69、プレゼント~♪
シャニル「ハロー♪ 私、シャニル♪ また登場するので、よろしくねぇ~♪」
●【No.069】●
臨王国、
『修塁昌』にある街の中にある家にて。
ある日の朝の出来事。
その家の中では、いつものように大魔女シャニルが、とある部屋で椅子に座り、紅茶が入った白色のカップを手に持ち、読書をしながら優雅にしていた。
「………」
そこにアルベルスとアルラトスの二人が、慌てた様子で大魔女シャニルの所まで来ていて、話しかけてきた。
「マスター・シャニルゥー!」
「……?」
「た、大変です! シャニル様! 臨軍がこの修塁昌にも来ました!」
「えぇっ!? それは本当なのぉ!? 本当に来ちゃったのぉ!?」
「はい!」
「はーい!」
「あらあら、それは大変ねぇ~~♪ それで…その臨軍の詳細な情報は、何かあるのかしらねぇ~~♪」
「はい、臨軍の兵士は約一万で指揮している将軍は、鯉娃将軍です。 しかも勇者アドーレ一行も、同行しているようです。」
「マスター・シャニルの予想通りです。 おそらく目的は、修塁昌にある洞窟内の金塊や財宝が、目当てだと思われます。」
「トレジャーねぇ~~♪」
「どうしますか? マスター・シャニル」
「そうねぇ、仕方ないわねぇ。 これは出迎えないと、いけないわよねぇ~~♪」
「はい、判りました。 それではすぐに支度をしますので、シャニル様も支度の方をお願いします。」
「ええ、わかったわぁ~♪」
そういうと大魔女シャニルは、家の奥にある自室に入っていき、なにやら着替えているようで、再び自室から出てきた時には、服装が変わっていた。
その容姿とは、黒色の帽子に黒色のローブの上に黒色のマントを身に付けて、黒色の手袋に黒色の長靴も履いて、全身黒ずくめの状態で現れていた。
アルベルスとアルラトスの二人も、本来の正装に着替えていて、準備も完了していた。
「よーし♪ では…行きましょうかぁーねぇ~♪」
「はい、判りました。」
「はーい♪」
大魔女シャニルとアルベルスとアルラトスの三人は、そのまま家を出ていき、何処かへ向かって出掛けていった。
―-―・●・―-―
『修塁昌』のとある街では、鯉娃将軍と臨軍一万の兵士に、ヴァグドーたち八人の一行が、既に到着していた。
鯉娃将軍やヴァグドーたちの目的は、あくまでも[修塁昌洞窟]の中にある金塊や財宝の回収である。
「さぁ、到着しました。 勇者様、ヴァグドー殿……ここが修塁昌です。」
「ふむ、そうか」
「はい、それでその洞窟とは、一体何処にあるのですか?」
「はい、でも…その前に修塁昌の昌留吏に、お会いしないといけませんね。」
「あっ! ここの昌留吏は……確か……っ!」
すると突然、声がして―――
「皆さーん、お揃いでようこそ、この修塁昌にいらっしゃいましたねぇ~~♪」
「………」
大魔女シャニルとアルベルスとアルラトスの三人が、鯉娃将軍やヴァグドーたちの前に姿を現していて、出迎えていた。
大魔女シャニルはニコニコと笑っていたが、アルベルスとアルラトスは無表情であった。
「どうもです、シャニル」
「あらあら、アドーレちゃん♪ お・ひ・さ♪」
「………」
「あぁっ!? テメエ! 遂に見つけたぞっ!!」
大魔女シャニルの姿を見つけたテミラルスが、シャニルの方に向かって大声を上げて威嚇していた。
「あらあら、テミーラちゃん♪ ようこそ、いらっしゃいましたねぇ~~♪」
「だ・か・ら! その呼び名はやめろ! アタシの名前はテミラルスだ!」
「うふふふぅ~♪」
大魔女シャニルはニコニコと笑っていた。
そこに鯉娃将軍がズイッと前に出てきて、
「早速ですが、昌留吏殿……その洞窟の方に行きたいのですが?」
「あ、はいはい♪ ……? それでそちらの方は……?」
大魔女シャニルがヴァグドーの方を見ていた。
「ふむ、ワシの名前はヴァグドーと言うのじゃ! よろしくな、シャニル!」
「はーい♪ シャニルよぉ~♪ よろしくねぇ~~♪」
(確かに……これは…忘れそうで、言いにくい名前だわねぇ~~♪♪)
「そうそう、そんなお前さんにプレゼントじゃ!」
「………えぇ?」
そういうとヴァグドーが、【魔法の虹色水着】と【獄蓮の杖】の2つのアイテムを取り出して、大魔女シャニルに手渡していた。
「これを私に……?」
「ふむぅ、これは…お近づきの印じゃな。」
「あらあら、ありがとぉー♪ 私にプレゼントを持ってくるなんて、ポイント高いわぁ~♪ 好感度アップよぉ~~♪」
「そ、そうかい」
「そうよぉ~~♪」
「………」
嬉しそうに喜んでいる大魔女シャニルの姿を、ヴァグドーがただただ呆然と眺めていた。
シャニル「なるほど、なるほど♪ 彼がヴァグドーねぇ~♪」