309、盗爵レイドルノ:3
●【No.309】●
とある場所にある港町の連絡船乗り場にて。
停泊中の大型豪華客船並の連絡船があり、その連絡船には客室や食堂や共有スペースや酒場などがあり、その客室にはソファーやベッドやトイレやシャワーなどがある。 その一室には、あのレイドルノとダルラルダの二人がいる。 どうやらこの船で、元いた大陸から別の大陸へ移動するみたいで、明日の早朝には出航するらしい。 なので今夜はあらかじめ予約しておいた客室のベッドで眠るみたいだ。 ベッドは二人分の大きめのベッドなので、夫婦一緒に眠ることができるみたいだ。
一方のあの『ワールドエルフ天蝎』も連絡船の一室にいて、一人読書をしていた。 どうやら彼もまた、この大陸から別の大陸へ移動するみたいだ。 読書していて眠っていなかった彼だけが賊徒共の侵入に気がついた。 そして、そのまま彼が自分の部屋を静かに出ていった。
連絡船に侵入した賊徒共がまず船長・副船長と乗員数人を捕縛した。 船長・副船長はまだ眠っていなかったようだが、そこに賊徒共が侵入して抵抗しても捕まってしまった。 共有スペースのある場所に集められており、賊徒共もそこにいる。 船長たちは手足をヒモで縛られ身動きが取れない。 残念ながら…ここまでのようだ。
ざわざわ、ざわざわ
「お前たちは一体何者なんだ?」
「我々をどうするつもりだ!」
「畜生! こんなことがぁ!」
「くっ!」
「くっくっくっ、俺たちは賊徒だ」
「この船を乗っ取りに来た」
「俺たちは海賊になるんだ!」
「ふふふ、あぁーーはっはっはっはぁーーーっ!」
「なっ、なんだとぉ!?」
「これはただの連絡船なんだぞ!」
「そんなバカなことがぁ!?」
「畜生! 何故こんなことに?」
「ふふふ、あぁーーはっはっはっはぁーーーっ!」
「ついでに金目のモノと女をいただくぞ!」
「それ以外の乗員乗客は皆殺しだ!」
「いや、待て……」
「女の乗員は残しておけ! あとで色々と使えるからな!」
「ちっ!」
「相変わらずな野郎だな!」
「「「……」」」
「畜生! 海賊だとっ!? こんなただの連絡船で……っ!?」
「そんなバカなことがあるはずがない!?」
「わっ……我々は一体どうすれば……っ!?」
「ふふふ、あぁーーはっはっはっはぁーーーっ!」
絶望する船長・副船長たち。
だがしかし―――
なんと賊徒共は海賊になるために、ただの連絡船を強奪するみたいだ。 勿論だけど、これはただの大型豪華客船なので、何の武器も装備もない。 それにただの賊徒ごときが簡単に海賊になれるほど、海賊は甘い職業ではない。 オマケにこの船は荒波を乗り越えられるほどに頑丈に造られてはいない。 コイツらは一体何を考えているんだ?
その後もマヌケにも賊徒共の高笑いが続いてた。 まるで賊徒共の居場所を自ら教えてるみたいな感じだった。
一方では、あの『ワールドエルフ天蝎』もレイドルノたちが宿泊している部屋に到着した。 あの『ワールドエルフ天蝎』が気配を消して足音・物音を立てずに忍び足で来ていて、なんとか賊徒共に気づかれずにここまでたどり着く。 まだここまで賊徒共が来ていないようだ。 あの『ワールドエルフ天蝎』がドアの前まで来ると、静かにゆっくりと三回ノックする。
コン、コン、コン!
「……」
すると…すぐにガチャリとドアが開く。
「……」
ドアの隙間からレイドルノが顔を覗かせる。
「やあ、レイドルノ」
「……『ワールドエルフ天蝎』か……」
「……今いいかい?」
「……あぁ…入れ……」
「……失礼するよ……」
ガチャァン、カチャッ!
