50、いざ、次の国へ
王様との謁見の続きからです。
●【No.050】●
第1の都市、王都・ラームの城下町…現在、お城内部の『玉座の間』にて、ヴァグドーたち一行が、王様に謁見中。
「………?」
「あ…悪魔神…! まさか……その様なモノが…?」
メルルスクリム姫の顔が青くなっていた。
「や…やっぱり…危険な存在…なのですね…?」
ニーグルン姫の顔も青くなっていた。
王様が自分の二人の娘の異様な変化に気がつき、質問してきた。
「お前たちは一体何を、そんなに恐れているのだ? まるで、とてつもない化物の出現に脅えているようだぞ?」
すると勇者アドーレが―――
「この世界を支配しようとする真の敵……悪魔の神にして最凶最悪の存在……そして非常に危険な存在……。」
勇者アドーレの話しにヴァグドーが質問した。
「そんなに強いのか、その悪魔神とやらは? 今のワシでは…戦っても勝てぬと言うのか? …アドーレよ」
「はい、おそらくは……今のままのあなたとボクが二人同時に戦っても、まだ…勝てないかと思います……。」
「なんですと!!?」
「えぇっ!!?」
「そんなバカな!!?」
「……っ!!?」
王様をはじめ、その場にいた全員が、動揺し衝撃が走った。
なんと言うコトじゃ!!
正直…今のワシでも、この世界に並ぶ者なしと自負していたのじゃが、それでもまだこのワシが勝てぬ者がいたとは……っ!
やはり…まだまだ未熟なり……
「ボクはこれを機に、この国を出国して世界中を旅していき、自身の力を高めつつ…悪魔神の捜索を行うつもりです。」
「な…なんと、だが…それは過酷な旅になるだろう……。」
「それがボクの勇者としての使命です。」
「ワシも勇者アドーレに同意じゃな、ワシもまだまだ強くなれるはずじゃ。 王様は先程、目的を問われたがワシの答えは既に決まったのじゃ。 このワシが世界の頂点に立つには、どうしても神を倒さなければいけないらしいからのう。」
「うっ …そなたも…なのか……?」
「それがワシの宿命じゃ!」
威風堂々!!
ヴァグドーと勇者アドーレの二人の…全身から溢れる程の強力な闘気が、王様にも伝わってきていた。
「なるほど…余は感動している! まことにあっぱれである! そなたたちの目的と意志…しかと聞かせてもらった! 余も最大限の協力をしよう!」
―――その時、
ニーグルン姫が王様に話しかけてきた。
「お父様! 私もヴァグドー殿たちと一緒に旅に出たいと思います!」
「…ニーグルン…」
「何!? お前までもが!?」
「はいっ!! お父様!!」
ニーグルン姫の目がキラキラと輝かせていた。
「やれやれ……どうやら彼らに触発されたか……ならば、自分の目で未来の殿方の実力を見定めるがいい! だが、これからの旅が過酷なのは、お前も判っていような!?」
「はい、勿論、覚悟は出来ています!」
「うむ、そうか。 余はあなたたちのご武運をお祈りしておりますぞ!」
王様は満足な顔をしていた。
これでヴァグドーたち一行は、王様の謁見を無事に終了した。
ヴァグドーたち一行は、再び高級宿屋に戻っていき、今日は身体を休めることにした。
ニーグルン姫は、また今まで通りの旅をしていた時の服装に戻っており、ルドルス将軍は、正式に姫付の護衛将軍に任命されていて、ニーグルン姫と共に行動することになった。
当然、テミラルスもついていくつもりだし、カグツチ、ロンギルス、エクリバの三人の娘も、ヴァグドーたちについていくと言っていた。
(今まで、この国で得た全ての物は、引き続き持っていくことになった)
「それでアドーレよ、次は何処に向かうつもりなのじゃ?」
「はい、ボクはまた臨王国に戻るつもりですが、一緒に行きますか?」
「ふむ、よかろう。 では次は臨王国じゃな。」
「はい!」
こうして、次の目的地は臨王国に決定した。
ヴァグドーは、勇者アドーレ、カグツチ、ロンギルス、エクリバ、ニーグルン姫、ルドルス将軍、テミラルスの七人と一緒に、このアーサンティラル王国を出国して、次の国へと旅に出ることになった。
翌日、ヴァグドーたち一行は、旅立つ準備をして、街の出入りに向かうと、メルルスクリム姫が待ってくれていた。
「皆様、本当にどうもありがとうございました。」
「それではお姉様、行って参ります。」
「頑張ってきて下さいね、ニーグルン。 ルドルス将軍、あとのことはお願いしますね。」
「はっ お任せ下さい! この私が身命を賭して、妹君をお守り致します!」
「大丈夫ですよ。 師匠がいれば、何も問題ないです。」
「はい、無敵のヴァグドー様に勝てる者などいません。」
「ダーリン♪ 最強~♪」
「ふん、まぁ…アタシもいるし、なんとかなるでしょ。」
「それではメルルスクリム姫、ボクたちはこれから臨王国に行ってきます。」
「ふむ、ではお前さんも達者でな! メルルスクリム姫よ!」
「はい、皆様のご武運をお祈りしております。」
メルルスクリム姫が、ワシらの新たな旅立ちを見送っていた。
ありがとう、さらばじゃ!
我が心の故郷よ、そしてまた会おう!
アーサンティラル王国よ!!
【注意】
※最終回ではありません。
まだまだ続きますよ。




