85、作戦会議
●【No.085】●
―ギドレファナス王国―
国内の北側にある王都の山脈『ギヤンマウンテン』の頂上にある王城『ギヤンヴァレルダ』にて。
城内では二人の男が横に並んで廊下を歩いている。
まず一人目は、青紫色の瞳と青紫色の髪をオールバックにして耳が少し尖っており、青銅製の鎧を身につけて、青銅製で大きな盾を左腕に持ち、左側の腰には青銅製の剣を帯刀した、大柄の男が廊下の左側を歩いている。 その盾の中心部には、"蟹" のマークが彫られている。 彼の名前をターナトルスと言う。
次の二人目は、赤紫色の瞳と赤紫色の長髪に耳が少し尖っており、翡翠色の鎧を身につけて、右手には細長く翡翠色の槍を持ち、左側の腰には翡翠色の剣を帯刀した、大柄の男が廊下の右側を歩いている。 その槍の刀身と柄の間にある丸い部分には "魚" のマークが彫られている。 彼の名前をアルダリガヤと言う。
一緒に歩いている二人が、なにやら話し合っている。
「どうやら俺達も出陣するかもしれないな。」
「ああ、聞いている。 敵軍が東側から約10万、西側からも約10万、この王都に近づいているそうだな。」
「ふーん、片方は民衆からなる反乱軍と、もう片方は先代国王支持者の軍なのか……?」
「ほーう、それは民衆も先代国王支持者も戦闘や戦争には、全くの素人だというのにか?」
「ああ、おそらくは数で圧せるとでも思っているのだろうがな? だが知識や経験がまるでない」
「確かにな、数で圧せるだろうが、それは軍を指揮する指揮官や将軍の力量次第だな。 指揮官や将軍が無能ならどんなに数が多くとも、それはただ烏合の衆となるだろう。」
「ああ、そうだな」
「まぁ、今度もまたギドレアス様の大軍の勝利かもな。」
「おやおや、それでは今回の戦争に俺達まで出陣する意味があるのかねぇ~?」
「さぁな、とにかく国王様の命令は絶対だからな、命令ならば出陣は当然だな。」
「ああ、そうだな」
その二人の男は、そのまま扉を開けて、ギドレアス国王が待つ『玉座の間』の中に入っていった。
※ ※ ※
『玉座の間』の中には、玉座に座るギドレアス国王に、左側には獅子顔の男・名前をブルトネラスが、右側には山羊顔の男・名前をナバルノスが立っている。
さらにナバルノスの右側には、羊顔の男・名前をロゼッダンが、ブルトネラスの左側には、ピンク色の瞳とピンク色のロングヘアーを大きな赤いリボンで結び、黒色のスーツ(下部はスカート)にピンク色のネクタイを締めて、上部の球体には "乙女" のマークが彫ってあるピンク色の杖を持ち、左手にはピンク色の腕輪をつけた、ミレイジュと言う名前の女性が立っている。
そして、ターナトルスとアルダリガヤの二人の背後には、水色の瞳と水色のショートヘアーで、黒色のスーツ(下部はスカート)に水色のネクタイを締めて、中心部の丸い部分には "水瓶" のマークが彫ってあるネックレスを首に下げて、右手には水色の腕輪をつけた、ディケトリアと言う名前の女性が立っている。
ギドレアス国王を除くと、男女七人の王家親衛騎士が、この『玉座の間』に集結している。
早速だが、キドレアス国王が玉座から、七人全員に話しかけてきた。
「これで全員揃ったな」
「……全員? 七人しかいませんが……?」
「ああ、バーデハルドンはまだ牢獄の中に閉じ込めている……レイドルノはまだ臨王国から戻っていない……だからこの場に居るのは、この七人だけだよ。」
「……そうでしたか」
「………」
「………」
「なるほど、そうですか」
「それで陛下、我々をお呼びになったご用件は、一体何でございましょうか?」
「ああ、お前たちも既に知っていると思うが、愚民共が大挙して、この俺様を倒さんとこの王都に攻めてきている。」
「はい、確か……東と西からそれぞれ約10万ずつの、全く軍にもならない烏合の衆が侵攻してきています。」
「ああ、だがそれらは俺様の忠実なる兵士共が、頑張って侵攻を食い止めるだろう。」
「はい、陛下の精鋭の兵士たちが、烏合の衆ごときに敗北するなど、絶対にありません。」
「ええ、確かにその通りですわ。 負けるはずがありませんわ。」
「ああ、そこでお前たちには、いつも通りに各自個別で烏合の衆を撃退してもらうぞ。」
「はい、お任せください。」
「了解しました」
「……承知!」
「はい、判りました。」
「ええ、期待してください。 ギドレアス様」
「陛下のご命令通りに!」
「………」
「ああ、思う存分に暴れ回って皆殺しにしろ! 二度とこの俺様に逆らえんようにな!」
その後も、作戦会議は続いていた。
あれ? 王家親衛騎士団隊は確か12人いると聞いたが……?




