61、臨王国の歴史:1
※勇者アドーレと臨王の再会・対面は続いていた。
●【No.061】●
臨王国
中央都市『臨響昌』
街の一番奥にある、お城『宋尊城』
臨王が普段から使用している、お城の中にある執務室
『宋尊城』とは、臨王国建国時に中央都市『臨響昌』の開拓と共に建造されたお城であり、お城の大きさとしては、一般的な普通の大きさで屋根が赤色で壁は白色、大きな扉は黄色で窓も意外に多くあり、さらに沢山の部屋があると思われるが二階以上はなく、屋根の一番上には、臨王国の紋章が書かれた旗がなびいていた。
臨王の執務室は、それほど広くはなく質素であり、物についても机や椅子や棚や本や資料などの仕事に関係する物しか置いていない。
臨王はヴァグドーたちの為に、八人分の椅子を用意すると、臨王とヴァグドーたち八人は向き合うようにして、座っていて話し合いが始まった。
「うむ、久しぶりだな。 勇者アドーレよ」
「臨王もお元気そうで、なによりですね。 臨王国もよく発展していると思います。」
「はははぁー なんとか、なぁ―――」
そう言いながらも、臨王はヴァグドーたちの方を見ていた。
それに気がついた、ヴァグドーたちが話しかけてきた。
「はじめましてじゃな、ワシの名前はヴァグドーじゃな。 宜しくな、臨王よ」
「おお、あなたがヴァグドー殿か……こちらこそ、宜しくお願いします。」
「はじめまして、私の名前はニーグルンと言い、アーサンティラル王国の国王の娘をしております。 どうぞ、宜しくお願いします。」
「おお! あなたがアーサンティラル王国の姫君でしたか? これは失礼しました! こちらこそ、宜しくお願いします。」
「アタシの名前はテミラルスだよ、よろしくね。 見ての通りの魔族だけど、人間に危害を加えるつもりはないよ。」
「おお、魔族までいましたか、凄いですね。 こちらこそ、宜しくお願いします。」
その後もヴァグドーたちは、臨王に自己紹介をしていて、臨王は最近までに起きた出来事を話し始めていた。
「ふむ、なるほど、では…その洞窟の中にいる凶悪な化物とやらを倒せば…いいのじゃな?」
「はい、そうなのですが、その化物がやたら強いのです。 残念ながら、我が精鋭の兵士でも全く歯が立たないのです。」
「ふむ、そうか」
「ところで、ひとつ質問なのですが、あの黒色の鎧を着ていて、あまり見慣れぬ兵士は一体何なのですか?」
「はい、あれは敵の残党……かつて "蔭" と呼ばれた国のひとつであり、我が "臨" によって、滅ぼされた国の兵士である…… "蔭兵" ですね。」
「ふむ、なるほど、自分たちが敗北して滅ぼされたことに納得がいかず、今もこうしてあちこちで暴れまわっているのか?」
「はい、お恥ずかしい話しですが、まさにその通りです。」
「…… "蔭兵" ですか? …そうですか、まだ完全には…滅んでいなかったのですか? ……彼らは……」
「ん? ……何かあったのか? …アドーレよ」
「はい、ボクは以前は臨軍の大将軍として、臨王と共に敵と戦った経験があります。 その時の敵が当時で最強の "蔭軍" だったのです。」
「…ほう…」
「……むむっ……」
当時、最大勢力と言われていた大国・蔭国が、北西大陸(現在の臨王国が統一している土地)の3分の2を蔭国が手中にしており、軍事力も当時は最強だったと言われていて、その兵力は最大で五十万もあり、力無き弱小の "地方の国々" は、相次いで滅亡・平定の道を歩んでいった。
そして、本来ならこの蔭国こそが、全ての国を滅ぼし天下統一をして、蔭王国になるはずの充分な実力(国力・軍力・金力など)を持っていた。
しかし、大国であるが故に誤算が生じた。
既に、蔭国に支配されていた小国のひとつである、"凉国" が突如として裏切り、再び反旗を翻したのだ。
油断していた蔭国が、内部からの攻撃を受ける事になり、さらに最後まで抵抗していた小国の "瑶国" が同時に外部から攻撃してきた。
これに同じく最後まで抵抗していた、小国の "臨国" が即座に反応した。
大国・蔭国は、自国の内部(北側)から "凉国の凉軍" の必死の抵抗と、外部(南側)から蔭国の手薄な場所を攻撃した "瑶国の瑶軍" に、それとほぼ同時に、別動隊から "臨国の臨軍" が外部(東側)から蔭国の手薄な場所を攻撃する "まるで呼応するかのような同時多発の攻撃" で、蔭国が一気に大打撃を受けてしまった。
《蔭国》……西部・北部・西南部・中央部を平定・支配した。
蔭軍の兵力は最大で五十万
《凉国》……元は北東部を平定・支配していたが、のちに蔭国に平定・支配された。
凉軍の兵力は最大で五万
《瑶国》……南東部を平定・支配した。
瑶軍の兵力は最大で五万
《臨国》……東部を平定・支配した。
臨軍の兵力は最大で十万
※臨王国の成り立ちの話しは続く。




