70、回収部隊の到着:2
今回はヴァグドーが強すぎる為、戦闘を割愛させていただきました。
●【No.070】●
臨王国、
『修塁昌』のとある街の某所にある、例の奇妙な洞窟……[修塁昌洞窟]の入口には、鯉娃将軍と臨軍一万の兵士にヴァグドーたち八人の一行が、既に到着していた。
案内役として、大魔女シャニルとアルベルスとアルラトスの三人も、同行していた。
[修塁昌洞窟]の外の周辺では、少しヒンヤリとしていた。
「あれがぁー、例の奇妙な洞窟ですわぁ~~♪」
大魔女シャニルが洞窟の入口を指差して言った。
するとヴァグドーが前に出てきて、
「よし、では…早速じゃが、洞窟の中に入っていって、その強力で凶悪な化物とやらを、倒しに行こうかのう。」
「はい、そうですよね。 まぁヴァグドーさんだけでも、全然大丈夫でしょうけど……ね。」
「………」
「頑張って下さい! 師匠」
「お気をつけて下さい、ヴァグドー様!」
「がんばれ~♪ ダーリン♪」
「え? ヴァグドー……あなた一人で、あの凶悪な化物を倒しに行くつもりなのぉ~?」
「まぁのう、ワシが殺られたら、次は勇者の出番じゃな!」
「ふふふ、当然だ! シャニル! ヴァグドーはな、世界最強の男なのだ! お前もあの男の力を見て、驚くなよ!」
何故か、テミラルスがまるで自分のことのように、得意げに自慢げに話していた。
「ふぅーん、そんなに強いんだぁ~~♪ それなら……お手並み拝見だよねぇ~~♪」
「ふむ、では…行くかの」
そういうとヴァグドーは一人で、[修塁昌洞窟]の中に入っていった。
―――約5分ぐらいが経過して、[修塁昌洞窟]の入口から姿を現したヴァグドーが、特殊なアイテムである蒼色の盾を、手に持って戻ってきていた。
「は、早いぃ!?」
そこで大魔女シャニルが驚愕していた。
「お疲れ様です、ヴァグドーさん。 それで……中の様子はどうでしたか?」
「ふむ、洞窟内部の一番奥には、以前ワシが倒したことがある "巨蒼龍" とか言うドラゴンが居たのう。」
「まさか、そのドラゴンをたった一人で倒したのですか?」
今度はアルベルスが驚愕していた。
「ふふふ、嘘だと思うなら中に入って、確認するがいい―――と言っても巨蒼龍は、もうこの蒼色の盾に姿が変わってしまったがのう。」
そういうとヴァグドーは、戦利品であり特殊なアイテムでもある、蒼色の盾【氷雪の盾】を皆に見せていた。
「……スゴい……」
遂にアルラトスも驚愕していた。
「ただ…残念なことに……鯉娃将軍、洞窟内部の一番奥にあった金塊や財宝も、一緒に凍っておったのじゃがな。」
「え? そうなのですか?」
「ふむ、で…どうする? 氷を叩き割ってもよいが、少し日数がかかるぞ!」
「……むむっ それは確かに、困りましたね……」
「はい、そうですよね。 氷には炎なのですが―――」
「それなら、私がその氷を溶かしてあげるわぁ~~♪」
そういうと大魔女シャニルが、[修塁昌洞窟]の入口の前に立ち、右手の掌を身体の前に突き出した。
『私はぁー、焔の王を放つわぁ~~♪』
すると、シャニルの右手の掌から紅色の魔法陣が、ポワーンと出てきた。
『【焔王砲】~~♪』
ズゴゴオオオォーーッ!
紅色の魔方陣から真紅の焔の極大光線が、洞窟の入口から中に入っていき、洞窟の中の全体が、シャニルの焔で焼き尽くされていた。
ジュウウウーーー……
「これでぇー、金塊や財宝に凍りついた氷も溶けたでしょ? でもぉー、中はまだ少し熱いからぁー、すぐに入ってはダメだよぉ~~♪」
「はい、判りました!」
「さすがですね、シャニル」
「なんだよ、シャニル! お前が最初から、その魔法で凶悪な化物を倒せば、ヴァグドーがわざわざ洞窟の中に、入る必要がないだろう!」
「うふふふぅ~♪ 私は昌留吏だよぉ~♪ そんなことをする義務はないわぁ~~♪」
「………ちっ」
テミラルスは舌打ちをした。
その後は夕方となり、[修塁昌洞窟]の中の温度も元通りに戻り、臨軍一万の兵士が鯉娃将軍の指揮のもとで、洞窟の中の一番奥にある金塊や財宝を、全て回収していた。
その様子を、ヴァグドーや勇者アドーレたち八人と大魔女シャニルたち三人が、護衛・見守っていた。
「ねえねえ~♪ ヴァグドーはぁー、一体何しに、この国に来たのぉ~?」
「ふむぅ、自分自身を鍛える為に、諸国を放浪しておるのじゃよ。 この国もそういった関係で、立ち寄っただけじゃよ。」
「へぇ~♪ ビルドアップよねぇ~~♪」
「あのー、沢山の女の子を引き連れて……ですか?」
「ふむふむ、なかなか楽しいのう。 まぁ…ワシ一人だけでもいいのじゃが、皆が好き勝手に同行しているのじゃよ。」
「へぇ~ そうなのですか。 まるでハーレムですよねぇ~」
「ところでシャニルよ、早速…報酬金をいただきたいのじゃが、やはり…この国には、ギルド冒険商とかは…ないのか?」
「ええ、ないわよぁ~~♪」
大魔女シャニルがケロッと答えていた。
大魔女シャニルもヴァグドーに、興味を持ち始めている?




