表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/329

55、臨王の登場:1

※今回から "臨王国編" を開始します。

お楽しみに!

それでは、宜しくお願いします。


  ●【No.055】●



 (リン)王国。



 例えるなら、アーサンティラル王国は中世ヨーロッパ(ローマあたり)の世界観なのに対して、(リン)王国はさしずめ古代中国の世界観なのである。


 勿論だが、皇帝と呼ばれる者はまだ存在していないが、王様は当然ながら居て、その名も『臨王』と呼ばれている。


 (リン)王国は現在では、治世に入っているのだが、一昔前はそれぞれの国王が国取りの戦争をしている "群雄割拠" と言うモノであり、その中で(リン)と呼ばれる国が他国を制圧し、俗に言う "天下統一" を果たしたのである。


 これは『臨王』が(リン)王国を建国した後のお話しである。




 朝廷、…(まつりごと)


 臨王は一番奥にある玉座に座り、家臣たちと一緒に政治と経済と軍事について議論をしていた。


 家臣には文官と武官がいて、文官とは事務をする人(事務官)、頭で行動するタイプで、政治に詳しく頭の回転も早く策略家であるが、武力を持たない人たちのことを言い、彼らが政治(政策)を受け持つ。


 一方の武官とは、軍人の将軍クラスであり、武力が高く戦争が得意で、武器や戦略の扱いにも慣れているが、政治についてはあまりよく解っていない人たちのことを言い、彼らが軍事(三軍)を受け持つ。


 そして最後の経済は、臨王と財政担当の側近が受け持つ。




 臨王と財政担当の側近たちは、国家予算について議論をしていた。


「陛下、軍事における出費が酷すぎて、経済が立ち行きません。 国民からの税率をもう少し引き上げませんと……。」


「それは駄目だぞ! 国がまとまって、まだ日が浅い……国民の反感を買うと暴動が起きかねない!」


「しかし、それでは国家予算が定まりません。 そうなると国そのものが立ち行きません。」


「…まさか…今の臨の国家予算は赤字なのか…?」


「………」

臨王の財政担当の側近たちが沈黙していた。


「それはいかんな! さて、では…どうしたものか…?」


すると別の側近が―――

「それでしたら、軍事にかかる予算を減少させたらどうでしょうか?」


「……なに? 軍事の予算を減らす…? いや、しかし…それは―――」

(それでは……将軍たちの反感を買うのでは!?)


臨王は少し考え込むが―――

「皆の者、今は新しく国が建国してからまだ日も浅い…そう容易(たやす)くいく訳がないのだ! 国家予算など多少の誤差があって当然なのだ!」


「では…今からでも修正されますか?」


「いや、違う! 国家予算決定を見送るつもりだ!」


「えぇっ!!?」

財政担当の側近たちが一斉に驚愕していた。


「この時期に国家予算を決定するのは明らかにおかしい! 翌日、家臣たちを全員、朝廷に召集させろ! この余から直々に説明する! よいか?」


「…は…はい…」

臨王は動揺している側近たちを一旦、解散させた。





 翌日の朝廷、…(まつりごと)


 臨王の国家予算決定の見送りに家臣たちは動揺しており、一体どういう事なのか……と質問が続出していた。


 臨王の説明では、今の時期では国民からの税収が完全に行う事ができずにいて、もう少し時間をかけてから国家予算を決定した方がいい為に、国家予算決定の時期を変更したいのだと言う。


「……国家予算の決定の見送り……?」


「……え? 国家予算決定の時期を変更されるのですか? それでは…(まつりごと)はどうされますか?」


(まつりごと)と国家予算決定は切り離して行う。 さらには軍事も切り離す事にする。」


「……っ!!?」


「そもそも(まつりごと)と国家予算決定と軍事を同時期に行う必要はない!」


 …ざわざわざわ


 家臣や臨王の側近たちは、動揺しながらお互いに話し合っていた。


「…動揺しているようだな。 だが、国は新しく生まれ変わったのだ。 従来のやり方では、通用しない事もあるのだ。 それを家臣たちにも判ってもらいたいのだ。」


「……判りました。 それで時期については、いかが致しますか…?」


「うむ、それについては、後日あらためて議論するつもりだ。 それまでに各自は、自分の意見や見解を考えて聞かせて欲しいのだ。 よいか?」


「はっ 判りました!」


「それでは、今日はこれにて解散する。」


 臨王は家臣全員を解散させて、それぞれの持ち場に戻らせた。


「………」


 臨王も自分の部屋に戻っていき、椅子に座ってため息をついた。


「はぁー…勇者アドーレは遅いなぁー…まだ戻らないか…?」




やっぱり臨王と勇者は知り合いなのか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=676877153&size=135
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