01、実はかなり危機一髪だった?
遂にイトリン登場か?
〇【No.001】〇
タッタッタッタッ!
ワシらはずくに指定されたポイント*地点の場所へ急ぐ。 (*→緊急につき省略する)
すると彼を見つけた。
「おっ!」
「見つけたぞ!」
「マズイ!」
「ヤバイぞ!」
「チィッ!」
「ッ!!?」
遂に例の男を見つけた。
木の根っこを枕にして仰向けに眠っておる。
その彼の周囲を取り囲むようにして、巨大な赤色のアリ《ジャイアント・クリムゾン》共が彼のことを狙っておる。 このままだと彼は、あの巨大な赤色のアリ《ジャイアント・クリムゾン》に食い殺されるぞ。
「ボクに任せて下さい!」
「おう、頼むぞ!」
「ヨロシクね。 アドーレちゃん!」
そこで勇者アドーレが走りながら、黄金の鎧から八本の黄金の剣を分離させて、すぐに素早く《ジャイアント・クリムゾン》共の方へ向かって飛んでいく。
【ストリンガー・ドラグーンソード】
その《ジャイアント・クリムゾン》共の眉間の部分?に、どんどんと黄金の剣を突き刺し、奴らが次々と倒れていく。
タッタッタッタッ!
グサッ、グサッ、グサッ、グサッ!
ドサッ、ドサッ、ドサッ、ドサッ!
やがて…例の男が《ジャイアント・クリムゾン》共に食い殺される前に、なんとか《ジャイアント・クリムゾン》を全滅させて、彼を救出した。 じゃが、もしワシらが鈍くさやっておったら、確実にあの男は死んでいた。 いやはやハーディスに救われたな。 ワシもあの男も―――
否、本当に危機一髪じゃった……!
「ふぅ、ビックリしたぁ~」
「危ない所でしたね?」
「ああ、本当に危ない所じゃった。
あともう少し遅れていたら、あの男は本当に殺されておったわ」
「ホント、危ないわよ。
ヴァグドーちゃん、宿屋に泊まってる場合じゃなかったわね。」
「いやはや反省じゃな。
まさかこんな急を要する事が起こっておったとは、夢にも思わなんだ。」
「ええ、まったくですよ。 ヴァグドーさん、あんな所に野ざらしにしておくなんて、モンスターに食われても仕方ありませんよ。」
「………」
「ふむ、そうじゃな」
そこで黙るな! 悪魔神オリンデルスよ。
ここでなんとかワシらは例の男・糸井久信と合流して、その身柄を確保した。 実はワシ、ああ見えて結構焦っておったのじゃ。
他の者たちが周囲を警戒しており、例の男・糸井久信には、布で作った枕と布団で仰向けに寝かせており、ワシは反省の意味も込めて、彼の隣で焚き火する。
―――パチパチ……パチパチ……
ん、起きたか?
焚き火の音で目覚めたようじゃ。
彼が目を開けてムクリと起き上がる。
すぐ隣でワシが焚き火する。
「起きたか?」
「……?」
ワシは起きた彼に気がついて、ワシが彼に話しかける。
「ここは何処だ?」
彼が周囲を見渡すけど、森なのでほとんど木ばかりじゃ。 その中で丁度何もない空間で焚き火しておる。
今は深夜なので、暖と明かりの意味を込めて、焚き火しておるワケじゃが…。
「ふむ、ここは森の中じゃよ」
「森の中……?」
「そうじゃ」
続けて、彼がワシに話しかける。
「では、ここは異世界なのか?」
「ふむ、その通りじゃよ。 お前さんがかつていた世界とは、全く別の違う世界じゃよ。」
「やっぱり…本当に異世界が存在してたのか?」
「ふむ、そうじゃな。
じゃが、お前さんも大変そうじゃったのう。」
大変だった……とは、別にさっきの事を言ってるワケではないぞ? あくまで彼の前世の頃を言っておるのじゃ。 断じて、さっきの事ではないぞ?
「お前さん、『異世界転移』してきたんじゃろ?」
「ああ、そうみたいだね」
「ふむ」
「そう言う…あんたは一体誰なんだ……?」
「ふむ、ワシの名前はヴァグドーじゃよ。 ヨロシクの。 ワシもお前さんと同じ元日本人じゃよ。」
「―――えっ、あんたがヴァグドーさんですか? もしかして『転生者』なんですか?」
「ふむ、いかにもじゃな。
じゃが、よくわかったのう?」
「いやぁ~、なんとなく……あんたがさっき自分のことを元日本人と言ったからな……」
「ふむ、なるほどのう……」
おお、どうやら頭の回転は早い方じゃな。 飲み込みの早い者は好きじゃ。
でもこの男は戦闘不可能じゃったな? 気をつけて戦わんとな。 せっかく助けたのに、あっさり死なれては意味ないからのう。
「………」
「……何かな?」
「あっ……いえ、何でもないです。」
―――なんじゃ?
こちらの方を見ておったが、何か思う所でもあったか?
「そうそう、お前さんの名前は何と言うんじゃ?」
「あっ、紹介が遅れました。 俺の名前は『イトイ』と言います。」
「違う違う、お前さんのこの異世界での名前じゃよ。 ここでも『イトイ』と名乗るのか?」
「あっ、異世界での名前ですか? 自分で勝手に決めちゃっていいんですか?」
「無論じゃ。
ただし、一度決定すると、もう変更できんぞ。」
普通は女神の前で決める事じゃが、この男に限って言えば、あの〈地球神アクナディオス〉の奴に転移された者らしいからのう。
この異世界での名前など、まだ何もつけておらんじゃろーて? このヴァグドーが彼の名前を聞いてやろう。
・・・・・・
さすがに悩んでおるか?
「………」
「………」
まだ悩んでおるか?
まぁ、一度決定したら、二度と変更出来んからな。 そりゃー悩むじゃろーて。
ん、どうやらこの異世界での彼の名前が決定したようじゃな。
「それじゃあ……俺の名前を『イトリン』にしてくれ。」
「おおっ、『イトリン』か!
なかなかいい名前ではないか!」
おお、なかなかいいセンスの名前ではないか? やはり、この男…どこか見所あるな? (※最も自分の事もヴァグドーと名乗っているので、名前のセンスは二人共におかしい?)
「そうでしょう、そうでしょう! いい名前でしょう! この名前で決まりですね!」
「ふむ、ではお前さんの名前は、今日から『イトリン』じゃな。 承ったぞい!」
「それではヨロシク」
「ふむ、ヨロシクな」
そこで彼が安心したのか、「ふああぁ」と大きく口を開けて、思わずあくびをした。
「ならば、今夜はもう遅いから寝よ。」
「はい、判りました。」
このまま彼がまた、その場で横になって眠ってしまった。
隣でワシが焚き火を見ながら、ずぅーっと座っていて、周囲を警戒する。
ここは「アレンカトロス大陸」の中にある「ナギアノ王国」の西南地区にある深夜の森の中である。
遂に新章突入か?
タイトル『糸井久信 ~絶望老人が異世界転生をしたら、外伝~』の第一話をヴァグドー目線で追体験。 是非、比べて見て下さい。 少しは面白いかも?
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