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絶望老人が異世界転生をしたら、99年間で最強無双になってしまった!  作者: 賭博士郎C賢厳
※新章閑話:イトリンの章
267/329

06、暗殺者からの仕事の依頼

  〇【No.006】〇



 あるお客さんが妙なことを言ってきた。


「私は冒険者(アカツキ)ではなく暗殺者(アサシン)です。」


「―――えっ!?」


 このお客さんが奇妙なことを言ったお陰で、俺は思わず絶句・唖然となる。


 はぁ…一体何言ってんだぁ…この人はぁ…!?


「いいえ、何でもありません。 それにしても美味しいですね…()()。」

「どうもありがとうございます。」


 でも…自分のことをわざわざ暗殺者(アサシン)と言ってくるあたり、俺はとても混乱してる。 別に俺を殺しに来たわけではないようだ。 それにしても暗殺者が俺の作った料理を食べるとは―――


 わざわざ対象者の目の前で、チャーハンとギョウザを頼んで食べてるあたり、また自分のことを暗殺者(アサシン)と名乗ることは、まったくあり得ないことだ。 ()()()()プロのアサシンのすることじゃない。


 それに俺を油断させるためと言っても、そもそも自分の姿も正体も()()()()()()()、油断もへったくれもなく、隠れて静かに俺を殺害すればいいわけだから。


 そもそもプロの暗殺者なら、わざわざ自分の顔を(さら)してまで、暗殺対象者と話し合うなんて、()()()真似(マネ)はしない………はずだ。


 だから俺を殺しに来たわけがない!

 ……はずだ……。



 などと考えてるうちに彼女が俺の作ったチャーハンとギョウザをすっかり食べ終えた。


「ごちそうさまでした。

 とても美味しかったですよ…()()。」

「そうですか…。 それは良かったです」

「それでは、お会計をお願いします。」

「いいや、今は値段がないんです。 まだ金額設定をしてないんですよ。 だから今回だけは無料でいいですね。」

「あら、無料なのですか?

 ですが、あなたの後ろの方は鋭い目つきをしてますね?」

「…?」


 彼女の言葉に、不思議に思った俺が少しだけ顔を後ろに向けてみると、その背後に居たのが、なんとヴァグドーさんだった。


「……」

「あや、そこに居たんスか?

 それでヴァグドーさん…何か用ですか?」

「ッ!!?」

「ふむ、かなりの殺気があってな。 ここに来てみれば、そこに居たのが…彼女だったもので…な?」

「……殺気?」

「ふむ、お前さんには解らんか? まぁ…あまりにも静かで小さな殺気なので、普通の者では理解できんか?」

「そ、そうなんですか?」

「……」


 俺の背後にいるヴァグドーさんの方を少しだけ見ている状態で話し合ってる。


「ふふふ、さすがですね。

 あなたがヴァグドーですね? 絶対に暗殺できない男………ですか?」


「ほっほっほっ、このワシを殺しに来たのか?」

「まさか……でしょ? あなたを殺すには、相当なレベルと実力がないと、逆に返り討ちにあいましょう。 あなたを殺すには、まず私一人だけでは無理ですね。 大軍を引き連れても、果たしてあなたに勝利できるか、どうか………ですからね?」

「ならば、森に行ってモンスターを倒して、経験値とお金を稼ぎに来たか? それともただ単にチャーハンとギョウザを食べに来たか?」

「……」


 今度は俺の背後にいるヴァグドーさんと俺を挟んで、カウンターの向こうに座るお客さんが話し合ってる。


「実はヴァグドー、あなたに()()()()()をしに来ました。」

「―――えっ!!?」

「ほーう、このワシに仕事の依頼を……?」


 なんと暗殺者の女が最強無双のヴァグドーさんに()()()()()をしてきた……だとぉ!?


 

 なんで……暗殺者(アサシン)が…ヴァグドーさんを頼ってきてるんだぁ!?


