49、王様に謁見する
絶望老人ヴァグドー!
遂に王様に会う!!
●【No.049】●
第1の都市、王都・ラームの城下町。
ヴァグドーたち一行は、そのままお城の方に向かって歩いていた。
「ほーう、これはまた……大きな建物だのう。」
その途中では、大きな白色の建物を発見していて、その建物とは、この国のお金である紙幣を作っている建物であり、ここから全国に広まっている。 また、お金の単位がRなのは、この街の名前に由来しているのかは、不明である。
ヴァグドーも今や沢山のお金を持っているが、旅の前半は倹約しての質素な旅、後半はニーグルン姫の顔パスで、ほとんど使え切れておらずに、未だに沢山のお金が残っている。
「おお、見えてきたぞ! あそこじゃな!」
やがて、大きなお城が見えてきて、大きな扉も見えてきた。
その扉の前には、門番の兵士が二人並んで立っていて、警備をしていた。
門番はヴァグドーたち一行が、扉に近づくのを見て―――
「なんだ、お前たちは? ここに一体何の用―――」
門番の形式的な質問なのだろうか、だがそれを言い終える前にあるコトに気がつく。
「……はっ! もしかして……あなた様が、ヴァグドー様ですか!?」
門番は大変驚愕していた。
「これは失礼しました。 すぐに王様にお知らせを―――」
門番が慌てていると、門番の背後から声が聞こえた。
「お前たちはいい。 私が彼らを案内する。」
ルドルス将軍がそこにいた。
「おお、ルドルス将軍ではないか? 来てやったぞ!」
「はい、ありがとうございます。 それでは…こちらにお入り下さい。」
すると扉が開いて、ヴァグドーたち一行が、お城の中に入っていくと、広く長い廊下が見えていて、床には赤色の絨毯が敷いてあり、天井にはいくつもある大型のライトが廊下を照らしており、左右には部屋のドアがいくつも並んでいた。
「この廊下の奥にある部屋が、王様がおります玉座の間にあたります。 ヴァグドー殿」
「………」
「それでは…行きましょうか。 ヴァグドー殿」
お城の中は、なかなかの重厚感ある雰囲気であり、今まで宿泊してきた高級宿屋などとは、比べモノにならないぐらいの豪華な造りとなっていた。
「ほーう、ここもなかなか……だのう。」
ヴァグドーたち一行が、廊下を奥の方まで歩いていくと、また大きな『玉座の間の扉』が見えてきて、その扉の前にはニーグルン姫が、正装である銀色のティアラと空色のプリンセスドレスを着て、立って待っていた。
「おお、ニーグルン姫か」
「はい、お待ちしておりました。 ヴァグドー殿、お父様も大変お待ちしておりますよ。」
「ふむ、そうかのう。」
「はい、それでは…中にお入り下さい。 ヴァグドー殿」
『玉座の間の扉』が開いた。
非常に広い空間……床には翡翠色の絨毯が敷いてあり、その中心部分には、この国の紋章が書かれていて、天井には大型のシャンデリアが吊り下がっており、左右には王国軍兵士がズラリと整列して立っていて、その一番奥にはふたつの『玉座』があり、右側にはメルルスクリム姫が座り、左側にはこのアーサンティラル王国の王様が座っていた。
メルルスクリム姫は、正装である銀色のティアラと藍色のプリンセスドレスを着ていて、一方の王様は、金色の王冠と真紅色の王様用のマントを身につけて、服は翡翠色の豪華なモノを着ていて、見た目は50代ぐらいの男性であろうか。
「ほーう、なるほどのう。」
これがヴァグドーの最初に見た感想であった。
ヴァグドーたち一行は、ルドルス将軍の案内で王様の御前まで近づいていた。
―王様の謁見が開始された―
まず王様から話しかけてきた。
「余がこの国を治める王である。 そなたがヴァグドー公か? まずは余の娘……メルルスクリムを助けてくれて感謝する。」
「ふむ、その通りじゃが…それほどでもないのう。」
「うむ、そうか……ふう……もう噛み砕いて話そう……ヴァグドー殿のご活躍は、いつも聞いておりますぞ! ところでいつも、その様な喋り方をしているのですか?」
「ふむ、その通りじゃが…最早クセでな、それにもう直すつもりもないのう。」
「うむ、それで…あなたは一応は冒険者となっていますが、これからの目的や職業とかは…もう決めていますか?」
「ん? …目的…職業…? …さぁのう…」
この質問にヴァグドーは、少し考え込んでしまった。
すると今度は勇者アドーレが話しかけてきた。
「王様、ボクが勇者アドーレと言います。」
「おお、そなたがあの勇者殿か? あなたのご活躍も聞いておりますぞ!」
「はい、この国の凶悪なモンスターはほとんど討伐することに成功しました。 しかし、世界中にはまだ凶悪なモンスターが沢山います。 それらも討伐して、その諸悪の根源を倒さなければなりません。」
「おお、それはもしかして大魔王ですな?」
「いいえ、それは違います。 ボクが倒すべき真の敵の名は『悪魔神トニトリエクルス』と言います。」
「……っ!!?」
その名を聞いた途端に、ニーグルン姫やメルルスクリム姫の顔が青くなっていた。
「………なに、それ?」
王様は何のことか解らずに、不思議そうな顔をしていた。
「はい、ボクは "それ" を世界中から探さなければいけません。 勿論、この世界にいれば…ですけど…ね。」
ヴァグドー、王様との謁見は続く。