234、遂に大魔王エリュドルス復活!
●【No.234】●
この〈地球神アクナディオス〉が地球で言うトコの地球の護り神〈アクナディオス〉であるコトは既に知っていよう? さらに言うなら地球の護り神〈アクナディオス〉=〈地球神アクナディオス〉には、ある能力があるコトも知っていよう? それが―――
あの『保険魔法』である。
大魔王デスゴラグションの肉体から離れた〈地球神アクナディオス〉が遥か上空を『冥道郷』へ向けて高速飛行していた。
確かに普通の〈地球神アクナディオス〉では取り憑いた宿主から離れる事は容易ではないはず。 だがしかし、自分にはあの『保険魔法』がある。 この魔法効果により、短時間ではあるけど、宿主から離れて自由に飛び回ることができる。 だからせめてこの能力でアレのある場所を確認してから、元の宿主の肉体に戻り、改めてその宿主の肉体を使って取りに行く方法しかあるまい。
………。
………。
あの大魔王エリュドルスが、もしかしてこの事に気づいているかもしれない。 頭の回転が異様に早い魔族だと、以前どこかの誰かに聞いた覚えがある。 さすがにまだ『保険魔法』の存在については知らないだろうけど、自分が既に大魔王デスゴラグションの肉体から離れて、何処かへ行ったことくらいはもう気づいてるはずだ。 あまり時間はかけられない。
急ぎアレの所在をつかまなければ……っ!!
そう思った〈地球神アクナディオス〉がさらにスピードを上げて、その眼下に広がる『冥道郷』を通過しようとした、まさに―――その時だった。
ズザザザザザァァァ―――
『ッ!!?』
なんと〈地球神アクナディオス〉が飛んでる目の前に "黒い人影" が突如として現れて、さらに〈地球神アクナディオス〉の周囲を沢山の "黒い人影" が包囲している。
『こッ、これはッ!!?』
「ここから先へは行かさん!」
『な、何ッ!!?』
なんと〈地球神アクナディオス〉の周囲を取り囲んでいる "黒い人影" の前方の先には、巨大な怪鳥の上に乗った鎧の騎士・大魔公ギロリルスが待ち構えていた。
『キ、貴様はギロリルスッ!?』
「やはり我の事も知っていたか、流石だ」
『キ、貴様ァ! 自分が視えるのかァ!?』
「無論だ! 〈地球神アクナディオス〉よ」
『キッ! おのれ、こんな所まで伏兵を用意していたか! 大魔王エリュドルスめ!』
「愚か者め! 当然の伏兵だ! それにも気づかぬとは、まさに愚か者よ!」
『ギッ!』
「さあ、シャドー・エイフマン共よ!
そいつを取り囲め!」
「ウギャギャギャッ、ノコノコノコノコォッ!!」
『………』
ここで黒い人影モンスターでギロリルスの忠臣 《シャドー・エイフマン》 約50体が素早く〈地球神アクナディオス〉を取り囲んでおり、遂に〈地球神アクナディオス〉は身動き取れなくなった。 これではさすがの〈地球神アクナディオス〉でもどうすることもできない。
「ふふふ、我がシャドー・エイフマンは影―――貴様と同じくして実体を持たぬ。 故に攻撃しても無駄だ。 貴様に魔法が使えるとは思えぬが無論、魔法で攻撃しても無駄だ。 さて、どうする?」
『ヒヒヒ、ならば自分を攻撃できないと言うことか? そちらこそ一体どうするなんだ? ヒヒヒ』
「………」
『……?』
「ふふふ、我々は何もしない。 ただ貴様を取り囲んで身動き取れなくするだけだ。」
『ヒヒヒ、何? それは一体―――ま、まさかこれも時間稼ぎ……なのか……? ヒヒヒ』
「………」
ニヤリ!