 こう言っては何だが、暗殺者(アサシン)が他人を頼ったら、おしまいだぞぉ!?


 それにしても暗殺者(アサシン)がヴァグドーさんに、一体何の仕事の依頼をしてきたのかな……っ!?




 その暗殺者の女が自前の純白の布で、自分の口を静かに拭いて、料理でヨゴレた口をキレイにする。 そんな女性が正面向いて両目を閉じた。


 一方のヴァグドーさんは、いつの間にか俺の後ろからカウンターを出てきて、その女性の右側にある椅子に座って、静かに腕組みするだけ。 あれ、さっきまで俺の後ろに居たはずなのに、いつの間にか暗殺者の隣に座ってるぞ? これは一体―――


「…?」


 そして、今度はヴァグドーさんから静かに話し始める。


「それで……このワシに一体何をさせるつもりなんじゃ?」

「はい、ヴァグドーさんほどのお方なら、大魔王討伐も容易(ようい)だと思います。 勇者アドーレさんや大魔女シャニルさんたちと協力して、あの "大魔王イザベリュータ" を倒していただきたい、との国王様からの要請がありました。」

「ほーう、大魔王イザベリュータのう」

「えっ、だ…大魔王っ!?」


「はい、残念ながらこの広大な大陸にも大魔王が居るのです。 以前ヴァグドーさんたちがいた大陸にも "大魔王エリュドルス" と言う "()()()()()()()()()()()()()()" がいたと思いますけど―――」


 えっ、ある程度人間に好意的な大魔王……だとっ!?

 そんな大魔王が存在するのかっ!?


 いや、その討伐に行け……と?


「この大陸にも勇者はたくさんおるじゃろう? ()()()()はどうしたんじゃ?」

「はい、確かにこの大陸にも勇者はたくさんいますけど、残念ながらここの勇者たちは、それほど強力ではありません。 それにこの大陸にいる大魔王イザベリュータは、噂では "()()()()()()" だと聞いております。」

「…ほう…」


 えっ、この大陸にいる大魔王イザベリュータが "絶世の美少女" だとっ!?

 ちょっと待てっ!!

 今度の大魔王は美少女なのかっ!?


「なるほど、今度の大魔王は絶世の美少女なのか…? それで、その大魔王をワシらが倒すのか…?」

「はい、その通りです。

 あの大魔王は外見が凄く可愛いけど、その性格は冷静沈着の残虐非道で手がつけられずに、人間やその他の種族などを平気で襲っているそうです。」

「なるほど、その美少女大魔王を倒せるほどの実力と残忍さが必要じゃな。 ならば並みの勇者では、その美少女大魔王を打倒出来ないわけじゃな?」

「はい、その通りです。

 それでどうですか? ヴァグドーさん」

「ふむ、そうじゃのう」

「……」


 ちょっと待てっ!!

 まさかこれから、その大魔王を打倒するために、この場から離れて、旅に出るつもりなのか…?

 いや、旅をしながらでもラーメンは作れるけど、素人の俺には戦闘は出来ないぞ。

 それでもいいのか?


「少し考える時間が欲しいものじゃな? パーティーはワシ一人だけではないんじゃからのう。 一応、仲間もおるしな」

「そうですか、判りました。

 では…私はここで少しお待ちしております。」

「おう、そうか…わかった」


 おぉ、検討する時間はあるようだな。

 まぁ、あんなに仲間がいるしな。 少しは相談しないといけないよな?

 俺がヴァグドーさんでも、こんなことは一人では決められないはずだからな。



 あとはヴァグドーさんたちに任せるか。



まだまだイトリン回です。


タイトル『糸井久信(イトリン) ~絶望老人が異世界転生をしたら、外伝~』の別ヴァージョンを追体験。 ここから今回も内容にさほど変化なし。 なので見比べても構いません。


それとブクマ・感想・評価・いいね等ありましたら、是非宜しくお願いします。

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