241、さらば、最初の大陸よ
●【No.241】●
ここはとある大陸の『東の岬』にて。
ここにヴァグドー・勇者アドーレ・悪魔神オリンデルス・大魔王エリュドルスの四人がみんなの所に戻る。 この後で『冥道郷』を守護するギロリルスも『東の岬』の地に来て合流する。
ようやく大魔王デスゴラグションの大陸侵略と〈地球神アクナディオス〉の目的実行を見事に阻止して安堵する。 これでまたしばらくは、この大陸への侵攻もできないだろう。
〇魔族側の生存者
①大魔王エリュドルス (S級)
②大魔公ウエルルス (A級・上位魔族)
③大魔公ギロリルス (A級・上位魔族)
④大魔公デイラルス (A級・上位魔族)
⑤大魔公テミラルス (A級・上位魔族)
〇魔族側の死亡者
⑥大魔公オブリルス (A級・上位魔族)
⑦大魔公クノシルス (A級・上位魔族)
今回の戦闘で敗死したオブリルスとクノシルスの墓を『東の岬』の断崖絶壁の崖の上に作って供養する。 またテミラルスは引き続き、ヴァグドーたちと同行することになる。
カグツチやエクリバやニーグルン姫たちが大型船の中で待機して、ワシやアドーレやシャニルたちで、大魔王エリュドルスたちに最後の別れの挨拶をする。
「ワシらはもう行くぞ。
エリュドルスよ」
「ああ」
「色々とお世話になりました。
大魔王エリュドルスよ」
「ああ」
「とりあえずは東を目指すつもりだ。
エリュドルスよ」
「ああ」
「それじゃあねぇ~♪」
「ああ」
「それでは行って参ります。
大魔王様」
「ああ」
「あなたも頑張ってね。
テミラルス」
「うん、わかってる。 姉貴」
「次は何処の大陸に行くつもりだ?
ヴァグドー公よ」
「ここから東の大陸じゃ」
「ここから東の大陸か……。
なるほど、だから東を目指す訳か…」
「ふむ、そうじゃな」
(たしか、あの大魔王イザベリュータが支配・統括している大陸だったか……)
「ところでエリュドルスよ。
この大陸の名前は、なんと言う名前なのじゃ。」
「この大陸に名前はない。
この大陸の人間は、あまり他の大陸に行かないから名前など必要ないのだ。
だがしかし、あえて言うならば、さながらヴァグドー大陸と言うべきかな?」
「やれやれじゃな。
あの街だけでなく、遂にこの大陸にも、ワシの名前がつけられたか?」
「ははは、相変わらずだな。
冗談だよ、ヴァグドー公よ」
「それでは、そろそろ行くぞ。
エリュドルスよ、お前さんトコの魔族の国の訪問は、また今度じゃな。」
「それでは失礼します」
「じゃあな。 エリュドルスよ」
「じゃあねぇ~、みんなぁ~♪」
「ああ、しばしの別れだ。
最強のヴァグドー公よ」
ここにヴァグドーと大魔王エリュドルスが固く熱い握手をする。 この奇妙で不思議な友情関係が、今後とも彼らの助力となるだろうか。
そしてヴァグドーたち一行が再び大型船に乗り込んで、そのまま東の方へと船が進みだす。
「………」
またあの船が見えなくなると、大魔王エリュドルスが静かに後ろを振り向いて、ある場所を無言で見つめている。
〇大型船→東の大陸へ
①ヴァグドー(男.豪摩)
②カグツチ (女.剣士)
③ロンギルス(女.賢者)
④エクリバ (女.操師)
⑤ニーグルン(女.王女)
⑥ルドルス (男.将軍)
⑦アルベルス(男.賢者[仮])
⑧アルラトス(女.魔女[仮])
⑨シャニル (女.魔女)
⑩アドーレ (男.勇者)
⑪テミラルス(女.魔族)
⑫モモネ (女.勇者[仮])
⑬オリンデ (男.悪魔神)
※「オリンデ」→悪魔神オリンデルスの愛称
(※[何故、大魔王をはじめ、上位魔族のほとんどが、彼を "ヴァグドー公" と呼ぶのか? それは "ヴァグドー公" の公が勿論、公爵のことを意味しており、爵位・階級のある魔族の世界では、ヴァグドーのことを王爵の次に偉い公爵の地位で呼ばれていて、かなり偉いという。 全世界・全大陸共通認識だという])
━旧王国のギドレファナス共和国━
その国内の中央部にある、かつては王城だった跡地の廃墟の中の森の奥の方にある、鬱蒼とした森の一番奥で、ヴァグドゥルスの大きな古い墓石が置いてある墓所の上空に、あの神光聖者エリュニウスが浮かんでいる。
「さぁてと、エリュドルスの要請で、あの墓所周辺を上空から結界を張って、"正聖力の結界" を完成させろ…か」
そこで神光聖者エリュニウスが、地上のあの場所にエネルギーを注ぎ込むようにして、両手を身体の前方に突き出して、掌をヴァグドゥルスの墓石・墓所へ向けた。
「………」
ピッカァーーン!
すると、その墓石から突如として、一瞬だけだが眩い光を放った。
「これでよし…と。
ふふふ、これであの〈地球神アクナディオス〉は、まずこの私から殺害しなければならなくなった訳だな」
ここに来て、ヴァグドゥルスの墓石と墓所全体に、とてつもないヤバイ透明な "正聖力の結界" が張り巡らされてしまった。 これでこの結界を解くことは、理論上ほぼ不可能となった。 いかに『保険魔法』といえども、これは容易にはいかないようだ。
(※[正聖力の結界とは、大魔王エリュドルスが開発した正義と聖なる力の結界のこと。 基本的に全ての「邪悪業欲」なる者の侵入・攻撃・魔法等を阻害する究極の破邪結界であり、術者全員を殺害しなければ、この結界を解除することができない。 つまり、ヴァグドー・勇者アドーレ・悪魔神オリンデルス・大魔王エリュドルス・神光聖者エリュニウスの五人を殺害しないと、この結界は解除できないのだ!])
「今から楽しみだな。
さぁ…早くこい。
『保険魔法』が使用できる〈地球神アクナディオス〉よ」
そう言うと神光聖者エリュニウスが、そのまま何処かへ飛び去っていった。
ちなみに今回登場した〈地球神アクナディオス〉とは、一般的な温和で冷静な〈地球神アクナディオス〉とは全く違い、自分勝手で少し凶悪化しており、一般的な〈地球神アクナディオス〉が使用できるハズの特殊な吸収能力を持たずに、その代わりに『保険魔法』を使用する限られた選ばれし、邪悪な〈地球神アクナディオス〉の突然変異版であった。 それ故に、ヴァグドー相手に簡単にあっさりと敗北したのだ。 でも、もし一般的な特殊な吸収能力を有する〈地球神アクナディオス〉が相手だったら、さすがのヴァグドーでも果たして勝利できただろうか?
そのヴァグドーたち一行が最初の大陸を飛び出して、次なる目指す大陸は、はるか東の方にあり、その大陸とは、あの大魔王イザベリュータが支配・統括しているという噂の大陸である。
その大陸に向かう途中の船内のある一室では、相変わらずヴァグドーがある特訓をしていた。
それにしてもこの大陸を発つ最後の見送りが、よりによって大魔王エリュドルスとは、さすがはヴァグドーといったところか?
いずれにしても遂にヴァグドーたち一行が "最初の大陸" を出ていき、別の大陸へ旅立つ時が来たみたいだ。




