04、試食タイム
〇【No.004】〇
よーし、とりあえずラーメン・チャーハン・ギョウザの三皿さえ作れれば、あとは特に何も問題ないと思う。
「よーし、これである程度は形になったな。 本格的な試食が試せる時がきたようだ。」
早速、ヴァグドーさんたち13人分のラーメン・チャーハン・ギョウザを作って、本格的な試食をしてもらう。
ヴァグドーさんたち13人には、しっかりとラーメン・チャーハン・ギョウザを試食してもらうつもりで、全力で作る俺が久しぶりに燃えてきたぜっ!!
小屋の外では、木で造った長い机と椅子がもう既に用意されていて、俺の料理の登場を待ち構えてる。 よーし、よく見てろ! そして待ってろよ!
それぞれ13人分のラーメン・チャーハン・ギョウザを机の上に置いて、あとはコップに水を注いで準備完了だ。 あと勿論、割り箸とレンゲの用意もしてあるぜ。
そして、俺はヴァグドーたちを呼んだ。
「おお、もうできたのか? なかなか早いではないか? まだ六日間くらいしか経っておらんぞ?」
「さすがにやりますね。イトリンさん」
「さぁ~、食べるわよぉ~♪」
そう言いながらヴァグドーさんたちが目の前に置いてあるラーメン・チャーハン・ギョウザに目をやった。 とてもキラキラと輝いていて、なかなか食欲をそそる。
「おお、なかなかうまそうではないか? ようやく中華料理にありつけそうじゃな。」
「はい、今から楽しみです」
「うわぁ~、美味しそうぅ~♪」
全員が椅子に座り、俺が作ったラーメン・チャーハン・ギョウザを眺める。
「もう食べてよいのじゃな? イトリンよ」
「はい、熱いうちにどうぞ」
「おう、ではいただくぞ」
「それでは、いただきます」
「いただきまぁ~~すぅ~~♪」
そう言ってヴァグドーさんが割り箸を持って、ラーメンの麺をつまんで口に運ぶ。
ズルズルズル
「っ!!?」
なんとヴァグドーさんがラーメンの麺をすすって食べた瞬間、突然顔色が変化した? とても驚いているぞ? どういうことだ……はっきりしてくれ!
むむっ、なにやらヴァグドーさんの反応がおかしいぞ?
ヴァグドーさんがラーメンの麺をすすって食べたあとで、全く微動だにしてないぞ?
―――やっぱり、まずかったか……?
「うっ、うまい!!」
なんとヴァグドーさんがとても感激してる。 さらにヴァグドーさんがラーメンの麺をすすって食べ続けて、スープもどんどん飲む。
ズルズルズル―――ゴクゴクゴク
ヴァグドーさんは全く止まらず、あっという間にあっさりとラーメンを食べ終える。
「うまい、うまいではないか! イトリン、お前さんやるのう!」
「あっ、はい……どうもありがとうございます。」
いやはやヴァグドーさんのラーメン用丼が空になった。心なしか、ヴァグドーさんは少し興奮気味だった。
続けて勇者アドーレさんもラーメンをとても美味しそうに食べる。 麺をすすってスープを飲んで、ラーメンを食べ終えた頃には、とても満足そうにしていた。
「なるほど、これは確かに美味しいですよね。」
おぉ……そうか、それは良かった。 なかなかの高評価だ。
今度は大魔女シャニルさんがラーメンを食べており、彼女はなかなか色っぽい食べ方をしていて、俺はついつい見とれていた。
「久しぶりに食べたけど、本当に美味しかったわねぇ~~♪ もう何年ぶりに食べたかしらねぇ~~♪」
そんなに食べていなかったのか? それなら俺がここに来て良かったのだな?
その後もラーメンを食べたヴァグドーさんの仲間からは、「うまい!」「美味しい!」などの高評価をもらったので、とりあえずラーメンについては、合格点である。
このラーメンは、日本からの『異世界転生者』も、もとからこの世界に居る人達も、なかなか良い感じで、全員完食してくれた。
「うん、うまかった!」
「いやぁ、ご馳走さまでした。 とても美味しかったです。」
「はい、まさかこんな料理があったとは、ヴァグドーさんたちがいた世界もなかなか侮れませんよね。」
「なるほど、これがラーメンか……」
特にこの世界の住人でもあるカグツチさんたちから、とても良い感想を頂いた。
次にチャーハンを試食してもらう。 皆さん、余程お腹がすいているのか、もう食べ始めている人もいるようだ。
ヴァグドーさんや勇者アドーレさんや大魔女シャニルさんたちが、一斉に食べ始める。
ラーメンの時でもそうだが、最初に全員に料理の食べ方は教えてある。
皆さんがその通りに食べてくれていて、スープもかなり熱いので、少し冷ましてから飲むように、注意・説明しているから大丈夫なはずだ。
皆さんが早速、一口だけ食べて、すぐに停止した。
「―――むっ!!?」
「―――うっ!!?」
「―――んっ!!?」
ここでまたしてもヴァグドーさんたちの顔色が変化した。 この動きは………まさか………?
