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265、『激震波』

  ●【No.265】●



 ここナギアノ王国の北東にある草原の奥の方。

 現在…ヴァグドーが単独で最凶の化物《悪股の大蛇》に(いど)む。



 ヴァグドー.VS.《悪股の大蛇》[闘壱頭(トウいっとう)]


 ヴァグドーが瞬時に超闘気(スーパーオーラ)『悪魔神の魂』を右肘・右膝に込める。 それと全身に妖しく禍々しい邪悪な漆黒の闘気をまとって、一時的に身体能力の向上と硬度を強化する。


「ふん!」


 ヒュッ、ブゥーン!


 ヴァグドーが素早く飛んで、あっという間に飛ばされた《悪股の大蛇》に追いつき、一瞬にして《悪股の大蛇》の顔面の目の前へ現れて、素早く一回転しながら降下するような右膝蹴り【神納覇(しんのうは)降陵(こうりょう)】を《悪股の大蛇》の顔面に叩き込む。


「行くぞ!

 【神納覇(しんのうは)降陵(こうりょう)】」


 シュッ、バキッ!


 強烈な一撃。

 あまりに強烈なので蛇の脳が揺れる。


 ギャアアアアアアアァァァァァーーーーッ!!


 今度は、そこから一瞬にして《悪股の大蛇》の後頭部へ移動して、素早く一回転しながら裏拳するような右肘打ち【神納覇(しんのうは)登昇(とうしょう)】を《悪股の大蛇》の後頭部に叩き込む。


「くらえ!

 【神納覇(しんのうは)登昇(とうしょう)】」


 シュッ、バキッ!


 これまた強烈な一撃。

 あまりに強烈すぎて脳震盪を起こす。


 ギャアアアアアアアァァァァァーーーーッ!!


 ズドォーン!


 このまま《悪股の大蛇》が思いきり地面に叩きつけられて、牙の折れた口から泡を吹いて意識を失う。 もはやピクリとも動かない。 完全に戦闘不能である。


[最強無双・ヴァグドーが最凶の化物《悪股の大蛇》[闘壱頭(トウいっとう)]に勝利!]


「なんじゃ?

 もうおしまいか?

 まぁ…頭ひとつだけの実力では、この程度か?」


 空中に浮かぶヴァグドーが気絶する《悪股の大蛇》を見下ろしながら言う。



 遂に《悪股の大蛇》を倒した。


 今まで誰一人として倒すどころか、逃げ出すことすらままならない。 この最凶の化物を唯一人の人間が10分以内で倒すことなど、まさしく前代未聞・前人未到の出来事である。 初めて《悪股の大蛇》を倒した男・ただの人間ヴァグドー。 ここから彼の伝説がさらに加速する。 これは世界中に『激震波』が走るだろう。 もっともヴァグドーにとっては、そんなことはどうでもいい。 とにかく強敵と戦えれば、それでいいのだ。


「相変わらず…さすがですね。」

「やっぱり、勝ったわね♪」

「ほーう、なかなかやるなぁ~」

「す、凄い…です…」

「さすがは師匠! お見事です!」

「もう向かうところ敵なしですね?」

「やるぅ~、ダーリン~♪」

「これがヴァグドー殿の実力…ですか?」

「あんな巨大な蛇を投げ飛ばした…?」

「マジ、スゲエェ!」

「アレって、普通に出会ったら死ぬヤツでしょ?」

「おいおい、()()やっちまったよ…」

「ヴァグドーさん、マジヤバ!」


「おい、見たか…今の…?」

「いや、速くて見えねえ…」

「…だよな…?」

「……」


 この戦闘を見ていた者たちが、ヴァグドーの活躍を驚嘆しながら、それぞれ感想を()べる。






 初めて生態系を崩されて、食物連鎖の頂点に立っていた。 あの《悪股の大蛇》が初敗北したことで、その蛇の巨体を維持できなくなり、赤い眼球だけを残し、その姿を()していく。 結局、最後まで残った()()が大きな白い牙【魔毒牙】の二本と、赤い眼球【魔玉石】のふたつだけだった。


 ワシが赤い眼球【魔玉石】の目の前に降りる。


 スタッ!


