62、臨王国の歴史:2
※前回の臨王国以前に起きた出来事についてのお話しの続きです。
●【No.062】●
臨王国、建国以前の出来事……
大国・蔭国は、小国でありながらも最後まで抵抗していた "凉国" や "瑶国" や "臨国" から、かなりの大打撃を受ける事になってしまったのだが、それでも地力で勝る蔭国が、まだなんとか持ちこたえていた。
動揺している蔭軍が態勢を立て直す前に、"凉軍" はさらに攻め立て、蔭国の国力や領土などを奪い取りたいところだが、蔭国も大国だけあってなかなかしぶとい。
ここで最初に力尽きたのが、"凉国" であり、最後の抵抗も及ばず……蔭軍の強力な攻撃を前に完全に滅亡してしまったが、ここでの "凉国" が果たした役割が非常に大きかった。
次にこの "凉国" の必死の抵抗に感化されて共感したのが、同じく蔭国によって支配・平定されていた小国の "條国" であり、突如として裏切り反旗を翻していて、この "條国の條軍" も内部(中央)から蔭国の手薄な場所を攻撃していて、それとほぼ同時に "瑶軍" や "臨軍" も、それぞれ外部から蔭国の最も手薄な場所への攻撃を再開していた。
またしても、複数の小国による "まるで呼応するかのような同時多発の攻撃" に蔭国はたまらずに、第二の大打撃を受けてしまったのだ。
今度の大打撃はかなり強烈であり、大国であるはずのさすがの蔭国も、相当こたえたようであり、国自体もよろめき始めていた。
それを見ていた "條軍" がさらに攻勢をかけていき、蔭軍もこれに応戦しており、今度は大国・蔭国と小国の "條国" や "瑶国" や "臨国" の対決の構図となっていた。
ここで遂に、蔭国の弱体化が始まるのだが、それでもまだ蔭軍の底力は強力であり、また内部で反逆している "條国" に総攻撃して、今度こそ完全に滅亡させる事に成功したのだが、ここでも "條国" が果たした役割が非常に大きかった。
蔭国の勢力が著しく弱まり……さらなる弱体化、ここぞとばかりに "瑶軍" が総攻撃をかけていき、蔭国がたまらずに東征を諦めていて、北東部・南西部・中央部を放棄して、西部まで引き揚げさせる事に成功したのだが、それとほぼ同時に捨て身の "瑶国" も、ここで遂に力尽きて完全に滅亡してしまった。
最後に残った "臨軍" が、西部に戻った瀕死の蔭国・蔭軍にとどめをさして、"臨国" が天下統一を果たして臨王国が誕生したのだ。
1.《凉国》(北部の小国)……一番目に滅亡。
凉軍の兵力は五万・蔭国に支配→反逆→敗北
※「基本は独自に行動」
2.《條国》(中央部の小国)……二番目に滅亡。
條軍の兵力は三万・蔭国に支配→反逆→敗北
※「基本は独自に行動だが、凉軍に協力」
3.《瑶国》(南部の小国)……三番目に滅亡。
瑶軍の兵力は五万・蔭国に抵抗→敗北
※「基本は独自に行動」
4.《蔭国》(西部の小国→大国)……四番目に滅亡。
蔭軍の兵力は五十万・凉国.條国を支配(再平定)→瑶国に勝利→臨国に敗北
※「小国を滅亡して、全国を支配する」
5.《臨国》(東部の小国→王国)……生存.全国を統治。
臨軍の兵力は十万・蔭国に抵抗→勝利→統一
※「基本は独自に行動」
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臨王国、中央都市『臨響昌』内の……『宋尊城』の中にある臨王の執務室にて。
臨王とヴァグドーたち八人の話し合いが、まだ続いていた。
「―――と言う訳です。」
「ほほう、この国にはそんな歴史があったとはのう。」
「…それは…大変でしたね…」
ニーグルン姫はしんみりと感想を述べていた。
「確かに…凄いですよね。」
「へぇ~♪ そぉ~♪」
「なんだよ、結局は "漁夫の利" じゃん?」
さすがはテミラルス、相変わらず空気が読めないようだ。
「おい、テミラルス! 臨王様に対して、それは失礼だろう! 臨軍もちゃんとしっかりと戦っていたのだ!」
そこにカグツチがしっかりとフォローした。
「ふふふ、大丈夫ですよ。 事実ですし、問題ありません。」
臨王も優しく受け答えた……さすがは王国の王様、度量や器が大きい。
「なるほど、それであちこちで暴れまわっている "蔭兵" は、返り咲きを狙っているのか?」
「……っ!」
「はい、もしかしたら……そうかもしれませんね。」
「まったく困った連中ですよね。 体制は既に決定しているのに、まだ無駄な事を……。」
「ふむ……敵の残党 "蔭兵" か……だが、もっと別のところに目を向けなければ、本当に滅びるかもしれないな……。」
そこにヴァグドーが意味深な台詞を言っていた。
※ヴァグドーたちが、次にどう動いてくるのか…?




