258、激怒なる者
●【No.258】●
ここはナギアノ王国の王宮内、玉座の間にて。
その玉座の間の奥にある玉座では勇者アドーレとスーパー・オークが対決している。 とはいっても、もう既に終了していた。 スーパー・オークの頭だけが床に転がっており、胴体が床に仰向けで倒れてる。 残念ながら、もう既に事切れてる。 たったの一撃の斬撃で首を切断されたスーパー・オーク。
それを見たアドーレやヴァグドーたちが―――
「ふーう、終わりました」
「おう、ご苦労」
「お疲れ様でした」
「さっすがぁ~アドーレちゃ~ん♪」
「さて、御前に雁首揃えるか」
そこにヴァグドーが先程の3つの漆黒・鋼鉄のオークの頭と、今丁度アドーレが斬り裂いたスーパー・オークの頭を玉座の前に、4つ横に並べて文字通りに雁首揃えた感じになる。
「ほぉーーほほほぉーーっ!
それでは行くぞ!」
「はい」「ああ」「ええ」
何やらヴァグドーが他の三人に同意を求めた?
一体何の為に―――?
さらにヴァグドーが黒い小瓶を取り出し、その小瓶の蓋を取って、そのまま謎の液体を雁首揃えた4つの頭に振りかける。
すると―――
ゴゴゴゴゴゴゴォォォォォ―――
「おっ」「んっ」「むっ」「あら」
4つ横に並べた漆黒・鋼鉄のオークの頭に謎の液体を振りかけた。 その4つの頭が少しずつ振動しており、首から下が巨大な四足歩行の黒い動物の姿になり始めた。 4つの首を持つ犬か狼の様なケモノ。 例えるならば、まるで4つの頭を持つケルベロスみたいな感じになる。
真のボスモンスターである《ケルベロス・オーク》となっていく。 まずは漆黒・鋼鉄のオークから、次に漆黒・鋼鉄のスーパー・オークとなり、最終的には強力・巨大な《ケルベロス・オーク》となる。 この姿こそが玉座を支配する真のボスモンスターなのだ。
◎《ケルベロス・オーク》〈激怒する者〉
※レベル:300
※スーパー・オークよりも巨大な四足歩行の獣型・狼系ボスモンスターであり、コイツも漆黒・鋼鉄の身体をしている。
※性格は憤怒・狂暴・利己。
※攻撃方法:【漆黒火焔】【漆黒烈風】【漆黒刺雷】、強烈な踏みつけ。
怒りの《ケルベロス・オーク》が吠える。
『ウオオオオオォォォォーーーーンンン~~~~~ッ!!!』
吠えた拍子で床が振動する。
それほどまでに凄い衝撃の鳴き声である。
奴は激怒している。
「おお、やる気だな」
「ようやくマトモなボスモンスターの登場ですね。」
「ほーう、なるほどのう」
「………」
ここでヴァグドーたちもようやくやる気になってきたか?
グゴゴゴゴゴゴォォォォォーーーーーッ!
「「「「!!?」」」」
すると《ケルベロス・オーク》の4つの頭のうち、一つの頭の口から【漆黒火焔】を吐き出し、ヴァグドーたちのことを焼き尽くそうとする。 そのいきなりの攻撃に、さすがのヴァグドーたちも少しだけ面を食らう。
「ちっ、【ワールドバリヤー】!」
いち早く反応した悪魔神オリンデルスが自分たちを取り囲むようにして、素早く強力な漆黒障壁を出現させて、この【ワールドバリヤー】の漆黒障壁で《ケルベロス・オーク》の【漆黒火焔】の威力・焼き尽くしを防ぐ。
ズバァァァン!
