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268、イフレアの黄金の女神(ゴールド・ノルニル):2

  ●【No.268】●



 強者だけにしか見えない『幻の強者の塔』の内部構造はいたって単純(シンプル)。 その中は八角形の何もない広い空間のみ。 その中央には黄金の鎧兜がひとつ立ってるだけ。


 ()()()はイフレアの黄金の女神(ゴールド・ノルニル)

 名前は勇者・英雄の女神ヘラクレル。

 ()()()が放つ最大必殺技 "エフェクト・ハーキュリーズ・シュラウド" は、()()()()()()勇者アドーレの黄金の剣・黄金の鎧をも破壊してしまい、今まで傷つくこともなかった()()()()()()()()()に傷をつけた。


 今まさに勇者アドーレ…最大のピンチ? と思われたけど、なんと意外に冷静沈着。 この期に及んでまだ勝機があるのか? それかもう既に覚悟を決めたか? それとももともとこういう性格なのか? はてさて―――



 ━・ 勇者アドーレ.VS.イフレアの黄金の女神(ゴールド・ノルニル) 勇者・英雄の女神ヘラクレル ・━



 ()()()()を見ながら女神ヘラクレルが言った。


『これでこの勝負、私の勝ちですね…』

「……」

『どうされますか?

 素直に負けを認めますか?』

「今……あなたに対して、必殺技を使用するつもりです。 この必殺技で…あなたに勝つことができるでしょう。」

『…勝算がおありですか?

 それとも単なるハッタリですか?』

「波紋には波紋で返すしかありません。」

『……?』


 ボクが伝説の皇剣【磨羯龍の剣】と伝説の皇剣【消滅罪の剣】を取り出し、ふたつの剣を "十字の形" に構える。 その "十字の形" に構えたふたつの剣の刀身が黄金に輝く。 ボクはこのまま目を閉じた。


※[この時、伝説の皇剣【磨羯龍の剣】を縦にして、伝説の皇剣【消滅罪の剣】を横にする]


 普通、伝説の皇剣は所有者しか使用できない。

 しかし、所有者からの使用許可をもらい、なおかつ使用者に使用する資格があるならば、一時的に本来の所有者に成り代わって使用することができる。 ヴァグドーが所有する伝説の皇剣【消滅罪】を同レベルの実力者で、しかも形式的な試合とはいえ、一度は所有者(ヴァグドー)に勝利している彼が使用できるのは、当然のことだ。


 ガキィーーン、ピカァーーン!


「あなたの "エフェクト・ハーキュリーズ・シュラウド" を打ち破るには、この "琥紋十字閃" をもってしかありません。」

『… "琥紋十字閃" …?』

「はい、そうです。

 この "琥紋十字閃" で勝負を決したいと思います。」

『そのような技で、私の "エフェクト・ハーキュリーズ・シュラウド" に勝てるとでも言うのですか?』

「はい、あなたに勝つには…この技しかありません。」

『いいでしょう。

 では…どちらの必殺技が強いか…勝負です。』

「望むところです」


 ズババババァァァァーーーーッ!!


 両手の(てのひら)から波紋のような模様が無数に浮かび上がり、その無数の波紋模様の高速衝撃波がまたボクに向かって放たれた。


『行きます!

 "エフェクト・ハーキュリーズ・シュラウド" ッ!』

「っ!」


 無数の波紋模様の高速衝撃波 "エフェクト・ハーキュリーズ・シュラウド" が…ボクを襲う。 だがボクは、まだふたつの伝説の皇剣を "十字の形" にした状態でいて、ふたつの刀身が黄金の闘気で激しく輝く。 まるで刀身にパワーを集束させてる感じに見える。 目を閉じたまま集中する。


「っ!」

『……』


 ズババババァァァァーーーーッ!!


