295、『女神の巨塔』:5
●【No.295】●
ここは『女神の巨塔』の内部にて。
只今、ヴァグドーと《二兎追うものは、一兎をも得ず》が対決・交戦中。
遂に封印・制御した力を解放して、スーパー・ヴァグドーXに覚醒。
ヴァグドーの身体から発生する闘気は外周が綺麗な黄金に光輝き、内部が邪悪で漆黒なモノになっている。 また彼の瞳も黄金に光輝く。 その為、彼の身体自体もまるで黒く染まったように見えて、そこから瞳だけが黄金に光輝き、前髪が後ろへいって、オールバックになる。 力は格段に上がっているはずで、少し本気の状態になってる。
「待たせたな化物…今度はオレが相手だ。
このオレがスーパー・ヴァグドーXだ」
今のコレは最大出力・全力のおよそ半分くらいの力を引き出してる。 遂に彼が力を込める。 おそらくこの先、滅多に見れない現象であり、大変貴重な状況に立ち会ってる。 彼の真の力の一端でも感じることができれば、彼の強さの秘密を知るキッカケにもなるだろう。 このスーパー・ヴァグドーXの勇姿、しっかりと目に焼き付けておけ。
巨大な白い化物の左側の頭の口から、エネルギーレーザービームが、右側の頭の牙から、サンダーダブルファングが、それぞれ同時にオレに向かって発射された。 よほど慌てているのか、思わず左右の頭から、また同時に攻撃する。
ズゥオオオオオオォォォーーーーン、ズドォーーン!
ピカッ、ガガガガガガァァァーーーーッ、ズドォーーン!
タッ、シュッ!
今回のオレも、この攻撃を後方にジャンプして後退して避ける。 すると、そこでオレは姿を消した。
シュッ、ドゴォーン、ズバァーン!
一瞬で巨大な白い化物の左側の頭の顔面へ移動して、鋭く素早く右拳の一撃を顔面に叩きつける。 すると一瞬で左側の頭が破壊された。 またすぐにオレは姿を消して、今度は一瞬で巨大な白い化物の右側の頭の顔面へ移動して、鋭く素早く左拳の一撃を顔面に叩きつける。 すると一瞬で右側の頭も破壊された。
シュッ、ドゴォーン、ズバァーン!
なんとなんと、さっきまではダメージを与えていても、決して破壊することができなかった頭部を、今度は見事に破壊した。
最後にオレがあの闘気から、小型の球体(外周が黄金で内部が漆黒のエネルギーが凝縮された光弾)を瞬時に造り出し、それを頭の無い胴体に向かって投げつける。
ブゥーン、シュッ!
「【神納覇・烈巌掌】」
ズバァッ、ドッカァーーーン!
その小型の球体(外周が黄金で内部が漆黒のエネルギーが凝縮された光弾)が見事に胴体に命中。 そのまま大爆発を起こし、巨大な白い化物の身体が爆散・爆死する。 それはまさに一瞬の出来事だった。 その爆発の威力・衝撃は塔内部全体に及ぶほどだった。
「「「「……」」」」
「「……」」
カグツチやエクリバたちが驚愕・無言で戦況を見つめており、女神二人も愕然・唖然で戦況を見つめていた。
[※アドーレやシャニルたちはオリンデルスのバリヤーで守られており、女神たちも自分たちでバリヤーを張って爆発から身を守る]
そんな中でアドーレとオリンデルスが、それぞれ彼のことを考える。
本当に素晴らしいです。
しっかりと制御しています。
まさか…ここまでの力を蓄えていたとは…驚きでしたが、その力をここまで制御できていることにも驚きですよ。 あなたはやはりどんでもない人です。
へぇ~~。
やるじゃないか…ヴァグドー。
やっぱりキミもただ者ではなかったということか。 あの力を暴走させずに巧みに使っている。 これは凄いことだよ。 まぁ…使用時間はかなり短いけど、それでもお釣りが来るほどの成果だよ。
従来の彼では、多少なりとも手こずっていた相手をスーパー・ヴァグドーXは、ほぼ一瞬で倒してしまったのである。 この力・姿・性格こそが、本来の彼そのものなのか? それとも本来の彼は封印・制御・隠蔽して、仮のヴァグドーを形成していったのか? どちらが本当の彼なのか? それは誰にも解らない。 おそらく本人さえも―――。 いずれにしても、ようやくあの巨大な白い化物を消滅させたヴァグドー。
スタッ!
「ふーう、やっと終わったな」
彼が元の場所に戻ると、いつの間にか元の姿に戻ってた。 あの異様な闘気も消えていた。 どうやら長時間の解放は不可能のようだ。 だから勝負を急いだのか?
「あら、勝ったわね?」
「ええ、本当に勝ってしまったわ」
「おお、やったぁーーっ!」
「さすがはヴァグドーだ!」
「ダーリン…ステキ♪」
「やっぱり勝ったわねぇ~♪」
「やっぱりどんでもない人ですね?」
「ああ、そうだな」
「これがヴァグドーさんの力…」
その場にいた者たちが、この激しい戦闘を見終えて、それぞれが思い思いの感想を述べてる。
「ん? なんじゃ…アレは?」
すると巨大な白い化物の身体が消滅した所から、剣先が地面に刺さった状態で剣が現れた。 さらに女神スクルドが持っていたと思われた剣らしきモノも既に消えていた。
「アレは《二兎追うものは、一兎をも得ず》を倒した後に現れるドロップアイテム…伝説の皇剣【水候炉の剣】です。」
「つまり、アレが出てきたということは…正式に《二兎追うものは、一兎をも得ず》を倒した証になるわね。」
「おお、そうか! 遂にやったか!」
ここで伝説の皇剣【水候炉の剣】が登場したことで、彼が真の勝利者となった。
[ヴァグドー.VS.《二兎追うものは、一兎をも得ず》→ヴァグドーの勝利]
彼が伝説の皇剣【水候炉の剣】の所まで歩いていき、その剣の柄を握って、そのままアドーレの方へ向けて投げた。
ホイ!
「ほれ、アドーレよ。 コレを受け取れ」
「はい、どうも」
ガッ!
アドーレが伝説の皇剣【水候炉の剣】を受け取る。
「くれるのですか?」
「ふむ、ワシは既に二本持っとる。
これ以上は必要ない」
「そうですか。 ありがとうございます」
「二人も構わんな」
「私たちは別に構わないよ」
「ソレはあなたのモノだから、あなたの好きにすればいいよ」
「ふむ、そうか」
「それじゃあ、私たちはこれで失礼するよ」
「じゃあ、私たちは帰るよ」
「さぁ、ワシらも戻るぞ!」
「「「はい!」」」
「「は~い~♪」」
「「ああ」」
正式に伝説の皇剣【水候炉の剣】は勇者アドーレの所有物となった。 その後で女神二人も塔から立ち去った。 それからヴァグドーたち『塔突入組』も塔から出ていった。 そして『女神の巨塔』も消滅した。 これでヴァグドーたちが関所・巨塔の攻略に成功した。
♪勇者アドーレは伝説の皇剣【水候炉の剣】を手に入れた♪
※【神納覇・烈巌掌】とは、先程の連続攻撃のことである。 右拳からの左拳で打撃した後に、小型の球体(外周が黄金で内部が漆黒のエネルギーが凝縮された光弾)を放って攻撃する一連の流れを【神納覇・烈巌掌】という。 もの凄い威力・破壊力があり、どんな強敵も一瞬で葬れる一撃必殺。 この必殺技はスーパー・ヴァグドーXの時にしか使用できない。