「あ、危なかったぁーー」
「いきなり攻撃ですか?」
「ほーう、なるほどのう」
「ちっ、獣相手に言うセリフではないんだが、イカれてやがるぞ!」
ズババババババァァァァ―――
ここでも《ケルベロス・オーク》の【漆黒火焔】を防ぎきったヴァグドーたちに、今度は《ケルベロス・オーク》の別の頭の口から【漆黒烈風】を吐き出し、目の前にいるヴァグドーたちに対し更なる追い撃ちをする。 しかし、これも【ワールドバリヤー】の漆黒障壁でなんとか防ぐ。
ズバァァァン!
『ウゥオオオオオオォォォォーーーーンンン~~~~~ッ!!!』
ドドドドドドド―――
すると今度は《ケルベロス・オーク》が巨体を震わせながら、轟音を響かせてヴァグドーたちの方へ接近する。 どうやら肉弾戦、または力ずくで【ワールドバリヤー】を破壊しようとしてるようだ。 当然ながら接近戦ならば、あの男が有利となる。
「よーし、ワシの出番じゃな!」
タッ、タタタッ!
そこでヴァグドーが【ワールドバリヤー】から飛び出て、まっすぐ素早く勢いよく《ケルベロス・オーク》の方へ向かって走る。 そこに《ケルベロス・オーク》の別の頭の口から【漆黒刺雷】を吐き出し、高速で向かってくるヴァグドーに対して攻撃する。
グガガガガガガガァァァァァ―――
サッサッサッ!
「ふふふ」
ここからヴァグドーが【漆黒刺雷】を巧みに素早く避けながら、どんどんと《ケルベロス・オーク》の方へ向かって走る。
この後も《ケルベロス・オーク》が4つの頭の口から【漆黒火焔】【漆黒烈風】【漆黒刺雷】を交互に吐き出し、高速で向かってくるヴァグドーに対して攻撃する。 けどヴァグドーも巧みに素早く避けながら突進する。 そして、ヴァグドーが《ケルベロス・オーク》の目の前まで来ると、そのまま素早く飛び上がり、4つの頭の目の前に来る様に浮かぶ。
タッ、スゥーーッ!
「ほぉーーほほほぉーーっ!
それでは行くぞ!」
『ウゥッ!!?』
ヒュッ、バキャッ!
ここから《ケルベロス・オーク》の4つの頭のうち、目の前にあった顔面を右拳で殴りつける。 顔面も鋼鉄で硬いハズなのに、軽々と素早く殴りつけて顔面を破壊するヴァグドー。 殴りつけて破壊した頭が粉々になって砕け散る。
『『ウゥゥオオオオオオォォォォォーーーーーンンン~~~~~ッ!!!』』
悲鳴なのか、大声を出す。
「……ふっ」
4つある頭のうちの一つが破壊されて激怒する《ケルベロス・オーク》の3つの頭が目の前にいるヴァグドーに対して、それぞれ【漆黒火焔】【漆黒烈風】【漆黒刺雷】で一斉に攻撃する。
グゴゴゴゴゴゴォォォォォ―――
ズババババババァァァァァ―――
グガガガガガガァァァァァ―――
スゥーーッ、フッ!
だがしかし、ここで【ストリンガー・デスロック】発動!
突如としてヴァグドーの姿が消える。
この瞬間だけ、誰にもヴァグドーの姿・存在を認識できない。
『『ウゥッ!!?』』
突然消えたヴァグドーを探すため、キョロキョロと周囲を見渡す《ケルベロス・オーク》だが―――
ヒュッ、バキャッ!
今度はヴァグドーが3つある頭のうち、【漆黒刺雷】を吐き出してた頭の後頭部に突然現れて、そのまま一気に右拳の一撃を喰らわす。 後頭部も鋼鉄で硬いハズなのに、また軽々と素早く殴りつけて後頭部を破壊するヴァグドー。 殴りつけて破壊した頭が粉々になって砕け散る。
『『ウゥゥゥオオオオオオォォォォォーーーーーンンン~~~~~ッ!!!』』
またしても悲鳴をあげる。
これで《ケルベロス・オーク》の4つの頭のうち、2つまで破壊した。




