36、第八の街に入る
●【No.036】●
ヴァグドーたち一行は、次の目的地である第3の都市、マユダの町に向かっていた。
まず先に、ニーグルン姫が所有している豪華な馬車の中には、ニーグルン姫と勇者アドーレの二人が座っていて、ルドルス将軍が御者台に座り、馬車を進めていた。
続いて次に、ヴァグドーが所有している馬車の中には、カグツチ、ロンギルス、エクリバの三人が座っていて、ヴァグドーは両手で二頭の馬を引いて歩いていて、馬車を進めていた。
第4の都市、"滅亡した地獄の街" から第3の都市のマユダの町までの道程は、それほど遠くはなく…またただひたすら東に行けば、いよいよ王都に近づくのだが、ヴァグドーの全都市制覇の目的の為に、あとふたつある街に立ち寄るつもりでいる。
ルドルス将軍は後ろで馬車を引いて歩いているヴァグドーに話しかけてきた。
「そう言えば…ヴァグドー殿は、ずっと "地獄の○○" を巡っているそうですね?」
「ああ、そうじゃが…次のマユダの町にも "それ" はあるかの?」
「はい、それは "地獄の水晶" と呼ばれるモノが―――」
―――その時であった!
「…な…なんじゃっ!?」
ヴァグドーは何かを感じたのか…神妙な面持ちになって立ち止まっていた。
それと同時に―――
「…な…なんだ!? これは…っ!?」
馬車に乗っていた勇者アドーレも、何かを感じたのか…上半身を外に出して驚いていた。
おそらくは、ヴァグドーや勇者アドーレの様な卓越した者が、超越したレベルを持っているが為に、危機察知能力が働いたのだと思われていて、二人の視線の先には、マユダの町の方を向いていた。
「…どうかしましたか? ヴァグドー殿…?」
「…いや、急ごう…!」
ヴァグドーたち一行が、急いでマユダの町に行くと…人々が、なにやら動揺しており街中は騒然となっていて、ヴァグドーと勇者アドーレの二人が、街のはるか上空を見上げると、そこに巨大で全身が石で出来たドラゴンみたいなモノが、浮いていて街を見下ろしていた。
「なんだ!? あれは!?」
「………ちぃっ!!」
「おっ 早速、凶悪なモンスターが現れたかのっ!?」
ヴァグドーと勇者アドーレの二人が臨戦態勢をとっていると、それに気づいたのか…巨大な石で出来たドラゴンは、そのまま何処かへ飛び去っていった。
「…に…逃げた…のか…?」
「………ちぃっ!!」
「ちっ やれやれだのう。 倒し損ねたかの?」
ヴァグドーたち一行が、マユダの町に入ると、人々がまだ動揺しており街中はまだ騒然となっていた。
「うわぁっ 皆さん、まだ動揺していますね?」
「でも、さっきのは一体…何だったんだ?」
「はい、確かにアレは気になりますよね?」
「ふむ、まずは…ギルド冒険商に行って情報収集じゃな。」
ヴァグドーたち一行が、ギルド冒険商に来てみると、ここでも沢山の冒険者やこのギルドを仕切っている80代の老人女性の老婆主人が、まだ動揺していた。
「おお、お前さんたち…えらい時に来たモノじゃのう。」
「ふむ、だが…まずは、アドーレよ。 早速じゃが、報酬金を貰っておくがよい。」
「…えっ!? あっ はい…」
(さすがにヴァグドーさんは意外と冷静だな。)
「えっ お前さんが…あの勇者アドーレなのかえ?」
「おい! 婆さんや、無駄口はよい!」
「ああ…アドーレさん、お前さんに報酬金が出ているよ。 はい、上位魔族バロガルス討伐料金の570000Rじゃよ。」
「はい、どうもです。」
勇者アドーレはお金を受け取った。
続いて、ルドルス将軍とニーグルン姫が話していた。
「姫様、そろそろレベルを確認させて下さい。」
「はい、判りました。」
ニーグルン姫は自分のカードを《ステータスカード》の上に置いた。
ピッピッピッ!
ニーグルン姫のステータスが表示された。
●・●・●
ニーグルン: 王女
レベル : 60
耐久力 :355
魔法力 :480
―――――――――
攻撃力 :255
守備力 :300
機動力 :277
叡知力 :366
幸運力 :333
―――――――――
絶望力 :100
能力 :【連続水刃】【複数水弾】【極大水砲】
●・●・●
「レベル60ですか? まぁ、標準的なレベルですな。 では、次は私の番ですね。」
ルドルス将軍は自分のカードを《ステータスカード》の上に置いた。
ピッピッピッ!
ルドルス将軍のステータスが表示された。
●・●・●
ルドルス : 将軍
レベル : 75
耐久力 :600
魔法力 : 0
―――――――――
攻撃力 :445
守備力 :395
機動力 :270
叡知力 :255
幸運力 :200
―――――――――
絶望力 :100
能力 :【肉体防壁】
●・●・●
「さすがはルドルス将軍…相変わらずの強さです。」
「まぁ、あの二人には勝てませんけどね。」
すると…ヴァグドーたちの前に、一人の老人男性が現れて、声をかけてきた。
「お前さんたち…ちょっといいかのう? …相談したいコトがあるんじゃが?」
「…ん? なんじゃ?」
「いや、ここではあれじゃから、ワシの家に行こうかの?」
「ふむ、そうか」
ヴァグドーたち一行は、この老人の家に向かっていった。
【注意】
勇者アドーレは、第5の都市に出現したとされる凶悪なモンスターを倒したとされているが、その時の報酬金を受け取ったかどうかは不明である。




