44、いざ、最後の街へ
●【No.044】●
ヤノワディオスの町の外にある "地獄の墓場" では、悪霊たちが消滅して、すっかりと静寂となっていた。
「ふふふ、これで少しは静かになったのう。」
しかし、その悪霊たちが楽しそうに踊っていた場所には、特殊なアイテムが落ちていた。
「お? 何か落ちておるぞ?」
その特殊なアイテムは【魔法の虹色水着】と呼ばれる虹色に輝くビキニ型の魔法の水着であり、当然なのだが、ヴァグドーたち八人には装備することができないアイテムである。
もし……装備するのであれば、おそらくは大魔女シャニルぐらいである。
「まぁ、仕方あるまい。 せっかくだから、拾っておこうかのう。」
「………」
ヴァグドーは取り敢えず、【魔法の虹色水着】を手に入れた。
これもきっと、あとで重要なアイテムになるだろう……と、ヴァグドーが思ったからである。
「では、もう街の中に戻って休むかのう。」
「はい、判りました。」
そう言うとヴァグドーたち一行は、再び街の中に入っていき、宿泊している高級宿屋に戻っていった。
翌日のヤノワディオスの町。
ヴァグドーたち一行は、旅立つ準備をして、高級宿屋を出ていき、早速だが…この街にあるギルド冒険商に行ってみた。
ギルド冒険商の中に入ると、何故か冒険者の数が少なくて、皆がもう何処かに出掛けてしまったのだろうか……代わりに王国軍兵士の数の方が、少し多いようである。
そしてギルドを仕切っている主人は、王国軍兵士が担当していた。
「ニーグルン姫様! ルドルス将軍! お疲れ様です!」
「はい、お疲れ様です。 引き続き、お願いしますね。」
「おう! ご苦労だったな! また頑張ってくれ!」
「はっ!!」
王国軍兵士の主人は、ニーグルン姫とルドルス将軍に向かって、敬礼をしていた。
「それでヴァグドー殿のご活躍は、当然ご存知ですよね?」
「はい、勿論です。 ヴァグドー様には、報酬金が出ています。 悪魔霊魂貴族討伐料金の300000Rです。 どうぞ、お受け取り下さい。」
「ふむ、そうか。 では、頂こうかのう。」
ワシはお金を受け取った。
「このコトは当然…お父様に、報告されているのですね?」
「はい、ご報告させております。 王様もぜひ、ヴァグドー様と勇者アドーレ様にお会いしたいそうですが……。」
「ですが、その前に王都・ラームの町にある "地獄の塔" に行きます。」
「…えっ!? … "地獄の塔" にですか…!?」
「はい、そうです。 これはヴァグドー殿のご希望なのです。 そうですよね? ヴァグドー殿?」
「ふむ、無論じゃ。 これで最後じゃからのう。 当然…行かせてもらうぞ!」
「……という訳ですので、 宜しくお願いしますね。」
「はっ! 判りました!」
「では…皆さん、そろそろ行きましょうか。」
「はい、判りました。」
「ふむ、わかったのじゃ。」
「姫様、将軍、皆様、どうかお気をつけて下さい。」
「はい、ありがとうございます。」
「おう、わかった。 では、さらばだ。」
そう言うとヴァグドーたち一行は、ギルド冒険商を出ていった。
するとニーグルン姫が―――
「そうですわ。 この街には、美味しいお肉の料理店がありますの。 ぜひ、行ってみませんか?」
「はい、いいですね。」
「行くぅーー♪」
「へぇー 肉か…」(じゅるり)
「ほーう、そうか、わかったのじゃ。」
そう言うとヴァグドーたち一行は、ニーグルン姫のおすすめの焼き肉料理店に入っていった。
そして食べ終わると、遂に残る最後の街にして、第1の都市である王都・ラームの城下町に行くだけである。
「なかなかいい味でしたね。」
「はぁー 美味しかったー♪」
「ああ、うまかったよ。」
「ありがとうございます。」
「ふむ、では…もうそろそろ行こうかのう。」
こうしてヴァグドーたち一行は、第2の都市であるヤノワディオスの町をあとにして、次の目的地である第1の都市にして、王都・ラームの城下町の方に向かっていった。
読者の皆さん、遂にこのアーサンティラル王国も、次の最後の街を残すのみです。




