91、左刎王と神光聖者:1
……強敵.V.S.強敵……!?
●【No.091】●
―ギドレファナス王国―
国内の北側にある王都にして、要塞山脈都市である『ギヤンマウンテン』の頂上にある王城『ギヤンヴァレルダ』にて。
現在…『玉座の間』の中では、玉座に座るギドレアス国王率いる強力な王家親衛騎士団隊の七人と三体の "狩侯聖者" が交戦中である。
「そりゃあああぁ!!」
「ぐわぁあああぁ!!」
「でりゃあああぁ!!」
「うわぁあああぁ!!」
「おりゃあああぁ!!」
「ぶわぁあああぁ!!」
三体の "狩侯聖者" が王家親衛騎士団隊の七人を次々に倒していき、遂に最後に残ったのが国王ギドレアスのみとなった。(※七人は死んでいない)
「さぁもう残っているのは、キミだけだよ。 ギドレアスよ…そろそろ終わりにしようか。」
「……うぐぅ……」
「やっぱり…この人間たちでは、力不足だったようだね。 しかも、肝心の強力なレイドルノも…今はまだいない…」
「……っ!?」
「さぁもう茶番はいいだろう! そろそろキミの真の姿と正体を見せてもらおうか! ギドレアスよ!!」
「…な…何を言っているんだぁ!? 訳のわからないコトを…っ!? 言っている意味がよく解らんなっ!?」
「…とぼけているな…」
「くっくっくっ…そうか…では早速だが、始めようかな。 キミの真の姿と正体を暴く…このボクたちの能力の発動を…!」
「…な…何をするつもりなのだぁ!? や、やめろ…と言っているだろうぅがぁっ!?」
「くっくっくっ…行くぞ!!」
そこで三体の "狩侯聖者" がギドレアス国王に急接近して、包囲した状態で左手を身体の前に突き出して、右手を頭の上に挙げた独特のポーズを、再びとっている。
「さぁこれで今度こそ終わりだぁっ!!」
すると突如として、三体の "狩侯聖者" の身体が強く光り出していて、周囲には突風が巻き起こり竜巻となり、ギドレアス国王の身体を激しく包み込んでいる。
「なんだ…これは…っ!?」
三体の "狩侯聖者" が "盗爵" 能力の『神光聖者』を発動させており、ギドレアス国王の身体も強く光り出していて、異常な異変が起きている。
「うわあああああぁ―――」
なんとそこで、人間の身体から漆黒の巨大な化物へと姿を変えていった。 頭の額には黒く鋭い一本の角が生えていて、黒く大きな翼に顔は禍々しい鬼の形相で、灰色の瞳と…四本の腕の不気味で異様な姿の…何もかもが人間だった頃の…国王ギドレアスだった頃の姿とは、最早…全てが一変していた。
「グルルルゥゥゥ」
「くっくっくっ…遂に現れたようだね。 キミがあの『左刎王ギドアロス』だよね。」
「ようやく出現したのか? それにしても…よくもまぁ…随分と人間の国王で居続けられたモノだよね。 悪魔神の元手下の一人がねぇ。」
「…ん? 来たのか…? キミたちも…?」
するとそこで、城内の地下の牢獄の中にいた筈の、二体の "狩侯聖者" も『玉座の間』の中に入って来ていて、ここに五体の "狩侯聖者" が遂に揃っている。
「グルルルゥゥゥ」
「さぁこっちも行くよ! こっちはまだ五人だけど、このままで合体するよ!」
「あぁ…了解だ! たぶん五人だけでも充分だろう!」
「…『神光聖者』…」
すると今度は、五体の "狩侯聖者" が合体して、純白の肌と翼に漆黒の髪と瞳の、人間の青年並の大きさまでになった異様で不気味な化物(天使?)…『神光聖者』へと変身していった。
「どうだい! 『左刎王ギドアロス』よ!」
「グル……?」
「さぁ見るがいい! 裏切り者よ! 悪魔神トニトリエクルス様からいただいた新たなる真の姿と力を!!」
「グルルルゥゥゥ」
なんと言うことなのか… "狩侯聖者" の "盗爵" 能力によって、国王ギドレアスの真の姿と正体が暴かれてしまい、『左刎王ギドアロス』[悪魔神の元部下(裏切り者)] と言う凶悪で強力な化物に変貌を遂げていた。
一方の "狩侯聖者" も、五体まで増やしての "盗爵" 能力で五体が合体して、自身も『神光聖者』[悪魔神の新部下] と言う凶悪で強力な化物(天使?)に変貌を遂げていた。
こうして、お互いに最強の姿に変身して、今まさに雌雄を決する為に対決・激突するのか……!?
なんと! もしかして…強敵同士が戦うのか……っ!?