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絶望老人が異世界転生をしたら、99年間で最強無双になってしまった!  作者: 賭博士郎C賢厳
J.『矢獄関』&『倍獄関』&『弦獄関』編
301/329

286、『倍獄関』[相性]

  ●【No.286】●



 ここ『倍獄関(ばいごくかん)』の関所の建物の屋上の上空にて。 遂に謎の男と悪魔神オリンデルスが対面・対峙する。 ()()()()既に重力が倍加しているけど、彼には全く通用していない。 相変わらず謎の男と一緒に宙に浮いている。 普通なら地面に押し潰されて、そのまま圧死するはずだけど、()()悪魔神に重力の倍加など、全く無意味だ。 さすがは悪魔神だ。 この重力の倍加の中、よく平気な顔をしている。


 謎の男がオリンデルスに襲おうとしたけれど、何故か平気な顔をする彼に対して、不思議そうな顔をして思わず質問する。


「な…何故、効かない…?」

「ふっ…悪魔神に重力の倍加など通用しないよ」

「な…なんだとっ!?」

「ふふっ、なにせ悪魔神は重力と運命に逆らって生きてきてるみたいなものだからね。」

「そんなバカなぁっ!?」


 ヒュッ!


 納得できる答えは得られず、再び襲いかかろうとする謎の男。


 シュッ!


「!?」


 その謎の男がオリンデルスの顔面に殴りつけようと、右拳を素早く彼の方へ向けた。 けど…気づいた時には、もう既に()()に彼の姿はなかった。 一瞬にして彼の姿が消えて、右拳が空を切る。


 謎の男が慌てて周囲を見渡す。


「何っ!? どこ行ったぁ!?」


 周囲を見渡しても誰もいない。

 彼は一体何処(どこ)に行ったのか?

 この重力が倍加した中で、これほど自由に素早く動けるものなのか?


「そんなバカなぁ!?

 この状況下で、そんな速く動けるはずが……っ!?」


「後ろだよ」


「えっ!? う、後ろ……だとっ!?」


 自分の背後から、()()()の声がして、後ろを振り向いてみると、()()()()誰もいなかった。 実は高速で、常に素早く謎の男の背後を取り続けている悪魔神オリンデルス。 そのため、謎の男はまだ彼の姿を見失っている。 普通なら、絶対にあり得ない行為だ。 この重力が倍加した状態で、自分の背後を取られることなど…。 だがしかし、相手は()()悪魔神オリンデルスだ。 そのぐらいのことは、やって来るだろう。


「ちっ、この状況下で…俺の背後に回るとは…」

「ふふふ、キミは自分の周囲の重力を倍加させる性質上、自分は特に強くなる必要がなかった。 相手が勝手に弱くなってくれるからね。 それにここまでの重力…相手が耐えられるはずがないと思っていたはず。 だから、もし重力の倍加が効かなかった時の事を何も想定していない。 それがキミの敗因だよ」

「……」

「それとも…ここから何か起死回生の策でもあるのかい?」

「ふふふ、勿論だとも。

 万が一、重力の倍加が通用しない相手との戦闘も想定している。」

「へぇ~、それは見てみたいものだね」

「ふん!」


 ブアアアアァァァーーーーッ!!


「!?」

「ちっ!」


 キキキキィィィィーーーーッ!!


 なんと、謎の男の背後にいた彼が突然…吹き飛ぶ。 彼が後方に、もの凄い勢いで吹き飛んでいき、謎の男からだいぶ離れた場所で、急ブレーキをかけて停止する。 今の能力は、先程までの重力の倍加とは、まるで違う。 奴の重力の能力は地面に押し潰す力。 これは…もしかしたら、新たな能力なのか? それでも彼はすぐに体勢を立て直す。


「へぇ~、なるほどねぇ~。 これは引力なのか? いや、斥力か……?」

「やっぱり、知っていたか? 悪魔神」

「まさか…このボクをここまで吹き飛ばすとは、なかなかやるねぇ~。 結構、凄いことだよ」

「……」

「でもさぁ、ボクを吹き飛ばして、どうやって攻撃するわけ?」

「……」

「なるほど、とりあえずボクを吹き飛ばして、距離を取った……()()…か」

「……」


 咄嗟に自分の背後にいた敵を射程外から突き放しただけに見えるけど、これでは自分も敵に攻撃することはできない。 おそらくジリ貧の消耗戦になるだろう。 それともまだ何か一発逆転の技でもあるのか? いずれにしても悪魔神オリンデルスには最強無双の体力があるけれど、果たしてこの謎の男には、そこまでの体力があるのか? それにしても重力と引力・斥力…か?


 ここで彼は考える。 距離を取られたことにより、考える時間ができたからだ。


 あの男―――接近戦・肉弾戦は苦手とみた。

 背後を()かれたとはいえ、またすぐに引き離す行為は、接近格闘戦が不得手と思わざるを得ない。 彼が最初に襲ってきたのは、ボクが重力の倍加で押し潰されて、身動きできないと見たからだ。 だがしかし、ボクに重力の倍加が効かないとわかると、途端に接近せず距離を取り始めた。 しかも、ボクがあの男の背後に近づくと、今度は引力を使って、ボクを()()()()()()()()()()()吹っ飛ばした。 それか斥力を使って反発させたか? それから重力と引力・斥力を同時に発動させることはできないみたいだ。 引力が働いてる間は重力が動かず、重力が働いてる間は引力が動かない。 大きい力であるが故に、相剋を起こし、力が上手く働かないというデメリットもあるということか?


 そこでボクが地上の方へ目をやると、関所の建物からだいぶ前の道に停まっていたはずの黄金の大型馬車が、もう既に関所の建物を通過して、だいぶ先へと移動しているところが見えた。


 そうか、先程の引力・斥力の作用で重力の倍加の効果が失い、その(スキ)をついて、馬車を走らせたのか。 相変わらず抜け目のない男だな―――ヴァグドーよ。 だが…これで遠慮なく攻撃できるということだな。


 それなら()()を試してみるか?


 ちなみに悪魔神オリンデルスはヴァグドーと違って、近距離・格闘戦だけでなく、中距離間の離れた場所からの攻撃も可能である。


 今は引力・斥力が働いているので、お互い思うように近づけない。 この(スキ)に謎の男は体勢を立て直して作戦を練り直すつもりだろう。 だがしかし、それは彼にとっても時間を与えることになり、謎の男はそこまで考えが及んでいないと見た。 速攻による早期決着が悪魔神を破る唯一の勝利条件。 だがしかし、重力の倍加が効かない以上、戦法を変えて戦うしかない。 謎の男にとっても、ここから先は未知の領域に入る。


「ふっ…」

「…?」


 シュウゥゥゥーーーーッ!!


 彼の全身が妖しく禍々しく漆黒の邪悪な闘気(オーラ)に覆われていて、徐々にどんどんパワーが上がっていく。 また同時に不可思議な形に構えた。 この悪魔神オリンデルスは果たして一体何をするつもりなのか?


※重力→地面に寄る力。

 この力がないと地面から離れる。

 重力が倍加すると、逆に地面に寄りすぎて押し潰そうとする。

※引力→物と物を引き寄せる力。

 磁石のS極とN極。

※斥力→物と物が反発して引き離す力。

 磁石のN極とN極・S極とS極。

 「せきりょく」という。

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