240、無敵の地球の護り神、遂に初敗北
●【No.240】●
ズゴォン!
なんと最強なハズの大魔王デスゴラグションの背中に、高速飛来してきた石頭ヴァグドーの頭突きが直撃。 もの凄い激突・衝突・衝撃で背中がヒビ割れ―――どころの騒ぎではなく、このヴァグドーの頭より若干小さい穴が少しだけ空いた。
ここに大魔王デスゴラグション=〈地球神アクナディオス〉が背後からやって来た強力なヴァグドーの強烈な頭突きに動揺・困惑する。
ぐがぁっ……な、にぃ……?
そ、そんなバカなぁ……?
し、しまったぁ……!
完全にヴァグドーを失念していたぁ……!
否、コイツらがワザとヴァグドーから注意を逸らした……と言うのか……?
このままだと……トドメを刺される……ぞ!
ヤバイ……マズイ……!
ここに来て、無敵のハズの〈地球神アクナディオス〉が、心の中で凄まじい勢いで考えを巡らせている。
するとここに、遂にホンモノの大魔王デスゴラグションの意識が乱入する。
―――〈地球神アクナディオス〉よ。
伝説の皇剣【無恩時の剣】を持って、こちらへ戻れ。
―――な、なんだとっ!?
ば、バカな……ここまで来て……アレを諦めろと言うのか……っ!?
―――そうだ。 このままだと……ヴァグドーによって、お前はトドメを刺されて……爆死させられるぞ!
急げ、伝説の皇剣【無恩時の剣】を持って、早くこちらへ戻れ!
だがしかし、自分は今……『保険魔法』が封じられていて、そちらへ戻れない。
―――心配ない。 こちらに考えがある。 さぁ、伝説の皇剣【無恩時の剣】を持って、早くこちらへ戻れ。
………。
その必要もないわ。
すぐにトドメを刺してくれるぞ!
………ッ!!?
な、なにぃっ!!?
なんとホンモノの大魔王デスゴラグションと『保険魔法』が使用できる〈地球神アクナディオス〉の意識の会話の最中に、突如として、あのヴァグドーも乱入してきた。
このままくたばれ!
『保険魔法』が使用できる危険な〈地球神アクナディオス〉よ!
……ッ!!?
いい加減にしろ!! 今回は諦めて早く戻れ!!
ちっ、ちくしょおおおおおぉぉぉーーーーっ!!!
(ふふふ、ワシだったら強制送還するけどな)
その大魔王デスゴラグションの背後から、一回転しながら裏拳のような右肘打ち【神納覇・登昇】を大魔王デスゴラグションの後頭部に叩き込む。
ドゴォン!
「トドメじゃ。 【神納覇・登昇】」
「「「「?」」」」
ここにヴァグドー・勇者アドーレ・悪魔神オリンデルス・大魔王エリュドルス・大魔女シャニルら強力な実力者にある違和感があった。
そのヴァグドーの【神納覇・登昇】が、大魔王デスゴラグションの頭部を破壊することに成功したけど、その時には既に伝説の皇剣【無恩時の剣】と〈地球神アクナディオス〉の姿が消えていた。
どうやら〈地球神アクナディオス〉が、伝説の皇剣【無恩時の剣】を持って、大魔王デスゴラグションの身体から離れて逃げたようだ。
「「「「ちっ!」」」」
ここにヴァグドー・勇者アドーレ・悪魔神オリンデルス・大魔王エリュドルス・大魔女シャニルら大魔王デスゴラグションの身体の近くにいた者たちが素早く後退・退避した。
ドッカァーーン!!
