20、決戦前夜
ヴァグドー、しばしの休息である。
●【No.020】●
「…お母さん…」
主人は後ろを振り向いて、
「…アミラ…」
…と、言っていた。
ギルドの奥の方から現れてきたおそらくは、この街で一番の美貌の持ち主であろう「アミラ」という名前の女性は、どうやらこのギルドの主人の娘のようである。
「お母さん!! 私は "あいつ" のお嫁なんかに、いきたくありませんっ!!」
アミラは凄い剣幕で母親主人に言い寄っていた。
「…仕方ないんだよ… 本当は私だって "あいつ" なんかに、お前をやりたくはないんだよ… でも… "あいつ" を倒せるヤツなんて、いないんだよ…」
「………うっ…うぅっ…」
アミラは泣きながら崩れ落ちるようにしゃがんでしまった。
「…アミラ!」
母親主人はアミラを抱きしめていた。
その様子を見ていたカグツチがヴァグドーに話しかけてきた。
「…何か…あったのでしょうか? 師匠」
「ふん、知らんな」
「…え? 気にならないのですか? ヴァグドー様」
「ふん、興味がない」
「………」
カグツチとロンギルスは二人共に無言でいた。
「さぁ、そんなコトよりも明日の夜に備えて、今夜はゆっくりと休むかの。 食事をして宿屋にいくぞ!」
「…はい…」
ヴァグドーたち三人はギルド冒険商を出ていった。
ヴァグドーたち三人は、この街の肉料理店に行き肉料理をたらふく食べてから、夜になって宿屋の方へと向かっていった。
ヴァグドーたち三人が、宿屋に泊まるにあたり一部屋しか予約していなかったのだが、カグツチとロンギルスは二人共に反対も拒否も、嫌がる素振りすら見せなかった。
宿泊部屋のドアを開けると室内は、左端に細長ソファーがあり中央にテーブルがあり右端にベッドがあり、奥の方には窓があってその下には小さな机と椅子がある、比較的に広い部屋であり三人でも充分に泊まれる部屋である。(別室にはシャワーやトイレも完備されている)
ワシは二人の娘に言った。
「おい、お前さんたちはシャワーを浴びてきなさい。」
「はい、判りました。」
二人はシャワー室の中に入っていった。
ワシはソファーに枕と毛布を置いて寝る準備をしていると、二人が話しをしながらシャワーを浴び終えていて、ワシが居る部屋に戻ってきていたのじゃ。
その二人の娘の姿が、
カグツチはピンク色のブラジャーにピンク色で両脇が紐で結ばれているパンティーの下着姿であった。
ロンギルスは純白のブラジャーに純白のパンティーの下着姿であった。
ちなみに二人共にかなり大きな胸をしている。
二人の娘はまだ身体中に、少しだけ水滴が残っている凄く色っぽい格好で、タオルを両肩にかけて現れていて、二人共にヴァグドーの方を見てニコリと微笑んでいた。
ワシは平然とした態度で、二人の娘に淡々と質問した。
「何故、二人共に下着姿なのじゃ? 風邪ひくぞ!」
「わ、私はこの格好のほうが寝やすいので、いつもこの格好で寝ています。 あ、あとは緊急時には、すぐに鎧を身に付けられますから…これでいいのです。」
「わ、私もカグツチさんとお、同じ理由です。」
「そうか? まぁ、風邪だけはひくなよ。 二人共」
「はい、判りました。」
二人はベッドの中に入っていった。
二人の娘は明らかに、ワシを誘惑している様に見えていたが、ワシは気にしない。
ワシがソファーで眠ろうとしていると、カグツチが突然―――
「えっ!? 一緒に寝てくれないのですか!? 師匠」
…と、驚愕していた。
ワシは普段通りで、さも当然の様に反論した。
「当たり前じゃ! お前たち二人はどう見ても二人用のそのフカフカのベッドで眠れ! ワシはこっちのソファーで眠る!」
「は…はい、判りました。 おやすみなさい 師匠」
「残念ですが、今回は諦めますね。 おやすみなさい ヴァグドー様」
「…おやすみ…」
二人はそのまま眠ってしまった。
ヴァグドーは仰向けで寝ていて、天井を眺めながら何かを考えていた。
「ふふふ、明日の夜が勝負じゃな。 必ず決めてみせるぞ!」
ヴァグドーが明日の夜には "地獄の翼" の攻略に挑む予定であった。
ヴァグドー、次回にはどう出るのかっ!?




