243、閑話休題 [最初の大陸サミット]
●【No.243】●
これはヴァグドーたち一行が最初の大陸を旅立って、次の別の大陸へ向かう途中での出来事である。
そんなヴァグドーたち一行が旅立ってから、最初の大陸では間もなくサミットが開始される。
各国の国王や代表たちが集まって、最初の大陸の某所にて会議する事になる。
その名も《第一回最初の大陸サミット》を開催する。 そのサミットの主催者がアロトリスであり、それと開催地も彼女が決めた。
最初の大陸の中央上部にある某所の屋内施設に、大陸中から国王や代表たちが集合して屋内施設に入っていった。 この室内にある某部屋の中央にある円卓にて、一堂に会して各国の国王や代表たち全員が椅子に座る。
その集まった主な国王や代表たちとは、
1.アーサンティラル王国からは、アーサンティラル国王とメルルスクリム王女が参加。 護衛にはルフラム護衛将軍と女剣士で侍女のアナデルが同行する。
2.臨王国からは、臨王が参加。 護衛には妄唇将軍と燈遁部隊長が同行する。
3.旧王国であるギドレファナス共和国からは、代表者のバーデハルドンが参加。 護衛にはレイドルノとダルラルダが同行する。
4.アンリールノエロンからは、代表者の『ワールドエルフ天蝎』の大賢者が参加。 護衛には『ノエロン城』のメイド(非武装員)たちの出張サービスが同行する。
5.デュラルリダス王国からは、デュラルン女王と母親のアロトリスが参加。 護衛には勇者アクナルスとメイドで侍女のベルロたちが同行する。
6.ロートアンリルス連合国からは、代表者のアテナが参加。 護衛には王護聖騎士のリーダー・ガルマンと皇守親衛騎士隊の将軍・ギアンデが同行する。
7.魔族の国からは、大魔王エリュドルスが参加。 護衛には大魔公デイラルスと大魔公ギロリルスが同行する。
8.『邪天侯城』からは、『神光聖者エリュニウス』が参加。 護衛はいない。
そこに遂に、この最初の大陸での国王や代表者たちが同じ円卓の椅子に座る。 ちなみに席順は時計回りに、1.~8.の順番に座っていて、その後ろに護衛が二人立つ。
こんな最初の大陸の中央上部某所にて、各国から国王・女王・代表たちが一堂に会する機会など、これが初めての事であり、なんと大魔王や神光聖者までも参加するなど、異例中の異例である。 まぁこれも偏に主催者であるアロトリスが尽力したお陰であろう。
「皆さま、本日お集まりいただき、まことにありがとうございます。 今日は是非、これを機に皆さまには、この大陸で起きた出来事や、この大陸にとって有益になる事などを、しっかりと共有していきたいと思います。」
まずは主催者であるアロトリスの挨拶から始まる。
「さて、先の戦いでは、遂に大魔王デスゴラグションがこの大陸にも侵略してきました。 ですが、ここにおられる大魔王エリュドルス殿や、先程この大陸を旅立ったヴァグドー殿たち一行が、なんとか撃退に成功しております。」
「………」
ここでアロトリスが大魔王エリュドルスの方を向いて会釈して、そんなエリュドルスも腕組みしながら会釈する。
「それと目的のモノであったヴァグドゥルスの『悪魔神の魂と心臓』の力も、彼らの封印の力で、なんとか死守することに成功しております。」
「………」
今度はアロトリスが神光聖者エリュニウスの方を向いて会釈して、そんなエリュニウスもニコリと微笑みながら会釈する。
「これを機に、私は大陸規模の軍隊の創設を検討しております。 各国から選ばれた精鋭で組織された、この大陸最強の部隊です。」
「ほーう、なるほど」
「それは魔族も魔物も入れて、という訳ですかな? アロトリス様」
「はい、そうです。 さらにいえばエルフや獣人などの亜種も関係なく、また一般人や貴族・王族などの階級の垣根も関係なく、全ての種族から選ばれた精鋭を組織した部隊の創設です。」
「それはまた壮大な計画ですな」
「確かに、果たして可能なのか、些か疑問ですな?」
「皆さんには、既にこの大陸が侵略寸前のところまで来ていた事をご存知ですか? もし仮に大魔王エリュドルス殿たちや、ヴァグドー殿たちが『東の岬』を死守してくれなければ、今頃は大魔王デスゴラグションがこの大陸を侵略して、なおかつ『悪魔神の魂と心臓』の力も入手したでしょう。 大魔王デスゴラグションはこの大陸だけでなく、他の大陸にも侵攻しており、遂に大魔王デスゴラグションによる世界征服が開始されたのです。」
「「「………」」」
このアロトリスの熱弁に、各国の国王や代表たちが萎縮して沈黙する。
「この大陸は他の大陸に比べて、正直いって、人間も亜種も魔族も魔物も、それほど対立しておらず、比較的に仲が良いと思います。 勿論、少し前までは、この大陸でも小規模ながら争い事は起きておりました。 しかしながら彼の登場で、それが一変しました。 争い事は一気に終息していき、魔族もより協力的になってくれました。 彼のここまでの功績は、まさに評価に値します。」
「「「………」」」
またアロトリスの熱弁で、各国の国王や代表たちが、みんな揃って、あの男の顔を思い浮かべる。
「私は彼のお陰で、今この大陸はひとつになろうとしています。 私はそんな彼の偉大さを評価して、また大魔王エリュドルス殿の助言も従い、この大陸の名前を正式に "ヴァグドー大陸" と名付けたいと思います。」
「「………」」
「「「おおお~~~!!!」」」
「そして、ヴァグドー殿を総司令・大元帥とした称号、"拳轟" をヴァグドー殿に与えた大陸最強部隊 "ヴァグドー軍" の創設に着手したいと思います。」
「「「おおお~~~!!!」」」
「「………」」
「なるほど、あの男なら、最早種族も爵位も階級も職業も何も関係ない。 彼も自身を "ただの冒険者" と名乗っていたしな。」
「しかも、この大陸で、彼に勝る者もおるまい。 あの大魔王デスゴラグションでさえ撃退したのなら異論もない。」
「しかし、その彼は既にこの大陸を旅立ち、別の大陸へ向かったと聞いておるが?」
そんなバーデハルドンの質問に、続けて大魔王エリュドルスや神光聖者エリュニウスが答えてる。
「ヴァグドー公や勇者アドーレたち仲間は、この広大な世界へ見聞を広める為、あるいは更なる強さの向上を求めて旅立った。 それは敵が大魔王デスゴラグションだけではないからだ。 彼らの最終的な敵は、あの悪魔神トニトリエクルスなのだ。 その打倒の為にも、世界を知り、己を知り、強さを知る。 それが旅の目的」
「最終的な調整や統率などは、"拳轟" のヴァグドーに任せて、我々は彼の下で最大限の力を発揮する軍隊の編成をすればいい。 また規模としては、最低でも20万の規模は欲しいところだな。」
「まだ強くなるつもりなのか?」
「ほーう、20万のヴァグドー軍か」
「なるほど、それは確かに凄いモノですな」
「このヴァグドー軍の創設は、皆さまの協力が必要不可欠です。 何卒、ご協力をお願いします。」
「「「おおお~~~!!!」」」
「「「………」」」
その後も、あーでもないこーでもないと、各国の国王や代表たちの話し合いが続く。
●【謹賀新年】●
明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします。




