81、盗爵レイドルノ:1
●【No.081】●
臨王国、
国内の西南側にある、とある森林の某所にて。
ヴァグドーたち11人は、レイドルノが居るとされる大型洞窟の入口の前に到着していた。
「ここが……レイドルノと言う者が居るとされる大型洞窟なのですか?」
「ああ、らしいのう。 この中には、確かに強大なパワーを持った奴が一人……居るみたいだのう。」
「シャニル様、それでは……」
「きっと、そいつがレイドルノだよねぇ~~♪」
「それでは早速、中に入りましょう! ヴァグドー殿!」
「ふむ、そうだの」
「ええ、そうですわね!」
「はい、行ってみますか!」
ヴァグドーたち11人は、大型洞窟の入口から内部に入っていった。
内部は意外と広い構造になっていて、そこをしばらくの間はまっすぐに歩いていくと、やがてさらに大きな広い空間へと出てきて、その一番奥にある石で造られた玉座に座る男が一人だけいて、彼がレイドルノである。
「ん? 誰か居るな? もしかして……彼が……?」
「あっ♪ そうねぇ~~♪ 彼のようだねぇ~~♪」
「どうやら見つかりましたね。 彼がレイドルノでしょうね。」
「ふむ、行こうか!」
ヴァグドーたち11人は、レイドルノが座る石の玉座の前まで、近づいて立っていた。
「君がレイドルノかい?」
「………」
勇者アドーレがレイドルノに話しかけても、無言のままだったが、レイドルノがヴァグドーの顔を見た途端―――
「―――えぇっ!!?」
突然……まるで幽霊でも見ているかの様な……激しい動揺と凄まじい衝撃が、レイドルノの中を走った……!
今度はワシが前に立ち、レイドルノに話しかけたのじゃ。
「ワシの名前はヴァグドーじゃよ! お前さんがレイドルノなのじゃな?」
「………」
「どうした? 何か言ったらどうじゃ! ん?」
「……ヴァグドー……じゃあ、もしかして……本当に "復讐" をしに来たのか?」
正直……こやつが何を言っておるのか、よく理解出来んし、会話も噛み合っておらん……のじゃが、ワシにはわかる!!
こやつの言ってる意味が本能でわかるのじゃ!!
「レイドルノよ、ワシらはお前さんに依頼したいコトがあるのじゃ。 ワシらに協力せい!」
「それが人にモノを頼む態度なのか? …ヴァグドーとやら」
「―――っ!!」
レイドルノのこの発言には、ヴァグドー以外の全員が緊張感を持って、臨戦態勢をとっていたが、ヴァグドーは両腕を横に広げて、それを制止した。
「やめよ、皆」
「なるほど、意外と冷静だな……ヴァグドーよ……」
「レイドルノよ、どうやらお前さんとは、ソリが合わんらしいのう。 そして、お前さんは何か勘違いをしておる。」
「……何ぃっ!?」
「ワシは別にお前さんに、お願いをしている訳でも……頼みごとをしている訳でもないのじゃ……ワシはな……」
ワシは淡々とゆっくり静かに、語りかけていて―――
「……っ!?」
(な、なんだぁ!? この圧倒的な威圧感はっ!?)
「お前に命令しとるんじゃぁ!! ワシらはお前の顧客なのじゃ!! 顧客の命令は絶対なんじゃああぁ!!」
これまでにない程の雄叫びを上げて、ワシはレイドルノを威嚇したのじゃ。
「………」
ワシのこの一喝に、目の前におるレイドルノをはじめ、ワシの後ろにおるアドーレやシャニルたちも、驚いて目を丸くしておるわい。
さぁて、次はどう出る? レイドルノよ!
すると突然だが、レイドルノが立ち上がり、黒色の長細い鉄製の棒【ブラックスコーピオンズロッド】を取り出して、ヴァグドーの方に向かって身構えた。
なるほど、そうくるか!! やっぱり……男というモノは拳で語らんとのう! さぁ、来るがいい!! お前の力を見てやろう! レイドルノよ!!
さらにレイドルノは、そのままの状態から片膝を地面につけて、もう片膝を立てて、顔を下の方に向けて俯いた。
なんじゃぁ? あの構えは……? 何かの……必殺技の発動体勢なのか?
ワシはアドーレやシャニルたちに、もう少し後ろに下がるように指示をして、ワシ自身もいつでも戦闘できるように身構えた。
さぁ、来い!! レイドルノよ!!
「これは失礼……申し訳なかった……ヴァグドー公よ」
―――はぁ!?
レイドルノの突然の意味不明な言動に、今度はヴァグドーの方が驚いて目を丸くしてしまった。
レイドルノの参考ステータスを公開する。
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レイドルノ: 盗爵
レベル : 606
耐久力 :4850
魔法力 : 0
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攻撃力 :2550
守備力 :2550
機動力 :2800
叡知力 :1400
幸運力 :1900
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絶望力 : 100
主武器 :【ブラックスコーピオンズロッド】
能力 :【ストリンガー・ロイヤルメタル】【カオスインフェルノスラッシャー】【肉体固定】
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なんじゃと、これは一体どういうことじゃぁ!? 戦うのではないのかっ!?




