した "牡羊のロゼッダン" が立っている。
「あなたはロゼッダン! 生きて…無事だったのね!」
「ええ、まぁ…なんとか…大丈夫のようです。」
「そうよね、冷静沈着なあなたが、そう簡単に殺られる訳がないわね。」
「………」
「では…さらばだ!」
すると突如として『神光聖者エリュニウス』が【絶望神の剣】を持って、はるか上空に飛び立ち、そのまま姿が見えなくなるまで飛び去っていった。
「あ……飛んだ……?」
「あ……逃げた……?」
「………」
●国王ギドレアス→『左刎王ギドアロス』→【絶望神の剣】→敗北 ○ "狩侯聖者" →『神光聖者エリュニウス』→勝利
※ ※ ※
王城『ギヤンヴァレルダ』の中にある『玉座の間』があったとされる場所では、
その後―――
王家親衛騎士団隊の七人は、全員なんとか生き残っており、今は負傷者の傷の手当てをしながら、ロゼッダンから今までの出来事・経緯の説明を聞いていて、一同はかなり動揺していて取り乱している。
「バ、バカなっ!? そんなバカなっ!? ギドレアス様が化物にだとっ!?」
「一体何を言っているのだっ!? ロゼッダンよ!!」
「ギドレアス様が敗北……? 化物から剣になってしまっただとっ!? ふざけるなっ!!」
「まさか…そんなことが…本当に…ギドレアス様が行方不明になった…のか…?」
「それでは…この国は一体どうなっていくのよっ!?」
「確かに国王様が不在の王国なんてあり得ないわよっ!?」
「………」
すると突然―――
「……降伏するしかないな」
「っ!!?」
―――と背後で男の声がして、ロゼッダンたち七人が後ろを振り向くと、そこに地下の牢獄に閉じ込められている筈の "牡牛のバーデハルドン" が立って現れている。
※伝説の皇剣 (現在三本)
◎『大魔王エリュドルス』→【終焉殺の剣】
◎『神光聖者エリュニウス』→【絶望神の剣】
◎『ヴァグドー』→【消滅罪の剣】
結局…主人公の出番・活躍はなし…!?