フルフェイスの兜を被っているので、ギロリルスの素顔を見ることはできないけど、明らかに "こちらの思い通りにいってる" といった様な笑いを感じた。
なんと大魔王エリュドルスの作戦通りに、この『冥道郷』の上空で、あの〈地球神アクナディオス〉が足止めをくらう事になった。
一方、こちらは『東の岬』でのコト。
まず大魔公ウエルルスとシル・バニーオン・ズドが一対一で戦闘中。 それと大魔王エリュドルスは《スライム・ソルジャーマン》の鉄壁の "鉄円の陣形" に守られながら大魔公デイラルスの回復魔法 《ヒール・エンジェル・ミカエル》 で体力を回復特技 《大魔法力再生祝祭》で魔法力を、それぞれ回復してもらっている。 もうまもなく全快となる。
ガッキィーーン!
そのシル・バニーオン・ズドが右手甲の隠し装置からは、銀色の鋼鉄の刃を突き出して、ウエルルスに斬りかかる。
一方のウエルルスも右手を手刀にして、その手刀から "白色の剣形エネルギー魔力刀"《ホワイト・マジックブレイド》を発生させて、それでシル・バニーオン・ズドの刃を受け止める。
ガッキィーーン!
まだウエルルスとシル・バニーオン・ズドが、お互いに刃を交えて互角の勝負をしている。
「………」
『クッ、しぶとい』
自分と実力が互角の相手に、さすがのシル・バニーオン・ズドも苦戦している。 これではただいたずらに時間が過ぎていくだけだ。
パアァァア―――
そして、遂に―――
「ふふふ、よーーし!!」
大魔王エリュドルス完全復活!
「これで余の身体のダメージも体力も魔法力も完全に回復したぞ。
でかしたデイラルス!」
「はっ、もったいないお言葉……ありがとうございます。」
「そなたはこの中で休んでいろ」
「はい、判りました。 エリュドルス様」
「よし、行くぞ!」
スゥー、フッ!
すると大魔王エリュドルスが立ち上がり、その場ですぐに姿が消えてしまい、丁度ウエルルスとシル・バニーオン・ズドが戦ってる場所に突如として現れた。
『ッ!!?』
「おお、エリュドルス様が復活された!」
「待たせたなウエルルスよ。
さっさとこやつを倒すぞ!」
「はっ、仰せのままに!」
これで形勢逆転である。
大魔王エリュドルスが戦線にも復活した。 これでさすがのシル・バニーオン・ズドでも二対一の戦闘を強いられてしまい、しかも、その内の一人があの大魔王エリュドルスである。
対面にいるウエルルスと激烈接近戦を仕掛けたせいで、背後から現れた大魔王エリュドルスまで攻撃できない。
『クソッ、そんなァ―――』
「ふん、ぬうううっ!」
そこで大魔王エリュドルスが素早くシル・バニーオン・ズドとの間合いを詰めて、右拳に "深紫色の小型球体と、その周囲を纏う灰色の火花" の《アサルト・リベンジ・リベリオン》の大魔王闘気を集中・収束させる。 これなら剣先からではなく、拳からだと威力はかなり落ちるけど、体力や魔法力などの全エネルギーを使い果たす必要がなくなる。
その右拳を素早くシル・バニーオン・ズドの後頭部にぶつける。
ビュッ、ズドォッ!
「くらえ、アサルト・リベンジ・リベリオン!!」
『ウガァッ!!?』
ズバァーン!
大魔王エリュドルスの《アサルト・リベンジ・リベリオン》の右拳がシル・バニーオン・ズドの後頭部へ激しく直撃。 遂にシル・バニーオン・ズドの頭部への破壊に成功。
「ウエルルス! 退避だ!」
「はっ!」
「これで終わりだシル・バニーオン・ズドよ!」
すぐに大魔王エリュドルスの命令で、ウエルルスが素早く退避して、大魔王エリュドルス自身も素早く退避する。
ドッカァーーン!
すると、その直後にシル・バニーオン・ズドの身体が爆発を起こし粉々になった。 これでようやくシル・バニーオン・ズドは全員倒したけど、相変わらず大魔王デスゴラグションは黙って突っ立っていて、ただ見つめてるだけだった。
シル・バニーオン・ズド③.対.大魔王エリュドルス
↓
○【大魔王エリュドルスの勝利】
●【シル・バニーオン・ズド③の敗北 ━ 戦闘不能 → ドロップアイテム等無し】
ここに来て、ようやく大魔王エリュドルスも完全復活したようだな。