次の瞬間、背中に小さい穴が空き、頭部が破壊された大魔王デスゴラグションの身体が爆発した。 ここにニセモノの大魔王デスゴラグションとはいえ、遂に撃退することに成功したのだ。
○ [勝利]『天衣無縫』.VS.大魔王デスゴラグション (ニセモノ) [敗北] ●
◎【ヴァグドーや勇者アドーレや大魔王エリュドルスらによる連続攻撃により、大魔王デスゴラグション=〈地球神アクナディオス〉の撃退・逃亡に成功。 ドロップアイテム等なし】
ようやく『東の岬』での戦闘が終了して、ワシらが話し合いをする。
「逃げたのか?」
「………」
「ああ、そのようだな」
「逃げることも計画のうちか?」
「………」
「そうだ。 あのまま大魔王デスゴラグションとの戦闘を続行していたら、この地もどうなっていたか、解らんからな。 だから、とりあえず今回は撃退・逃亡に終始したのだ」
「………」
「なるほど、そうでしたか」
「相変わらず甘い大魔王だな」
「だが、またアレを奪いに襲ってくるだろう。 エリュドルスよ」
「ああ、その通りだ。 だから、こちらとしても計画の総仕上げをさせてもらう。 それでヴァグドー公よ。 彼の墓所は知っているか?」
「おう、まだ覚えておるわ」
「それでは案内を頼む」
「よかろう」
そこで大型船は『東の岬』に停泊させて、ワシ・アドーレ・オリンデルス・エリュドルスの四人だけで、旧王国であるギドレファナス共和国に入国した。 あとのシャニルやテミラルスやカグツチたちに、ウエルルスやデイラルスたちは『東の岬』で待機じゃ。 ここで必要なのは、ヴァグドー・勇者アドーレ・悪魔神オリンデルス・大魔王エリュドルスの四人だけなのじゃ。
━旧王国のギドレファナス共和国━
このワシたち四人は国内の中央部にある、かつては王城だった跡地の廃墟の中の森の奥の方まで、案内役のワシを先頭に四人が歩いていき、鬱蒼としている森の一番奥で、遂にヴァグドゥルスの大きな古い墓石が置いてある墓所まで到着した。
「おう、ここじゃ」
「はい、ここですね」
「ほーう、ここがヴァグドゥルスの墓所か。 唯一ヴァグドーの案内の下でしか辿り着けない墓場なのか?」
「さて、では早速だが作業にかかろうか」
「おう」「はい」「ああ」
そこでエリュドルスとオリンデルスに、アドーレとワシの四人が、その大きくて古いヴァグドゥルスの墓石を中心にして、四方に分かれて立つ。 その四人が同時に、まるで墓石にエネルギーを注ぎ込むみたいな感じで、両手を身体の前方に突き出して、掌を墓石の方へ向けた。
「これからお前さんの墓に結界をかけさせてもらうぞ。 ヴァグドゥルスよ」
「ご心配には及びません。
この結界は「邪悪業欲」な者だけを近づけない結界であり、あなたを慕う者には関係なく、自由に出入りできますから」
「全く、随分と都合のいい結界を作り出したものだな。 エリュドルスも」
「さぁ、ヴァグドゥルスよ。
これで今度こそ、誰にも邪魔されず、永遠に安からに眠るがいい」
ピッカァーーン!
すると、その墓石から突如として眩い光が放たれた。
「「「「………」」」」
……カァァァ―――
その眩い光が消える頃には、また元の普通のただの大きな古い墓石に戻っていた。
「これで終わりか?」
「はい、結界はしっかりかかっていますよ。 ヴァグドーさん」
「ああ、これでいかに〈地球神アクナディオス〉といえども、そう簡単には攻められないバスだぞ」
「これでヴァグドー公と勇者アドーレに、悪魔神オリンデルスと余の四人を殺さない限り、この結界はもう消えたりしない」
このヴァグドゥルスの墓所全体に、最強四天王の透明な "正聖力の結界" が張り巡らされていて、これで「邪悪業欲」なる者だけは近寄れず、攻撃もできないらしい。
(※「邪悪業欲」とは、邪なる者・悪意ある者・業強き者・欲望高き者の総称)
「さぁて、みんなの所に戻るとするかな」
「はい、そうですね。
これでいよいよこの大陸ともお別れですね」
「この大陸……」
「よし、これで少なくとも〈地球神アクナディオス〉は、まず余たち四人を殺さねばならんから、全員が散ってしまえば、それだけアレの入手が遅れることになる。」
「………」
こうして、役目を果たしたワシたち四人は、再び『東の岬』まで戻っていった。
普通一般的に考えて、弱小の主人公がどんどん強くなっていくものだが、もう既に主人公が最強無双な為、逆に敵の方が弱いままの状態から、どんどん強くなっていく。




