45、王都に入る
ヴァグドー、遂にアーサンティラル王国の王都に到着する。
●【No.045】●
ワシら一行は、アーサンティラル王国の第1の都市…王都・ラームの城下町に向かっていたのじゃ。
なるほど…ニーグルン姫が、昔…起きたとされる戦争の話しの時に、第2の都市のヤノワディオスの町が落ちてしまっていたら、王都・ラームの町も危険であると言う意味が、ようやく判ってきた。
これはヤノワディオスの町とラームの町との間の道が、本当に凄く近くであり、その距離は徒歩でも約3時間ぐらいもあれば行ける距離にあり、しかも道路もなかなか立派に舗装されていて、意外と広い。
ワシは思い出しておった。
第10の都市のアーラントの町にあるギルド冒険商の主人の娘である「アリナ」が、旅立つワシに言ったあの台詞…彼女の予言通りに、遂にここまでやって来たのじゃ。
そして…遂に見えてきた。
第1の都市にして王都・ラームの城下町…今までの街より、はるかに大きな街であり、人・家・店なども非常に多いようである。
その街の一番奥には、凄く大きくて立派なお城が建っており、大きな扉に白色の外壁に赤色の屋根があり、この国の紋章が書いてある旗が風で揺れていた。
さらにその奥には、非常に大きくて高い塔が建っていた。
この塔こそが、ニーグルン姫が言う "地獄の塔" であり、厳密に言うと街の外に建っている塔である。
「さてと…取り敢えず…どうするかのう?」
「では…ヴァグドー殿。 まずはこのまま、ギルド冒険商に行きましょう。」
「ん? そうかの?」
「はい、まずはギルドに行ってから、そのあとで "地獄の塔" の方に、行かれればよろしいかと思います。」
「よし、では…そうしようかのう。」
ヴァグドーたち一行は、そのまま王都・ラームの城下町の中に入っていくと、街中は見渡す限りの人の多さに誰もヴァグドーたちとは、気づかずにそのまま通り過ぎていて、ヴァグドーたちもそのままギルド冒険商の方に向かっていった。
ヴァグドーたち一行が、ギルド冒険商の中に入ると、確かに冒険者はいるものの…その数は、今までの街の中で一番少なかった。
「どうやら冒険者はあまりいないようじゃな。」
「おそらくは…皆さん、"地獄の塔" の方に、向かって行かれているのですかね? ヴァグドー殿」
「ふふふ、なるほど…これはワシらもすぐに、行かねばならぬかのう?」
「相変わらず…余裕ですな。 ヴァグドー殿は……。」
「ふふふ、そうかのう。」
ワシらは早速だが、このギルドを仕切っている主人に会いに行ったのじゃ。
「お久しぶりですね。 アカネ!」
「おう! アカネ! 元気か!」
「ニーグルン姫様! ルドルス将軍! お久しぶりです! ご無事でしたか!」
彼女は黒髪のロングヘアーに、見た目が20代ぐらいの名前が「アカネ」と言う女性であり、このギルドの主人のようである。
あの三人は知り合いなのだろうか? …いや、当然かな… この街はアーサンティラル王国の王都であり、ここの人たちがニーグルン姫やルドルス将軍のコトを知らない訳がないからな。
アカネはヴァグドーの方を向いて見ていた。
「そちらの方は…どなたですか?」
「はい、彼がヴァグドー殿ですわ。」
「…え? この方があの伝説のヴァグドー様なのですか?」
ふふふ、最早…有名を通り越して、伝説にされてしまった様じゃのう。
「ふむ、ワシはあの "地獄の塔" に行きたいのじゃが、行っても構わんか?」
「…はっ!? ……と言うコトはあなた様も…もしかしたら "メルルスクリム様" をお救いに来たのですね!?」
「………はぁ?」
ワシは呆けていた。
「ええええぇーーーっ!!?」
ニーグルン姫とルドルス将軍の二人が、凄く驚愕していた。
「アカネ!? それは一体どういうコトなのだ!?」
「アカネ!? …な、何を言っているのか…まったく解りませんよ!?」
ニーグルン姫とルドルス将軍の二人が、アカネの方に慌てて詰め寄る。
「え…えっと、少し落ち着いて下さい。 …ニーグルン姫様…ルドルス将軍…」
「………?」
だが、ヴァグドーたちには、一体何が起きているのか…理解できていなかった。
また…何か事件でも起きているのか…?




