253、戦略的撤退
●【No.253】●
このまま【超光弾】が黄金のバリヤー&白銀のバリヤーを張ってる『堕神坊ベルシェールトン』を上から押し潰す。
「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉーーーーっ!!!」
もう既に『堕神坊ベルシェールトン』の身体が黄金のバリヤーごと海面に浸かっており、ここからどんどんと海中に沈む。
「ぐおおおおおおおおぉぉぉぉぉーーーーっ!!!」
勿論、『堕神坊ベルシェールトン』も必死に押し返そうとするけど、強力な【超光弾】の威力に押し返すこともできず、どんどんと【超光弾】と共に海中に沈む。
「そ…そんな…バカなぁ……っ!!?」
このままどんどんと海底へ沈む『堕神坊ベルシェールトン』を目の当たりにして、さすがの《クリスタル.エルフニア.ノヴァドラゴン》と《クリムゾン.エルフニア.ノヴァドラゴン》も堪らず『堕神坊ベルシェールトン』の救出に向かう。
『クソッ!』
『おのれぇ!』
「何処へ行く?」
「行かさんぞ!」
ただし、その前にあの『神光聖者エリュニウス』と『右刎王アレクェート』の二人が《クリスタル.エルフニア.ノヴァドラゴン》と《クリムゾン.エルフニア.ノヴァドラゴン》の前に立ちはだかる。
『『ジャマだぁぁぁーーーっ!!』』
「「!!?」」
『『【絶対絶命砲】!!』』
なんと《クリスタル.エルフニア.ノヴァドラゴン》と《クリムゾン.エルフニア.ノヴァドラゴン》が同時に口を開けて、炎と氷の合わせ技 "透明の極大光線"【絶対絶命砲】を『神光聖者エリュニウス』と『右刎王アレクェート』の方へ向けて発射。
ズドバァァァーーーン!!
※(この【絶対絶命砲】とは、"絶対に絶命させる砲撃" を意味する言葉の技であって、"絶体絶命" の意味ではない。 「炎」と「氷」の相反するエネルギーを混ぜ合わせて、透明の極大光線を作り出す。 透明の極大光線である為、基本的には防御不能・不可避の攻撃となる。 非常に厄介な攻撃なのだ)
「読めてるぞ。 その攻撃」
「そうはさせるか!」
サッ、ブゥゥゥン!
そこに『右刎王アレクェート』が『神光聖者エリュニウス』の前に出て、『右刎王アレクェート』の目の前に "透明の巨大壁"【絶対反射壁】を出現させて、その身を守る。
『『ッ!!?』』
「守れ、【絶対反射壁】!」
このドラゴン共の炎と氷の相反するエネルギーを合わせた "透明の極大光線"【絶対絶命砲】が『右刎王アレクェート』の作り出した "透明の巨大壁"【絶対反射壁】に阻まれ、跳ね返される。
ズバァァーーン!
『うわっ!!?』
『うおっ!!?』
なんと【絶対絶命砲】が【絶対反射壁】に跳ね返されて、今度は《クリスタル.エルフニア.ノヴァドラゴン》と《クリムゾン.エルフニア.ノヴァドラゴン》の方へ向かって飛んでいく。
※(この【絶対反射壁】とは、"絶対に攻撃を反射させる壁" という意味の防御壁だ。 実際に透明の巨大壁が出現するので、何もないように見えるけど、いつの間にか自分の攻撃が反射されて自分の方へ跳ね返ってくる。 非常に厄介な防御なのだ)
「そのまま自分たちの攻撃を自分たちが喰らうんだな」
「……」
『クソッ!』
『しまったぁ!』
ズババァァーーン!
シュッ!
でも跳ね返された【絶対絶命砲】がドラゴン共に当たる直前、そのドラゴン共の姿が消えて、辛うじて避けることに成功する。 その【絶対絶命砲】の "透明の極大光線" が対象者がいなくなり、虚しく何処かへ飛び去った。
「ちっ、逃げたか」
「今の回避行動は、あの悪魔神モドキの得意としている回避技のひとつだ。」
「へぇ~、あのドラゴン共にそんな特技がぁ~?」
「いずれにしても我々もあの悪魔神モドキと合流する。」
「ああ、わかった」
シュッ!
そこで『神光聖者エリュニウス』と『右刎王アレクェート』の二人も姿を消した。 一方の『堕神坊ベルシェールトン』は黄金のバリヤーごと【超光弾】の威力に押し潰され、どんどんと海底へ沈む。
あともう少しで【超光弾】も海底で大爆発を起こし、黄金のバリヤー&白銀のバリヤーで守られてるとはいえ、あの『堕神坊ベルシェールトン』もどうなるか解らない状態になる。 そのはるか上空・真上から『悪魔神モドキ』が見下ろし、その様子をただ黙って眺めてる。
「うわああああああああああぁぁぁぁぁーーーーっ!!!」
「……」
ドッカァァァーーーン!!
そして遂に海底から大爆発が起こる。 おそらく【超光弾】が爆発したと思われる。 だけど『悪魔神モドキ』からは特に嬉しい表情も喜びの表現もない。 ただ無言のしかめっ面のまま見つめているだけ。
シュッ!
その『悪魔神モドキ』の左右背後から『神光聖者エリュニウス』と『右刎王アレクェート』が姿を現す。
「……」
「殺ったのか?」
「否、まだ殺っていない」
「アレを見ろ。 アレクェート」
「ん?」
その『右刎王アレクェート』の質問に『悪魔神モドキ』が答えて、今度は『神光聖者エリュニウス』の指差す方向を見る。
すると《クリスタル.エルフニア.ノヴァドラゴン》と《クリムゾン.エルフニア.ノヴァドラゴン》に救出された『堕神坊ベルシェールトン』がぐったりしていて、《クリスタル.エルフニア.ノヴァドラゴン》の背中にもたれ掛かっている。 やっぱりなんだかんだ言ってもビジネスパートナーの命は大切だったようだ。
「あのドラゴン共…」
「やっぱりビジネスパートナーはまだ必要か?」
「おそらくな。
今のままではドラゴン共だけでは、どうしようもないからな」
「なるほどな」
ここで『悪魔神モドキ』・『神光聖者エリュニウス』・『右刎王アレクェート』の三人が、『堕神坊ベルシェールトン』・《クリスタル.エルフニア.ノヴァドラゴン》・《クリムゾン.エルフニア.ノヴァドラゴン》の方を見て言った。
一方で辛うじてまだ意識のある『堕神坊ベルシェールトン』に《クリスタル.エルフニア.ノヴァドラゴン》と《クリムゾン.エルフニア.ノヴァドラゴン》が話しかける。
『ここまでだ。
一時撤退するぞ。』
『そうだ。
もうこの状況、我らに勝ち目はない。』
「……」
『ただでさえ…あの悪魔神モドキに手を焼いていたのに、その上、本当に神光聖者エリュニウスと右刎王アレクェートが援軍に来てしまった。』
『一方のこちら側はお前がもうこの状態だ。
これでは勝負にも話にもならない。』
「わ、わかった。
一時撤退しよう」
『『了解』』
シュッ!
ここで遂に『堕神坊ベルシェールトン』や《クリスタル.エルフニア.ノヴァドラゴン》と《クリムゾン.エルフニア.ノヴァドラゴン》が姿を消して、完全にこの世界から一時撤退した。
これこそ矛盾である。
今回の【絶対絶命砲】(砲→矛) と【絶対反射壁】(壁→盾) で[矛盾]となる。




