87、国王軍.V.S.国民軍:1
※国民軍とは、「国民の反乱軍」と「先代国王支持者軍」を合わせて呼ぶときの総称。
●【No.087】●
―ギドレファナス王国―
国内の北側の王都で要塞山脈都市の麓にある要所要所の某所にて。
ギドレアス国王が率いる精鋭の国王軍の兵力が約7万。 もう一方の国民の反乱軍の兵力が約10万と先代国王支持者軍の兵力が約10万で、合わせて約20万。
両軍勢が平地で激突、白兵戦が展開される。
「よし行くぞ! 今こそ我々の力を見せてやるぞ!」
緒戦は両軍勢が拮抗していて、なかなか勝負がつかずにただの消耗戦となっている。
だが次第に徐々にだが、国民の反乱軍と先代国王支持者軍がギドレアス国王が率いる精鋭の国王軍を圧し始めていて、国民たちの鬼気迫る迫力を前に国王軍の兵士たちも圧し負けてしまい、一時退却する部隊も続出してきている。
「はっはっはっ、どうだ! 我々の力は! このまま圧しまくれ!」
さらに国民の反乱軍と先代国王支持者軍は、これに勢いづき次々と援軍が駆けつけてきていて、国民の反乱軍の兵力は約15万までに、先代国王支持者軍の兵力も約15万までに、それぞれ増えており、合わせて約30万の兵力までになっている。
「はっはっはっ、いいぞ! 増援歓迎するぞ!」
約30万人もの民衆が死を覚悟して、ギドレアス国王のコトを拒絶・否定しているのに対して、肝心のギドレアス国王の方では、自身の地位や保身などの事しか考えずに国民の声に全く耳を貸さずにいて、反逆者・邪魔者などを容赦なく排除してきている。 まぁ先代国王さえも殺害するのだから当然であろう。 自分が絶対に正しく正義であり、逆に自分以外は全く信用・信頼していない哀れな王様である。
「今度こそ……この国の無念を晴らすのだぁ!!」
やがて国王軍の全部隊が山の麓に作った拠点・陣営まで戻ってきて、籠城しながら作戦や軍勢を立て直していて、国民の反乱軍と先代国王支持者軍が完全に包囲している。
「遂に国王軍を追い詰めたぞ! このまま一気に攻めてやる!」
またエウノミア(戦士・妹)とエイレネ(魔法使い・姉)の姉妹は、国民の反乱軍に合流する為に、急いで戦場に向かっている最中である。
「姉さん、早く早く!」
「ええ、わかってるわぁ!」
一見、素人の国民の反乱軍や先代国王支持者軍が、精鋭の国王軍を追い詰めている様に見えるのだが、国王軍の拠点・陣営に進攻した途端に地面が突然爆発してしまい、国民の反乱軍や先代国王支持者軍が多数の被害を出している。
「なっ!? なんだぁー! これはぁーーっ!?」
国王軍は自身の拠点・陣営の周辺の地面に、火魔法を応用した爆発攻撃を仕掛けていて、敵軍が地面を踏んだ時に発動する。 これはギドレアス国王のお抱えの王宮魔法使用部隊が使用した攻撃魔法である。
「ま……魔法だと……っ!?」
さらに国王軍の弓隊の火矢が国民の反乱軍や先代国王支持者軍を襲い、更なる甚大な被害が出てきており、ここに来て戦闘・戦争には全くの素人な国民が圧され始めている。 それを見ていた精鋭の国王軍がここぞとばかりに、一気に素早く勢いよく攻撃してきており、遂に国民の反乱軍や先代国王支持者軍が退却し始めている。
「うわあああぁ! 火攻めだぁーーーっ!! 一時退却するぞぉーーっ!!」
国民の反乱軍や先代国王支持者軍の方も自身の拠点・陣営に戻ってきて、怪我人・負傷者などの手当てをしている。 一方では国王軍が自身の拠点・陣営から、国民の反乱軍や先代国王支持者軍を追い払ったあとは、決して深追いはせずに、自身の拠点・陣営の守備を堅固にしている。
「畜生ぉー! あともう少しだったのにぃーーっ!!」
ここでようやく、両軍勢が一時休戦となっており、少し落ち着いている。
「クソッ! 仕切り直しだ!」
※ ※ ※
国内の別の某所では現在、ダルラルダの案内でレイドルノやヴァグドー・勇者アドーレたち一行が、国王軍や国民の反乱軍・先代国王支持者軍が戦争している戦場に向かっている最中である。
「レイドルノよ、国王軍と国民軍が戦争している場所はまだ遠いのか?」
「ああ、そうだな。 ここは国内でも一番南側だからな……戦争が起きている戦場は、一番北側なんだよ。 だからまだ少し時間がかかるな。」
「ふむ、そうかの」
「なるほど、こことは反対側の場所に行かなければいけないのですか?」
「ふーん、結構遠いのねぇ~~♪」
ダルラルダとレイドルノは、なるべく人目を避けていて、街や村などには行かない様にしており、国内の中央部にある……今は廃墟であり、かつては王城だった場所を拠点にして行動している。
「この城はかつて歴代の国王が使用していた王城だった跡地だな。 俺たちの拠点には丁度いいな。」
「ほう、ここがのう。」
「そうね、でもギドレアスが北側の山の山頂に、自分の王城を建ててしまったから、ここはもう用済みなのよ。」
「何故、山の上に城を?」
「知らないわ、そんなこと。 あの男の考えなんて知りたくもないわ。」
「俺もそういうことはあまり知らない。 別に興味もなかったし、深くは聞かなかった。」
「なるほど、そうですか。」
「ふーん、結構複雑なのねぇ~~♪」
「………」
ヴァグドーは北側の方を向いて、無言で腕組みをしている。
今……何を思う……絶望老人ヴァグドーよ……