果たして味のほどはどうか?
俺の作ったチャーハンの味は美味しいのか、それともまずいのか、はたまた普通なのか、一体どっちだっ!!
レンゲから掬われたチャーハンをどんどん口の中へ運ぶ。
おおっ、あれほどの勢いで俺の作ったチャーハンを食べるとは……ある程度は美味しいと判断するぜ! 否、まずければ……あれほどの勢いで食べたりしないはずだ。
ここでもヴァグドーさんたちが、どんどんチャーハンを食べていき、やがて全部食べ終える。
「イトリンよ、このチャーハンもなかなかうまいではないか。 これはますます食が進むわ。」
「はい、このチャーハンもなかなか美味しいですよね。」
「は~い、ラーメンと全く同じように美味しいですわねぇ~♪」
「はい、ありがとうございます。」
俺の作ったチャーハンもそんなに美味しかったのか、少し興奮気味である。
他のみんなも美味しそうに食べてるところを見て、俺はとても満足している。
チャーハンも全員が残さず食べてくれたようで、好評価をもらい、俺の方も「良かった」とそっと胸を撫で下ろした。
どうやらカグツチさんやエクリバさんたちもすっかりチャーハンを食べ終えて感想を述べてる。
「いやぁ、このお米を焼いた料理もなかなか美味しかったわね。 みんな」
「ええ、これはやみつきになるかも♪」
「はい、この中華料理ですか? なかなか侮りがたい味です。」
「普通に美味しかったです」
「ほーう、これがチャーハンか……」
俺の作ったチャーハンを食べ終えたカグツチさんやエクリバさんたちもとても満足そうにしていた。
もう既に、ヴァグドーさんや勇者アドーレさんや大魔女シャニルさんたちが、最後のギョウザを食べている。
ちなみにギョウザのタレは、もう既に俺が作っておいた。 絶妙なバランスで作ったタレだ。
まずはヴァグドーさんがタレをつけたギョウザを一口食べた。
「おお、なんと……このギョウザもなかなかうまいではないかっ!!」
このギョウザに関しては、例の動きもせず普通に食べてる。 あの動き……もう飽きたのかな?
それでも美味しいと言ってくれた。
「はい、このギョウザも普通に美味しいですね。」
この勇者アドーレさんの感想を聞いて、俺はピーンときた。 そうか、全部普通に美味しい。 これだよこれ。 余計なモノはいらない。 普通に美味しいが一番いいのだ。
「ええ、ホント美味しいわねぇ~♪ このギョウザも普通にイケるわねぇ~♪」
やっぱり大魔女シャニルさんも同じ感想だ。
おそらくラーメン・チャーハン・ギョウザ共に普通に美味しいのだろう。 よしよし、それでいいのだ。
続けてカグツチさんたちも未知の食べ物・ギョウザを食べる。 このギョウザも最初に食べ方を教えてある。 なおかつ、先に食べたヴァグドーさんたちを見ながら食べる。
「おお、この料理もとても美味しい!」
「はい、まだ少し熱いですけど、外がカリッとしてて、中がとてもジューシーですよね。」
「ふーん、これが中華料理なのねぇ~。 ダーリンたちがいた世界は、とても美味しいモノが食べられたのねぇ~」
「これも普通に美味しいです」
「おお、これがギョウザか……」
よしよし、いいぞ。 やっぱりこの世界の住人には、かなり好評で高評価を得ている。 やっぱり普通に美味しいが一番いいのだな。 余計なモノはいらない―――コレだな!
結局、ギョウザまでも全員完食した。
ここで試食タイムが終了して、ラーメン・チャーハン・ギョウザの "美味データ" が採取できた。
ここからさらに味の改良をしていくつもりだ。
今回もイトリン目線でした。
タイトル『糸井久信 ~絶望老人が異世界転生をしたら、外伝~』の別ヴァージョンを追体験。 是非、比べて見て下さい。 少しくらいは面白いかも?
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