 この無数の波紋模様の高速衝撃波 "エフェクト・ハーキュリーズ・シュラウド" が…ボクを襲うなか、当の本人は「バリヤー」&「防御」&「回避」なども一切何もせず、ただ静かにじっと構えて立ってるだけ。


 ()()()天には曇りひとつない青空。 地は何処(どこ)までも広がる青い海。 一切の淀みも邪念もない水平線なき青一色の空間。 何も音がしない無の境地。


 まさに『明鏡止水』―――()()()()()


 少しの間、そのままの状態を維持。

 甘んじて、敵の "エフェクト・ハーキュリーズ・シュラウド" をこの身に受けながら体勢を維持。 さすがに伝説の皇剣だけあって、女神の攻撃でも全く微動だにしない。


 カッ、タッ!


 やがてボクは目を見開いて、もの凄い勢いで地(海?)を蹴る。

 そのままの状態を維持しつつ、もの凄い速度(スピード)で女神ヘラクレルに急接近。 相変わらず敵の攻撃を受けながらも体勢を崩さず、一気に敵との距離を詰める。


『!?』

「ちぇっ!」


 ヒュッ、ザァーーン!


 ボクが女神ヘラクレルの目の前まで来ると、一気に縦横に構えたふたつの剣 "十字の形" を素早く振り抜いて、その十字の斬撃・衝撃波を接近して喰らわせる。


「【琥紋十字閃(こもんじゅうじせん)】!!」

『うわわあぁぁっ!!?』


 ドォーーン、バァーーン!!


 ボクの必殺技【琥紋十字閃(こもんじゅうじせん)】が女神ヘラクレルの黄金の鎧兜に命中。 直撃した十字の斬撃・衝撃波で黄金の鎧兜が全身バラバラになり、なんと中身は何もなかった。 つまり、ただの黄金の鎧兜だけと闘ってたことになる。


 ガラガラガラガラガラ―――


 バラバラになった黄金の鎧兜が地面のあちこちに転がる。


 てっきり…あの鎧の中には[女神=女性]がいて、ボクと闘ってるものだと思ったけど、おそらく何処(どこ)か遠くで、この黄金の鎧兜だけを操って闘っていたのか?


「……」

『……』


 その鎧はもう動く気配がない。

 てっきり…鎧が合体して、元の状態に戻って、『残念でしたね? この程度では…私を倒せませんよ?』とか言って、また攻撃してくるかと思ったけど、この鎧はもうピクリとも動かない。


「…まさか…」

「あら、もう終わり?」

「おかしい……あの女神が…この程度なのか…?」

「そのようね」

「否、アドーレが強すぎるんじゃ」

「「……」」


 その様子を離れた場所から、ヴァグドーさんたちも見ていて、不思議そうに感想を()べてる。






 これで終わりですか?

 やけにあっさりしすぎてますけど…?


[なんと勇者アドーレが勇者・英雄の女神ヘラクレルに勝利]


 またどこからともなく謎の声が聞こえてきた。


『お見事です。

 まさか本当に私を倒してしまうとは…』

「ボクの勝ちなのですか?」

『はい、あなたの勝利です。

 そして…私の敗北です。

 仮にも女神である私に勝利するほどの強者なら、もう誰もあなたに勝利できる者もいないでしょうね?』

「そうですかね?」

『はい、あなたには…やっぱり黄金の鎧兜が似合います。

 ()()を差し上げましょう。』

「えっ?」


 ガッチャーーン!


 さっきまで地面にバラバラに転がってた黄金の鎧兜が全てボクの身体に瞬時に装着された。 以前、装着していた模造品(レプリカ)の黄金の鎧兜とは全く違う。 輝きが違う。 硬度が違う。 気品が違う。 力量が違う。 まさしくホンモノだ。 あのイフレアの黄金の女神(ゴールド・ノルニル)が着用していたホンモノの黄金の鎧兜である。


 いずれにしても……これで―――


 ボクは遂にイフレアの黄金の女神(ゴールド・ノルニル)

 あの勇者・英雄の女神ヘラクレルに見事に勝利。

 新たに黄金の鎧兜を入手した。


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