247、先手必勝!!
●【No.247】●
ここで『悪魔神モドキ』が上空から『堕神坊ベルシェールトン』のことをキッと睨み付ける。 また『堕神坊ベルシェールトン』の方も上空へ浮かび上がり、『悪魔神モドキ』のいる高さまで来ると、そこで止まり『悪魔神モドキ』のことをキッと睨み付ける。 双方がお互いに睨み合ってる。
そこでまた『堕神坊ベルシェールトン』が『悪魔神モドキ』に質問する。
「ここに一体何しに来た?」
「ただのパトロールだ」
「……パトロールだと?」
「そうだ。 妖しい動きをしてないか、巡回している。」
「妖しい動き……だと?」
「そうだ。 妖しい動きだ」
『『ッ!!?』』
すると今度は《クリスタル.エルフニア.ノヴァドラゴン》と《クリムゾン.エルフニア.ノヴァドラゴン》の方をチラリと見た『悪魔神モドキ』の鋭い瞳に、またまた『堕神坊ベルシェールトン』が質問する。
「何か、文句でもあるのか?」
「……文句? いやいや、特に文句などない。
ただ覚悟はできているのかな?」
『『ッ!!?』』
「か、覚悟だと?」
「もし、そこのドラゴン共も貴様の味方をするなら、それなりの覚悟が必要になる。」
「な、何……?」
「遂に動くのさ。
あの神光聖者エリュニウスがね。
もしかすると、今度は右刎王アレクェートの奴も出てくるかもよ?」
「……何だ、一体何を言ってる?」
「……ふん」
ここで『悪魔神モドキ』が無表情で話し出す。
「あの大魔王デスゴラグションは、無事にヴァグドーたちによって撃退された。 あと、あの大陸で邪魔なのは、貴様だけだ」
「なッ!!?」
『『ッ!!?』』
「ヴァグドーたちもあの大陸から旅立った事だし、それに大魔王エリュドルスも大魔王デスゴラグションとの戦いで傷つき当分は戦えない。 あと戦えるのは、我々のみだ」
「まさか、正義や平和に目覚めたのか?
仮にも悪魔神トニトリエクルスの分身体のクセに…」
『『………』』
「………」
ここで『悪魔神モドキ』が無表情のまま『堕神坊ベルシェールトン』を睨み付ける。
「貴様ならどうする?
仮に同業者の他の悪魔神が自分の縄張りであるこの世界で、好き勝手な事をやりたい放題にし始めたら、貴様ならどうする?
見て見ぬふりでもするか? それとも仕方ないから見逃すか?」
「………」
『『………』』
「違うだろ?
それじゃあ、悪魔神の沽券と面子に関わる問題だ。 悪魔神ならこう思うはずだ。
『邪魔者は消せ!』ってな」
「………」
『『………』』
「あの大陸もこの世界も、ヴァグドーたち一行も神光聖者エリュニウスや右刎王アレクェートも大魔王たちも女神たちも、ここにある者全てが悪魔神トニトリエクルスだけのモノ。 そして破壊する権限があるのも、悪魔神トニトリエクルスだけのモノ。」
「………」
『『………』』
「貴様などにはない―――と言うことだ」
「………」
『『………』』
そこで双方が少しの間、沈黙するけど、やがて…また無表情の『堕神坊ベルシェールトン』の方から話しかける。
「言いたい事は、それだけか?」
「ああ、そうだ」
「ふん、そうか。 ならば最期に遺言として聞いておいてやる。」
「ふん、貴様こそ、覚悟はいいか?
今度こそ、貴様の最期だ!」
『『く…来るか…?』』
そこで『悪魔神モドキ』と『堕神坊ベルシェールトン』がお互いに距離をとって戦闘体勢に入る。
先手必勝!!
まずは『堕神坊ベルシェールトン』の方から攻撃に入る。 両手を身体の前方に突き出して、右拳からは激烈の炎の砲撃【激烈神炎砲】を左拳からは極寒の氷の砲撃【極寒神氷砲】を、それぞれ『悪魔神モドキ』の方へ向けて同時に発射させる。
「喰らえっ! 悪魔神モドキよ!
【激烈神炎砲】【極寒神氷砲】!」
ズバァァーーーン!
ズドォォーーーン!
「うっ!?」
さらに《クリスタル.エルフニア.ノヴァドラゴン》が口から【光輝く吹雪】を吐いて、そのまま『悪魔神モドキ』の方へ向けて攻撃する。
『喰らえっ! 凍りつけ!』
ズゴゴゴォォォーーーッ!
「えっ!?」
続けて《クリムゾン.エルフニア.ノヴァドラゴン》も口から【灼熱の火焔】を吐いて、そのまま『悪魔神モドキ』の方へ向けて攻撃する。
『喰らえっ! 焼き尽くせ!』
ズドドドォォォーーーッ!
「おっ!?」
ここに来て、あの『堕神坊ベルシェールトン』と《クリスタル.エルフニア.ノヴァドラゴン》と《クリムゾン.エルフニア.ノヴァドラゴン》の三方向から同時攻撃。 一斉に『悪魔神モドキ』の方へ向けて攻撃してきた。
「な、何っ!?」
先手必勝!!
この不意打ちの攻撃に、さすがの『悪魔神モドキ』でも驚愕・困惑する。
ドッカァァーーーン!!
なんと何の抵抗もなく、あの『堕神坊ベルシェールトン』の【激烈神炎砲】と【極寒神氷砲】に、《クリスタル.エルフニア.ノヴァドラゴン》の【光輝く吹雪】と、《クリムゾン.エルフニア.ノヴァドラゴン》の【灼熱の火焔】が三方向から同時に、あの『悪魔神モドキ』に直撃して大爆発した?
「や、やったぁーーっ!
ざまぁみろぉーーっ!」
『意外と呆気なかったな』
『ああ、そうだな。
何が悪魔神モドキだ。』
「ふはは、今のを不意打ちで喰らえば、いくら悪魔神モドキでも、ひとたまりもないということさ!」
『ああ、まったくだ』
『ハハハ、残念だったな』
やがて…激しい爆煙も消えて『悪魔神モドキ』のくたばった姿を見ようとするが、そこで―――
「な、何ッ!!?」
『こ、これは……ッ!!?』
『……一体ッ!!?』
今度は逆に『堕神坊ベルシェールトン』と《クリスタル.エルフニア.ノヴァドラゴン》と《クリムゾン.エルフニア.ノヴァドラゴン》の方が驚愕・困惑する。
なんと『悪魔神モドキ』の姿が何処にもいない。 ―――消えたのだ。
せっかく先手必勝したのに………。




