94、左刎王と神光聖者:4
最期の死力を尽くす二人……っ!!
●【No.094】●
―ギドレファナス王国―
国内の北側にある王都にして、要塞山脈都市である『ギヤンマウンテン』の頂上にある王城『ギヤンヴァレルダ』にて。
現在の『玉座の間』の中―――
―――とはいっても、王城の建物は既に破壊されており、最早…今は見る影もない…。
━『左刎王ギドアロス』.対.『神光聖者』━
●『左刎王ギドアロス』 レベル:480 耐久力:1/5000(瀕死)
●『神光聖者』 レベル:480 耐久力:12/5000(瀕死)
「うわぁあああぁ―――」
ズドドオォーーーン!!
『神光聖者』が『左刎王ギドアロス』の放った最終必殺攻撃の "黒四光焔弾" をマトモに直撃してしまい大爆発が起きた。
「ぐふぅ…っ!!」
ドサッ!
『神光聖者』はそのまま上空から落下して、床に倒れてしまった。
「グゥガァアアアァ―――」
ズドドオォーーーン!!
『左刎王ギドアロス』が『神光聖者』の放った最終必殺攻撃で光の攻撃魔法の "盗爵・レイジングトランスフェニックスネーション" をマトモに直撃してしまい大爆発が起きた。
「グゥブゥ…ッ!!」
ズドォン!
『左刎王ギドアロス』はそのまま後方の床に倒れてしまった。
「ぐっ…くそ…身体が…思うように…動かない…」
「グッ…ガァ…ゴゴォーン…」
両者共に無念のまま、気絶してしまった。 さらに『ギヤンマウンテン』の頂上にある王城『ギヤンヴァレルダ』で、今度は物凄い大きな爆発音が二度もした事で、外の下の麓で戦闘している者たちやその戦場に急いで向かっている者たちに、衝撃・驚愕・動揺・混乱などの様々な "負" の感情を与えている。
●国王軍陣営
「な、なんだ…また…爆発の音…なのか…?」
「おい、まさか…既にお城で戦闘が行われているのか…?」
「バカなっ!? 我々がここを死守している限り、誰もお城には近づけない筈…いや…山自体登れない筈だぞっ!!」
「…確かに…だが…ならアレはなんだっ!? 今まさに…我々の知らないところで、何かが起きているのかっ!?」
●先代国王支持者軍陣営
「おお、また…爆発音が…?」
「まさか…もう誰かがギドレアスと戦っているのでは…?」
「えぇっ!? そうなのかぁっ!? いや…そうだとすると、俺たちも負けてはいられないぞぉっ!!」
「よーし、こうなれば、ここにいる兵士だけでも抑えつけてやるぞぉっ!!」
●国民の反乱軍陣営
「おお、爆発音が二回…やっぱり…誰かが戦闘を…?」
「…どうやら…あのお城の中で誰かがギドレアスと戦っているようだな。」
「ああ、このまま…ギドレアスのヤツが倒されてしまえば…この不毛な戦争も終わる…。」
「もし、そうなれば…ようやく、この国も新しく生まれ変わる筈なのだよ。」
●エウノミアとエイレネの姉妹
「姉さん、今の見たぁっ!? あの巨大で漆黒の身体をした化物は……もしかして、ロゼッダンの情報にあった…っ!!」
「ええ、アレがギドレアスの本当の姿…真の正体なのかもしれないわねぇ。」
「でも…だとするとアレとは別に、純白の翼を持ったあの変なのは、一体何なのっ!?」
「……アレも敵…敵同士…いや…味方同士で戦っている…と見ているわねぇ…。」
●ヴァグドーたち一行
「やれやれ…今の一撃は…もしかしたら、もう勝負がついたのかのう。」
「敵……相手は誰なの、レイドルノッ!? 一体誰があのギドレアスと戦っているの!?」
「……むむっ!?」
「どうやら、これからボクたちが倒す相手同士が戦っているようですね。 それが一体何故なのかは解りませんが…。」
「そうねぇ、悪魔神トニトリエクルスのぉ……?」
皆がそれぞれの思い思いの感想や意見などを述べながら行動をしている。
※ ※ ※
かつて、王城『ギヤンヴァレルダ』の中に『玉座の間』があったとされる場所では、
王家親衛騎士団隊の "乙女のミレイジュ" と "水瓶のディケトリア" の二人が、ようやく気がついて目を覚まして起き上がる。
「…うっ…うっ…ここは…?」
「……っ!? なんなのぉ、ここはぁ…っ!?」
二人が驚くのも無理はない。 先程までは『玉座の間』の中に居たのに、現在は床には様々な瓦礫が散乱していて、壁も天井も無く外が辺り一面に見えており、夕陽が地平線に落ち始めている異常な状態であるからだ。
「ふふふ、さすがに驚いているようだね。 二人共」
「え……っ!!?」
突如として背後から声がして、ミレイジュとディケトリアの二人が後ろに振り返って見てみると、そこに二体の最後の "狩侯聖者" が立っており、ミレイジュとディケトリアの二人が慌てて臨戦態勢をとっている。
「ふふふ、ボクたちの相手をするよりも、まずはアレを見た方がいいよね。」
「え……っ!!?」
二人が "狩侯聖者" の指摘された場所を見てみると、そこに巨大で漆黒の身体をして四本の腕を持つ化物、『左刎王ギドアロス』が床に倒れている。
「な…なんなのぉ、これはぁ…っ!? あの化物は一体…っ!?」
「こ…これは一体何が起きているのぉ…っ!?」
なんといつの間にか二体の "狩侯聖者" が、『神光聖者』が倒れている場所に立っていて、どうやら二体の "狩侯聖者" が『神光聖者』の傷を癒して体力を回復させている様なのだが、その際に二体の "狩侯聖者" が『神光聖者』と合体して、ここで遂に七体全員がひとつになった。
そして『神光聖者』が再び立ち上がった。
「これで…ようやく…私は…」
そこで遂に『神光聖者』が完成体となり、身長は同じだが身体全体(髪も含む)が白銀色に光輝き、瞳の色は青銅色で4つの翼は純白のままで、頭上に透明の輪がついた…その真の名も、
『神光聖者エリュニウス』と言う。
勝者が決まったのか!?
この様子だと……アイツの勝利なのか!?