294、『女神の巨塔』:4
●【No.294】●
ここは『女神の巨塔』の内部にて。
只今、ヴァグドーと《二兎追うものは、一兎をも得ず》が対決・交戦中。
あの巨大な白い化物相手に、たった一人で戦ってる事自体、まずあり得ないことである。 その上、巨大な白い化物の攻撃を防御・回避しながら、自分の攻撃で、あの巨大な白い化物にダメージを与えている。 また巨大な白い化物もあの最強無双相手に攻撃を受けても、なんとか倒れず耐えきってる。 これらは誰にでも真似できることではない。 この両者の勝負の行方は、一体どうなるのか?
巨大な白い化物の左側(ワシから見て)の頭の口から、再びエネルギーレーザービームをワシに向けて発射する。
「むっ!」
ズゥオオオオオオォォォーーーーン、ズドォーーン!
ワシはまた避けずに、そのまま受け止める。
「アレ喰らって、まだ平気なのか?」
「意外に頑丈だね」
やっぱり普通の人間ならば、今の攻撃で死亡しただろうに、あのヴァグドーは平然と立っている。 だけど…巨大な白い化物の方は、ただ狂暴な顔をしてるだけ。
「ふむ、だんだん慣れてきたわ」
巨大な白い化物の右側(ワシから見て)の頭の牙から、再びサンダーダブルファングをワシに向けて発射する。
「くるかっ!」
ピカッ、ガガガガガガァァァーーーーッ、ズドォーーン!
これも避けずに、そのまま受けきる。
もはや普通の人間ならば、今の攻撃で死亡しただろうに、あのヴァグドーは平然と無傷で立っている。 まぁ…ここでも巨大な白い化物は、ただ狂暴な顔をしてるだけだけど…。
「…おかしくないか…アイツ…」
「…何が?」
「いや、だって…マトモに喰らってるだろ?
いくら頑丈でもダメージは受けるはずだけど…?」
「…ダメージを受けていない…ってこと…?」
「私には…そう見えるけど…?」
「……」
「アイツ……まだぜんぜん平気じゃない?」
「あぁ…らしいね」
「意味わからん」
「あぁ…まったくだよ」
女神二人が彼の戦いぶりを見て、なにやら疑問に思い始める。 あの人間は何故、巨大な白い化物の攻撃をあれほど受けているのに、ほとんどダメージを受けていないのか? 身体が異常に頑丈なのもそうだが、あまりにもダメージを受けないのも不思議なのだ。
「おっ!?」
ギュン、バキッ!
巨大な白い化物の左側の頭が、ワシに向かって素早く首を伸ばしてきて、口を大きく開けて、ワシのことを牙で噛み砕こうとする。 それに合わせて、ワシがカウンターの左拳を素早く鋭くアヤツの顔面に叩きつける。
「よっ!」
ヒュッ、バキッ、スタッ!
そこからワシが、巨大な白い化物の右側の頭の顔面へ一瞬で移動して、素早く鋭く右拳を叩き込む。 また巨大な白い化物は耐えきれず、思わず後退する。 一応は効いているようじゃな。 ワシは再び元の場所に戻る。
「ん?」
ヒュッ、ガシッ、ブゥン、ブゥン、ブゥン!
すると巨大な白い化物が不意をついて、素早く尻尾の先をワシに突いてくる。 ワシは尻尾を両手で受け止め掴み、そのまま自分を中心に遠心力で回転する。 当然…その巨大な白い化物も少し宙に浮いてグルグル回る。 しばらく回し続ける。
「ふん!」
ブゥン、ブゥン、ブゥン、バッ、ドゴォーン、ドサッ!
ワシが尻尾を離して投げ飛ばすと、巨大な白い化物がもの凄い勢いで壁に激突。 そのままズルズルと地面に落下。 それでもすぐに起き上がって中央に向かう。
「……」
「あの巨大な化物を持ち上げて投げ飛ばすとは…?」
「マジで凄い…ね」
「相変わらずだね師匠」
「よくあんな大きなモノを持ち上げられるね?」
「さすがだよねダーリン♪」
「ボクにはとても真似できませんね」
「やっぱり凄いよねぇ~彼」
「お父さん、あの人……お父さんよりも強いの?」
「ああ、そうだね」
「……」
これまでの彼の戦いぶりを見て、その場にいた全員が、それぞれ感想を述べてる。 それにしても、あれほど彼の攻撃を喰らっても、まだ立ち上がって向かってくるとは、相当な耐久力・精神力である。 彼も内心、少しは驚いているのではないか?
……なるほどのう。
アヤツの攻撃力・防御力・移動速度・精神力・耐久力―――どれをとっても完璧じゃ。 まさにアヤツは完全無欠な存在なのであろうて。 たいしたヤツじゃよ。
ワシの攻撃を何回も喰らって、それでいて立ち上がって向かってくる。 さすがは女神が呼び寄せただけのことはある。 見事じゃ。 あの化物相手ならば、ワシの力を存分に披露できそうじゃな。
ならば…こちらもそれなりに対処せねばなるまいな。 先程は不発じゃったが、今度はどうかな?
カカァァァーーーーッ!!
「かあああああああああああぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!」
「「ん!?」」
ピカァァーーーン!
彼が気合いを入れて、彼の身体が激しく光輝く。 彼の身体から発する激烈な光と衝撃波が、辺り一面に広がっていく。
[※アドーレやシャニルたちはオリンデルスのバリヤーで守られてる]
グアアアアアァァァァ―――
「かあああああああああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!」
「な、なんだ?」
「彼は一体何を?」
女神二人が驚くなか、ヴァグドーの身体が強烈な光で満ちており、その下からは漆黒の闘気が彼の身体を包み込む。 中央に向かっていた巨大な白い化物も歩みと止めて、彼の方を見る。
「「「「……」」」」
「「……」」
アドーレやシャニルたちが彼の様子を黙って静かに見つめるなか、女神二人が驚きの表情で唖然とする。 そんな中、彼の気合い入れ、闘気変化も終了した。 巨大な白い化物も不気味な顔をしながらも、中央付近まで戻り、彼とまた対峙する。
「ふーーう」
ヴァグドーの身体から発生する闘気が外周が綺麗な黄金に光輝き、内部が邪悪で漆黒なモノになっている。 また彼の瞳も黄金に光輝く。 その為、彼の身体自体もまるで黒く染まったように見えて、そこから瞳だけが黄金に光輝くことになる。 外見変化がこの程度なのだが、力は格段に上がっている。 ほんの少しだけ、本気の状態になった。
「待たせたな化物。 今度はオレが相手だ」
「「……」」
「このオレがスーパー・ヴァグドーXだ」
また女神二人が驚愕・唖然とするなか、遂に封印・制御した力を解放して、スーパー・ヴァグドーXに覚醒。
これは最大出力・全力のおよそ半分くらいの力を引き出したことになる。 その真の実力は一体っ!?




