32、姫様が同行する
●【No.032】●
翌朝の第5の都市、ハングリンズの町……ヴァグドーたち四人は、既に旅立つ準備をして、宿屋を出ていた。
この街の賑わいは、今日も相変わらずであり、やはり特に南側の方では、大勢の人だかりが出来ていた。(勿論 "地獄の温泉" がある方である)
ワシら四人の肌は、以前よりもツヤツヤしており、昨夜の温泉の効能がしっかりと効いておる様で、体力・気力・魔力共に完全に回復しておる様じゃな。(まぁ、ワシに魔力があるのかどうかは…解らんがの)
早速、ワシらは再びギルド冒険商の方に、向かっていったのじゃ。
ギルド冒険商の中は、今日も大勢の冒険者で賑わっており、ワシらはまた美少年主人に話しかけていた。
「はい、いらっしゃいです。」
「ふふふ、早速…この街の温泉を堪能させてもらったぞ! とても、気持ち良かったぞ! いい休暇がとれたのじゃ!」
「はい、それはありがとうございます。 お客様も心も身体もリフレッシュできたようで、なによりですね。」
「ふむ、そうだな…さて、今日は次の戦闘に備えて、カグツチたちのステータスを確認しておく。 ほれ、カグツチよ」
「…あっ はい、判りました。 師匠」
「はい、どうぞです。」
主人はカグツチたちの前に《ステータスカード》を置いた。
まずはカグツチが自分のカードを《ステータスカード》の上に置いた。
ピッピッピッ!
カグツチのステータスが表示された。
●・●・●
カグツチ : 剣士
レベル : 69
耐久力 :402
魔法力 :133
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攻撃力 :410
守備力 :414
機動力 :342
叡知力 :254
幸運力 :182
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絶望力 :100
戦利品装備:【射熱の盾】
能力 :【高炎熱光砲】【超炎熱裂斬】【大炎熱防壁】
●・●・●
「…次、ロンギルスじゃ…」
「はい、判りました。 ヴァグドー様」
次にロンギルスが自分のカードを《ステータスカード》の上に置いた。
ピッピッピッ!
ロンギルスのステータスが表示された。
●・●・●
ロンギルス: 賢者
レベル : 63
耐久力 :344
魔法力 :525
―――――――――
攻撃力 :290
守備力 :327
機動力 :280
叡知力 :366
幸運力 :230
―――――――――
絶望力 :100
戦利品装備:【重鋼の盾】
能力 :【治癒風神】【疾風裂斬】【竜巻防壁】
●・●・●
「…次、エクリバじゃ…」
「はーい♪ ダーリン♪」
今度はエクリバが自分のカードを《ステータスカード》の上に置いた。
ピッピッピッ!
エクリバのステータスが表示された。
●・●・●
エクリバ : 操師
レベル : 67
耐久力 :370
魔法力 :400
―――――――――
攻撃力 :312
守備力 :340
機動力 :277
叡知力 :353
幸運力 :280
―――――――――
絶望力 :100
能力 :【魔物操作】【魔物混乱】【魔物防壁】
●・●・●
「………」
(ふーむ、このぐらいの実力であれば、下位の魔族ならば…互角に戦えるであろうな。)
三人はまだ、気づいていないだろうが……彼女たちも相当な実力をついておるのじゃよ。
ワシは腕組みしながら、少し考え込んでいると、主人がワシらの背後を見て、物凄く驚愕していた。
「…あぁっ!? ひ、姫様ぁ……っ!?」
「……ん?」
ワシらが後ろを振り向くと、そこに喜んでいるニーグルン姫と疲れが見えるルドルス将軍の二人が、立って現れていた。
「…ニーグルン姫…?」
ニーグルン姫の肌も、以前よりもツヤツヤしている。
ニーグルン姫がワシらに話しかけてきた。
「私たちもヴァグドー殿たちに同行することを決めました。」
「……え? 何っ!?」
「あら~? マジ~?」
「…ひ、姫様ぁっ!?」
ニーグルン姫の発言に三人の娘がひどく動揺していた。
「………」
ヴァグドーがルドルス将軍の方を見ると、ルドルス将軍は目を閉じて、首を左右横に振っていた。
「姫様…早計です。 再考されてはいかがですか?」
「いいえ、もう決めました! 私は未来の殿方になるかもしれない……ヴァグドー殿の戦いぶりを、この目で見ておきたいのです。」
ルドルス将軍は「ハァー」とため息をついていた。
ルドルス将軍も苦労しているのう。
「ふーむ、そうか。 一緒についてくるのは、構わんが…自分の身は自分で護ってくれよ。」
「はい、勿論です。 ヴァグドー殿」
「無論です。 姫様のお身は、このルドルスが命にかえてもお護りしますから、ご心配ありません。」
「ほう、そうか。 まぁ、確かにそこまでの戦闘には…なるまいが…な。」
「それはヴァグドー殿が全部、倒してしまうから…ですか?」
「…いや、もしかしたら…勇者が…な。」
「……?」
「それでは、これから宜しくお願いします。 ヴァグドー殿、私たちが第4の都市までご案内します。」
「ふむ、わかった…よろしく」
「それでは、お客様の皆さんのご武運をお祈りします。」
「おお、では…さらばじゃ」
その後、ヴァグドーたちはギルド冒険商を出ていった。
こうして、ヴァグドーたち四人にニーグルン姫とルドルス将軍が同行していき、第5の都市であるハングリンズの町をあとにして、次の目的地である第4の都市の "滅亡した地獄の街" の方に向かっていった。
ニーグルン姫とルドルス将軍は、まだヴァグドーの仲間という訳ではない?




