80、国王暗殺計画:2
国王……暗殺……計画……って……誰のコト……?
●【No.080】●
―ギドレファナス王国―
この王国は先代国王が、現国王で "反逆者ギドレアス" によって……殺害されて……国そのものを奪われるが、そもそもが、この土地や山自体も別の一族が所有していたモノを、強奪された事件などもあり、色々と複雑な経緯がある王国である。
先代国王の時代では、現在とは違った名前の国の王様であり、かなりの善政を施していて、税率・税収も低く治安も良く、国民には強要や乱暴もしない暮らしやすい国、賢くて心優しい王様でもあり、国民からの信頼や支持なども非常に高かった。
現国王ギドレアスでは、国名をギドレファナス王国に改名して、王都を山に築き上げ税率・税収を極端に上げてむしり取り、国民を暴力と権力で支配して治安を悪化させ、国民からの反感・不信が日増しに強くなるも、自身は国王の器ではないのに、その地位に恋々としがみつき非常にタチの悪い暗君でもあり、頭も良くない。
※ ※ ※
ギドレファナス王国の一番南側の森林の奥深くに、木で造られた小屋がひとつあり、そこに前回登場した黄金の女と紫色の女が住んでいる。
黄金の女の名前は、エウノミア(戦士)と言い次女(妹)にあたり、紫色の女の名前は、エイレネ(魔法使い)と言い長女(姉)にあたる姉妹である。
さらに誠実そうな羊の顔をして、黒色のスーツに黄色のネクタイを締めて紳士の格好をした大柄の男がそばにいて、彼の名前をロゼッダンと言い、黄色のムチを持っており、エイレネやエウノミアの姉妹とは、なにやら関係がありそうだが……。
エウノミアとエイレネの二人が椅子に座り、テーブルを挟んでロゼッダンが立っていて、なにやら話し合っている。
「くそ! また失敗したか!」
「まさか……まだギドレアスの王家親衛騎士団隊が、あんなにいたとはねぇ~」
「………」
「おい、ロゼッダン! 王家親衛騎士団隊とは、一体何なのだぁっ!?」
「あなたなら、知ってるわよね? 確か…今でも所属してるんだしねぇ~」
「はい、王家親衛騎士団隊とは、別名を『ゾィードキングダムナイト』とも呼ばれていて、全員で12人います。」
「な、何ぃっ!? 12人もいるのかぁっ!? そんなバカなぁ!?」
「一体どういう組織なの? 王家親衛騎士団隊とは……?」
「はい、ギドレアスが何処から集めたかは、私もよく解りませんが、いずれもレベルが80を超えている猛者共ですが、特に気をつけなければならないのが、レイドルノと言う名前の男です。」
「な、何ぃっ!? レベルが80を超えてるって…!?」
「……レイドルノ……?」
「はい、レイドルノは "蠍" の名前を冠した専用の武器を持ち、これはあくまでも噂なのですが、レベルが600を超えているらしいのです。」
「……っ!!?」
「……レベル600……」
「くそ! やっぱり、これでは…ギドレアスを倒すのは……不可能なのか……っ!?」
「いいえ、そうとは限りません。 少しずつですが…風向きが変わりました。」
「……えぇっ!?」
「……それは一体……?」
実はギドレファナスの国民も我慢の限界を超え、怒りの頂点に達していて、各地で暴動が起きている。
また国民の中には、ギドレアス打倒を旗印に、武器を手に取り、王都の東側から行軍を開始して、約十万人の民衆が動き始めており、同時に先代国王支持者も約十万人を動員して、王都の西側から迫ってきている。
一方の国王ギドレアスは無知で無能な輩な為に、側近の進言や諫言などには、まったく耳を貸さずにいて、国民が自分の方に攻めてくるだろうとは、全く考えてもいなかった愚者である。
「おお、それなら……遂にギドレアスの時代も終わりだな! 私たちも動く時だな!」
「でもエウノミア……レイドルノには、さすがの私たちでも歯が立たないわよ!」
「うぐっ! 確かに……!」
「それについても朗報です。 現在……レイドルノはこの国にはいません。 任務の為に臨王国にいて、ギドレアスの警護をしておりません。」
「おお、それは本当なのかぁっ!? ロゼッダン!!」
「えぇっ!? それって本当なの!?」
「はい、さらに勇者や大魔女らも、レイドルノに接触する為に、行動を開始していると言う情報もあります。」
「それじゃあ、かなり時間が稼げるわね! もしかしたら……これで……」
「す、凄い! 勇者たちまで……これって、皆が早くギドレアスを滅ぼせ……と同時多発に行動しているのかぁっ!?」
「はい、おそらくギドレアスの野望を討つならば、まさしく……今がその時期だと、思われます。」
「おお、そうだ!!」
「ええ、そうね!!」
その後も、この千載一遇のチャンスに、三人の会話も弾んでいた。
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―――その頃―――
臨王国、
国内の西南側にある、とある森林の某所にて。
ヴァグドーは勇者アドーレや大魔女シャニルたち十人と一緒に、レイドルノが居るとされる大型洞窟の入口の前に到着していた。
※ああ、アイツのコトなのか!!
※ヴァグドーたちは、次の目的地に到着か!?