そこで…あの『ワールドエルフ天蝎』が周囲を確認してから部屋に入った。 まるでコソ泥が周囲を警戒しながら敷地内に侵入するかのように―――勿論だけど、彼が何か悪い事をした訳ではないけれど、今は非常事態なので警戒せざるを得ない。 あの『ワールドエルフ天蝎』が部屋に入ると、またすぐにドアのカギを閉める。
「やっぱり起きていたか?」
「否、今さっき起きたばかりだ」
「……」
そう言うがレイドルノの方は、もう既に戦闘準備を完了していて、今は武器の確認をしている最中だ。 とても今さっき起きたとは思えないほどの手際の良さだ。 ちなみにダルラルダはまだベッドで寝ていた。
「……」
「さすがだな。 もう準備は完了している。」
「ああ、急いだからな。 ところで奴らは何者なんだ?」
「彼らは賊徒共だ。 おそらくこの船を強奪して海賊になるつもりだ。」
「なんだそれは……?」
「まったくだ。 一体何を考えてるんだか……? こんな船で荒波を越えて航海できる訳がない。」
「この船の乗員乗客はどうするつもりだ?」
「おそらく殺すつもりだろう」
「それでどうやって、この船を動かすつもりだ?」
「あの連中に、そこまでの思考回路は存在しない。
まったくこれだから無知無能は恐ろしいものよな?」
「なるほど、確かにな……」
「それで…キミはどうするつもりだ?」
「よし、行くか」
「待て!」
「ん?」
「これから奴らを倒すつもりか? ―――キミ一人だけで……?」
「勿論、そのつもりだ」
「キミが凄く強いことは知っている。 だが…一体どの程度強いのか? この『ワールドエルフ天蝎』に見せてくれないか?」
「ああ、構わない」
「……」
たいした自信だが、どれ……一体どれほどの力量なのか……?
そこで…あの『ワールドエルフ天蝎』の左目が紅く変色して、そこからレイドルノのステータスが視られるようになる。
ピッピッピッ!
レイドルノのステータスが測定された。
●・●・●
レイドルノ: 盗爵
レベル : 606
耐久力 :4850
魔法力 : 0
――――――――――
攻撃力 :2550
守備力 :2550
機動力 :2800
叡知力 :1400
幸運力 :1900
――――――――――
絶望力 : 100
装備品 :【ブラックスコーピオンズロッド】
能力 :【ストリンガー・ロイヤルメタル】【カオスインフェルノスラッシャー】【肉体固定】
●・●・●
↓
●・●・●
レイドルノ: 盗爵
レベル : 630
耐久力 :5000
魔法力 : 0
―――――――――――
攻撃力 :2690
守備力 :2700
機動力 :2900
叡知力 :1510
幸運力 :2000
―――――――――――
絶望力 : 100
装備品 :【ブラックスコーピオンズロッド】
能力 :【ストリンガー・ロイヤルメタル】【カオスインフェルノスラッシャー】【肉体固定】
●・●・●
↓
●・●・●
レイドルノ: 盗爵
レベル : 705
耐久力 :5500
魔法力 : 0
―――――――――――
攻撃力 :2850
守備力 :2860
機動力 :3100
叡知力 :1720
幸運力 :2100
―――――――――――
絶望力 : 100
装備品 :【ブラックスコーピオンズロッド】《希望の指輪》
能力 :【ストリンガー・ロイヤルメタル】【カオスインフェルノスラッシャー】【肉体固定】
●・●・●
[これぞ、レイドルノのレベルアップの軌跡だ!]
「な…何っ!? レ…レベル700…だとっ!?」
「……」
さすがの『ワールドエルフ天蝎』もこれには驚愕する。 さすがはレイドルノだ。 ここでもまだヴァグドーや勇者アドーレたち強者と、互角の実力を誇っていた。