「……」


 ワシが赤い眼球【魔玉石】をふたつとも拾い上げ、ひとつは悪魔神オリンデルスに、もうひとつは上位魔族テミラルスに、それぞれ向かって投げる。


 ヒュッ、ヒュッ!


「約束の例のモノじゃ!

 受け取れい!」

「「……」」


 パシッ、パシッ!


 その悪魔神オリンデルス&上位魔族テミラルスが、それぞれ自分に向かってくる【魔玉石】を手で掴んで受け取る。


「すまない。 ありがたく頂くよ。」

「おお、これがあの【魔玉石】なのか?

 これでエリュドルス様も大喜びだな!」

「ふっ、友情の証じゃよ」

「わかった。 エリュドルス様には、そう伝えておくよ。」


 ワシには興味のない玉じゃが―――


 ()()()オリンデルスの目的のひとつ。


 オリンデルスがワシらと同行する上で、必ず入手したい特殊アイテムのひとつ。

 ()()()この特殊アイテム【魔玉石】である。

 あの最凶の化物《悪股の大蛇》の目玉で、大変貴重かつ重要なアイテムとされておる。

 しかし、今まで誰も入手したことがないので、その能力・効果は誰も知らない。

 オリンデルスがどういう用途で使用するのか知らんけど、せめて能力・効果ぐらいは知ってるはずじゃ。



 ()()()テミラルスの目的のひとつ。


 大魔王エリュドルスが部下のテミラルスにワシらと同行させてる理由のひとつ。

 ()()()この特殊アイテム【魔玉石】の入手である。

 あの最凶の化物《悪股の大蛇》の目玉で、仮にひとつだけでも入手できたなら、それはとても凄いことだろう。

 しかし、今まで誰も入手したことがないので、その能力・効果は誰も知らない。

 勿論、エリュドルスならば…どういう用途で使用するのか知らんけど、なんとか能力・効果ぐらいは知ってるはずじゃ。


 これで二人は目的をひとつ達成した。

 だけど、ひとつずつだけじゃ満足せんじゃろうし、他にも目的があるため、引き続きワシらに同行する。






 ワシが欲しいのは、むしろ()()()じゃ。


 ワシが先ほど、あの蛇からへし折った大きな白い牙を持つ。 この牙には猛毒のエキスが牙全体に流れており、ワシみたいな毒耐性の身体じゃないと()れただけでも、あっという間に全身が猛毒におかされて死ぬ。


 ワシが二本の大きな白い牙を立たせて、その間に【魔蛇の剣】の刃の先端を地面に突き刺し立たせる。 すると…二本の大きな白い牙が青白く光り、その間にある【魔蛇の剣】の刀身も青紫色に光る。


 この一連の流れを他の者たちも見ていた。


「…?」

「何やってるんだ?」

「彼の持つ【魔蛇の剣】には、相手の動きを封じる効果がある。 それにあの【魔毒牙】の猛毒効果を付け加えようとしている。」

「!?」

「えっ…嘘?」

「そんなことが…?」

「同じ魔蛇属性だから可能なのだ」

「へぇ~、凄いな。 もう無敵じゃないか?

 あの剣…」

「ああ、そうだな。

 あの剣も最強の持ち主に強くしてもらって喜んでいるだろう。」

「……」


 そう…最凶の化物《悪股の大蛇》の大きな白い牙・特殊アイテム【魔毒牙】には、ワシの武器の効果に猛毒が付けられる。 ワシが持つこの【魔蛇の剣】には、今は敵の動きを封じる効果がある。 じゃが、それに加えて、この【魔毒牙】の猛毒の効果も一緒に付けられる。 つまり、敵は身体の動きを封じられて猛毒におかされて、あっという間に死ぬ。 これぞまさしく『激震波』じゃろうて。


 ―――完了。


 伝説の皇剣【八魔蛇(はまじゃ)の剣】の効果。

 ◎敵の身体の動きを封じる。

 ◎敵を猛毒におかせる。

 ○同時使用&別々使用→OK。




※『激震波』→ヴァグドー用語。

 とてもヤバイ武器のこと。

 特に威力・攻撃力の高さを指すのではなく、非常に危険な能力・効果のことを言う。 世界を震撼させるほどの衝撃『激震の波』をヴァグドーなりに言った言葉。 転じて、「ヤバイ事や信じられない出来事が起こる」にも使用される。


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