93、左刎王と神光聖者:3
●【No.093】●
―ギドレファナス王国―
国内の北側にある王都にして、要塞山脈都市である『ギヤンマウンテン』の頂上にある王城『ギヤンヴァレルダ』にて。
ドッカァーーーン!
「うわぁああああぁ―――」
「グゥガァアアアァ―――」
二人の戦闘者の姿が大爆発の光の中に消えてしまった。
城内の『玉座の間』の中から物凄く大きな爆発音が聞こえてきている。 その爆発音があまりにも大きい為に外にいた者たちにも聞こえており、『玉座の間』の中から王城の建物が爆発によって破壊されてしまった。
まずは、すぐ下の麓の要所要所の場所で戦闘をしている国王軍と国民の反乱軍&先代国王支持者軍がその爆発音に気がついた。
「な、なんだぁっ!? この音はぁっ!?」
「何なんだぁっ!? 上で何が起きているんだぁっ!?」
「バカなぁっ!? これは一体何が起きているのだぁっ!?」
「なんだなんだぁっ!? 今の爆発音はぁっ!?」
「おい、もしかして…山の頂上で音がしていないかぁっ!?」
「まさか…ギドレアスのヤツがまた何かしたのかぁっ!?」
続いて、それが国民の反乱軍と共に戦闘に参加しているエウノミアとエイレネの姉妹にもその爆発音が聞こえている。
「な、何ぃっ!? これは一体何なのぉっ!?」
「なんだかスゴーくイヤーな予感がするけどねぇ!?」
さらに中央部から戦場に急いで向かっている途中のヴァグドーやレイドルノたち一行にも遠くからその爆発音が聞こえている。
「なんだ…今の音は…?」
「まさか…北側の戦場で何か起きているのか…?」
「今の音は北側から聞こえてきたぞぉっ!? まさか…戦闘の激化でぇかぁ…っ!?」
「………」
「…まずいな…」
「…まずい…って、一体なにがだぁっ!?」
「ちっ! もう既に始まっているのか? それなら…もう間に合わないのか?」
「……?」
ギドレファナス王国の国内にある王城『ギヤンヴァレルダ』の中にある『玉座の間』の中で起きた大きな爆発音は国中に聞こえている。
※ ※ ※
一方の先程の大爆発によって破壊されてしまった『玉座の間』の中では、建物や家具や調度品などの瓦礫が内部いっぱいに散乱しており、天井や床や壁などはほとんどが吹き飛ばされていて、それはまさに凄惨なる惨状となっている。
ヒュウウウーーー……
辺りが静寂の中で―――
ガタァン!
瓦礫の下から姿が消えた筈の『神光聖者』が瓦礫を退かしながら立ち上がって現れた。
「あ、危なかったよ…だがまさか…ここまでこのボクが追い詰められるとは…?」
●『神光聖者』 耐久力:1093/5000
「ヤツは…ヤツは…何処だ…? …ヤツを倒したのか…?」
『神光聖者』が辺りを見回すと、玉座があった所で姿が消えた筈の巨大で漆黒な化物『左刎王ギドアロス』が息を切らして満身創痍ながら立って現れた。
「グル…グル…グル…」
●『左刎王ギドアロス』 耐久力:1103/5000
「グゥーーガァアアアアアァーーーッ!!」
両者共になんとか生存が確認されており、お互いに甚大な致命傷となるダメージを受けているようだ。
「やっぱり…生き残っていたのか…くそ…このボクの最後の力と攻撃をキミに披露することになるとは…ね。」
「グルルルゥゥゥ」
そこで天井が破壊された『玉座の間』の中の上空を傷ついた純白の4つの翼で飛び立ち、両腕を横に広げて全身が黄金に光り出してまとい、『神光聖者』が最後の攻撃に移行する。
キュイイイイイ……
そこで最後の力を振り絞って立っている、満身創痍の『左刎王ギドアロス』も傷ついた四本の腕を身体の前に突き出して、4つの掌が同時に一斉に漆黒に光り出してまとい、『左刎王ギドアロス』も最後の攻撃に移行する。
ゴゴゴゴゴ……
「今度こそくらえっ!! 『左刎王ギドアロス』っ!!」
ズヴァアアアアアァン!!
『神光聖者』の最終必殺攻撃、光の攻撃魔法で黄色の稲妻が付いた黄金の光の巨大不死鳥 "盗爵・レイジングトランスフェニックスネーション" を発動させて、『左刎王ギドアロス』の方に向けて発射させて攻撃している。
「グアアアアアーーーッ!!」
ズゥバババァーーーン!!
『左刎王ギドアロス』の最終必殺攻撃、紫色の稲妻の付いた漆黒の極大光弾を4つの掌から同時に一斉に放出される "黒四光焔弾" を『神光聖者』の方に向けて攻撃している。
スカァッ!
「な、何ぃ……っ!!?」
「グガ―――ッ!!?」
今度の最終必殺攻撃はお互いの攻撃が避けて当たらずにいて、目的地めがけて真っ直ぐに飛んでいっている。
敵同士、初の長期戦……?