31、混浴温泉タイム:2
続・温泉タイム。
ニーグルン姫も参加。
●【No.031】●
第5の都市、ハングリンズの町。
真夜中の "地獄の温泉" にて。
ニーグルン姫が女子更衣室から出てきて、露天風呂に入浴してきた。
彼女も一糸まとわぬ全裸で現れていて、カグツチたち三人と同様に透き通った美肌に細く綺麗な身体、さらに非常に大きな胸に可愛いピンク色の先端、かなりの美しい巨乳をしたお姫様である。
「あら、先客がいましたか?」
ニーグルン姫がヴァグドーたち四人の姿を見るなり、そう答えていた。
そこで、ふたつの疑問が…生まれていた。
―――それは……。
1.ニーグルン姫がヴァグドーの姿を見ても、悲鳴を上げなかったこと。
カグツチたちはともかく…自分の裸を初対面の男性に見られたら、まずは普通に恥ずかしがり、悲鳴を上げるのが…当然である。
しかし、ニーグルン姫はそういう行為を一切していない。
2.仮にも一国の姫君が何故、こんな夜遅くになって、温泉に入浴しに来ているのか?
ニーグルン姫はそのまま…ヴァグドーたち四人の方に、近づいてきていた。
「皆さん、ごきげんよう。 私の名前はニーグルンと言います。 どうぞ宜しくお願いします。」
「はじめまして、私の名前はカグツチだ。 よろしく」
「はじめましてです、私の名前はロンギルスです。 どうも宜しくお願いします。」
「どうもぉ~♪ 私の名前はエクリバよぉ~♪ よろしくねぇ~♪」
「………」(しぃーん)
「ふむ、ワシの名前はヴァグドーじゃよ。 よろしくの」
「……っ!? やっぱり! 当たりです!!」
ニーグルン姫がヴァグドーの名前を聞いた途端に喜んで嬉しそうな表情をしていた。
「…な…なんじゃ!? 一体…っ!?」
「お聞きしておりましたよ。 ヴァグドー殿のこれまでのご活躍を……!」
「ん? ワシのことを知っておるのか?」
「はい、勿論です。 数々の凶悪なモンスターを撃破していることは、アーサンティラル王国の姫としても有名な情報ですからね。」
「ほ~~う、なるほどのう。」
ふふふ、ワシも随分と有名になったものじゃな。
「今日、実際に会ってみて、ヴァグドー殿の最強の実力に究極のお身体、かっこいいお顔立ちに優しそうな性格……まさに私の理想の殿方です。 ……一緒にいる皆さんが、とても羨ましいです。」
ニーグルン姫は頬を紅く染めていた。
「……ふん……」
カグツチは不機嫌そうな表情をしていた。
「なるほどねぇ~♪ だからなのねぇ~♪ 姫様もダーリンのことが気に入ったのねぇ~♪」
エクリバはニーグルン姫を見て、"何か" を納得していた。
「ところで、ニーグルン姫様は何故、こんな夜遅くになって、温泉に入りに来たのですか?」
「はい、残念ですが…私の立場上、お昼から温泉に入る訳にはいかないのです。」
「ふむ、なるほどのう。 確かにお姫様だと色々な面で不都合が生じるの。 ルドルス将軍も一緒に来ているのか?」
「はい、今…外で待機しています。」
「やはり外で護衛か? ふふふ、宮仕えも大変だの。 だが、温泉内部の護衛を怠っておるな?」
「それはヴァグドー殿が一緒にいれば、大丈夫ですからね。」
「……ふふふ……」
ヴァグドーは不敵な笑を浮かべていた。
その後も、温泉の中ではヴァグドーの傍には、ニーグルン姫を含む四人の娘が、集まっていて話し合っていた。
「それにしても、この街での凶悪なモンスターがいなかったのは、残念じゃったのう。」
「……残念でしたか? 師匠」
「ふーむ、まぁ…別にいいがのう。」
「ヴァグドー殿は何故、この街に凶悪なモンスターがいないのか、知っていますか?」
「……ん? 何故じゃ…?」
「それは……既に倒されているからです。 伝説の "勇者アドーレ" によって…ですけどね。」
「……ゆ、勇者っ!!?」
カグツチ、ロンギルス、エクリバの三人が一斉に、大声で声を揃えて驚愕している。
――― "勇者" …っ!?
(※ごく一部の人間にしかなることができない、伝説の職業のひとつである。)
その名は『勇者アドーレ』
ここにきて、その言葉を聞くとは、どうやら本当に実在するようじゃのう。
「それで、その勇者アドーレって奴は、今…何処にいるのだ…?」
「はい、おそらくは…第4の都市、"滅亡した地獄の街" にいるとされている "上位魔族" を倒しに行かれた…と、聞いております。」
「……えぇっ!!?」
カグツチ、ロンギルス、エクリバの三人はまたしても、驚愕していて…唖然としていた。
「ほーう、そうか」
「………」(じぃーっ)
ニーグルン姫は不敵な笑みを浮かべているヴァグドーの方を見つめていた。
…第4の都市、"滅亡した地獄の街" …。
… "勇者アドーレ" …。
… "上位魔族" …。
なるほど、これはまた面白いコトになっておる様じゃのう。
―――ふふふ、楽しみじゃ!!
この温泉の場で、
遂にその名称が登場した。
『伝説の勇者アドーレ』