04、特訓の日々
絶望老人、覚醒する!
●【No.004】●
ワシはうつ伏せで倒れていた。
そこは森の中、ジャングルみたいな所。
ワシは気がついて立ち上がった。
「ここは何処だ? 異世界という所なのか?」
ワシは異世界の服を着て、その上に銀製の鎧を付けており、銀製の剣と銀製の盾を装備・所持しているようじゃった。
銀製の盾で自分の顔を覗いたら、黒髪のイケメンが映し出されていた。
「おお、注文通りのイケメンじゃな。」
まぁ…前髪が邪魔で目が少し隠れておるが―――
ワシは辺りを見渡した。
「ここは森か? 異世界の森ということか?」
ワシは取り敢えず、森の中を歩き回り、比較的に広い空間を見つけて、そこに木で造った小屋を建てた。
剣で木を斬り、それを組み立てて小屋を造り、屋根の上には大きな葉っぱを敷き詰めた。
なかなかの出来じゃ、これで雨は防げるはずじゃ。
「よし! これでよかろう!」
さらに幸運にも、森の中に古いが白いベッドを見つけて、それを小屋の中に入れた。
これで寝床は確保できた。
続いてワシがやることは、己の身体を鍛えることじゃ。
この筋肉ムキムキの身体をさらに完璧なモノにする為に、まずは基礎体力をつけることじゃ。
上半身は裸となり、
基礎特訓の日課として、
腕立て伏せ……500回
腹筋 ……500回
スクワット……500回
ランニング……約20km
『ある特殊な能力・闘気を操作・制御する』
『様々な必殺技を編み出す』
それを朝、昼、晩の3セットで毎日、繰り返した。
休みなどは、一日もない。
足場の悪い森の中を、自分の感覚だけで約20kmを走り続けて、一日で合計、約60kmを走り抜いていた。
また、己の "みぞおち" を鍛える為に、木で造った弾丸を発射させて、"みぞおち" に当たる様に設置された特訓道具を駆使して、何度も繰り返した。
まぁ、"みぞおち" は人体の急所みたいな所だからな、鍛えておかねばっ!
さらに大木を見つけては、己の拳や蹴りを大木にぶつけて、拳や蹴りを鍛え上げた。
拳や蹴りの威力を上げる為に!
そのほとんどが、自己流の特訓方法で約99年間、自分の身体を鍛え上げてきた。
だが、その間は一度も森の外には出ていないのに、一体どうやって食料を確保したのか?
それは森の中にいたシカやイノシシや鳥などの動物を捕まえては、剣でさばいて火をおこして焼いて、その肉を食べていた。
近くには川もあり、その中で泳いでいる魚を捕まえて、焼いて食べていた。
飲料水は雨水をろ過する装置に貯めておき、一度加熱してから飲んでいた。
風呂に入りたい時には、全裸で川に入り、シャワーを浴びたい時には、滝に打たれた。
そんな生活を99年間は続けていた。
その結果、ワシの身体はまさに究極の鋼の肉体へと生まれ変わったのじゃ!
見よ! この筋肉美を!
肌の色・艶・強度、まさに完璧な肉体に近づいたのじゃ!
最早、体脂肪率は何%の世界…ハーディスから貰った銀製の鎧よりも、強靭な肉体になったと言ってもいい!
だが、しかし!
現状で満足するなど、あり得ない!
まだだ!
日々の努力、特訓を怠ってはいけない!
今のワシに余念や妥協などは、一切ない!
前進あるのみなのじゃ!!
そんなある日の朝。
森の外で人の声が、聞こえていた。
そういえば、自分以外の人間にはまだ、会ったことがないのう。
99年間もこの森の中で生きてきたから………のう。
たまには、少し…外に出てみるか…?
次回、戦闘イベント発生?