228、シル・バニーオン・ズド:6
●【No.228】●
ここはとある大陸の『東の岬』である。
ここには、この『東の岬』を防衛するクノシルスとデイラルスの大魔公と《リバーシュートマリアンヌR》と呼ばれる魔物が数体残っているだけ。
そこに大魔王エリュドルスが救援の為、この『東の岬』に到着した。
この《リバーシュートマリアンヌR》とは、巨大な石像モンスターである。 約4mはあるだろう古代男性の石像であり、魔法や武器や息なども一切使用せずに、拳や蹴りだけの攻撃をしてくる接近パワーファイターである。
一方の大魔王デスゴラグションの先行精鋭部隊側は、先行精鋭部隊のリーダー格の上位魔族と二体のシル・バニーオン・ズドの総数三名のみが『東の岬』に到着した。
戦力的にはほぼ互角。
ここで大魔王エリュドルスがシル・バニーオン・ズドを睨みながらクノシルスに質問した。
「おい、クノシルスよ。 オブリルスはどうした?」
「はい、善戦虚しく敗死しました。」
「そうか、よくやった……と、彼に伝えておこう」
「はっ、彼も喜ぶでしょう」
「あとはあいつらを倒すのみだ。 行くぞ、クノシルスよ」
「はっ、お供します。 大魔王様」
そこで大魔王エリュドルスがクノシルスや《リバーシュートマリアンヌR》の数体を引き連れて、大魔王デスゴラグションの先行精鋭部隊の方へ突っ込んでいく。 ちなみにデイラルスだけは、その場から動いていない。
ここで遂に大魔王エリュドルスの『東の岬』防衛部隊と大魔王デスゴラグションの先行精鋭部隊が激突した。
そこに強力な魔物《リバーシュートマリアンヌR》がシル・バニーオン・ズドに襲いかかる。
その《リバーシュートマリアンヌR》の豪腕なる強烈な拳で、強敵シル・バニーオン・ズドを殴りつける。
「ふんぬ、ふんぬ!」
ブン、ブン、ブン!
さらにクノシルスも左手を手刀にして、その手刀から "赤紫色の剣形エネルギー魔力刀"《バスター・マジックソード》を発生させて、それでシル・バニーオン・ズドに斬りつける。
「これでもくらえぇ!」
ブゥゥゥン、ジャキィィィン!
一方のシル・バニーオン・ズドも右手甲から飛び出た銀色の鋼鉄の刃で、クノシルスや《リバーシュートマリアンヌR》たちに応戦する。
そのクノシルスたちの近距離攻撃を銀色の鋼鉄刃で受け流し防いでいく。
―――ピピッ!
『………』
カキィーーン、カキィーーン!
その隙に大魔王エリュドルスは、先行精鋭部隊のリーダー格の上位魔族に襲いかかる。
大魔王エリュドルスが伝説の皇剣【終焉殺の剣】を取り出して、素早くこのリーダー格の上位魔族に斬りかかる。
「くらえぇっ!!」
「ヒイイィッ!!?」
当然、大魔王と上位魔族では勝負にもならず、そのリーダー格の上位魔族が立ったままの状態で、ただ怯えて震えてるだけ。
ガァキィーーン!
『………』
「………」
なんと、とっさにシル・バニーオン・ズドの一体が素早く、この怯えて震えるだけのリーダー格の上位魔族の前に立ち、すぐに銀色の鋼鉄刃で伝説の皇剣【終焉殺の剣】の刃を防ぐ。
この後も大魔王エリュドルスが何度も素早く伝説の皇剣【終焉殺の剣】で、そのリーダー格の上位魔族に斬りかかろうとするけど、その前に立って銀色の鋼鉄刃で防ぎきるシル・バニーオン・ズド。 その様子は「まるで」というよりも、ほぼ間違いなく先行精鋭部隊のリーダー格の上位魔族を守っている。
「……何故だ? 何故コイツらはここまでして自分を守る?」
「ふふふ、やはりな。 読めたぞ、何故そなたを守るのか。 そなたは大魔王デスゴラグションの到着場所だよ」
「な、何っ!!?」
『………』
「そなたを媒体として、大魔王デスゴラグションがそなたを上書き吸収して、そなたの居る場所まで到着する。 上書き吸収されたそなたは大魔王デスゴラグションの血肉となる。 いわゆる『置換式瞬間移動』とでも言うべきか」
「な、なんだとっ!!?」
「そ、そんなことが可能なのですか? エリュドルス様」
「不可能だ。 ―――普通はな。 だが印をつければ可能だ」
(おそらく、これも〈地球神アクナディオス〉の力というべきか。 ―――ちっ、もう何でもアリだな)
「……印……だと!?」
「そうだ。 そなたはここに来る前に何かされたか? 例えば変な魔法陣に入れられたり―――」
「あっ、えっ、まっ、まさか……っ!!?」
「ふふふ、心当たりアリだな」
「チクショウゥゥゥッ、おのれぇぇぇっ!!!」
すると、なんとリーダー格の上位魔族が自分の目の前にいるシル・バニーオン・ズドに襲いかかる。
「チクショウ! 我々を捨て駒にするにも程があるぞ! そんなことの為に、どれだけの同胞を犠牲にすれば気が済むんだぁーーーっ!!」
『………』
「ふん、バカめ。 上位魔族が同胞の心配をするとは、なんとマヌケめが」
そのリーダー格の上位魔族がシル・バニーオン・ズドに攻撃するけど、全く動じず全く効かず、ただ平然・呆然と立ち尽くすだけ。 また大魔王エリュドルスも、バカなリーダー格の上位魔族に対して、同情するどころか貶している。
「ふんぬ、ふんぬ!」
その隙をついて、会話に一切関係ない《リバーシュートマリアンヌR》の四体が、油断したもう一体のシル・バニーオン・ズドの両腕・両足・首を、自慢の豪腕で素早く押さえつけた。 見かけによらず、素早い動きをする。 それを見た大魔王エリュドルスがクノシルスとデイラルスに指示をする。
「でかしたぞ、リバーシュートマリアンヌRよ! クノシルス、デイラルスよ! そこから離れよ!」
「「はっ」」
そこで大魔公二人が左側に緊急退避。
大魔王エリュドルスが伝説の皇剣【終焉殺の剣】を前方に構えた。
その伝説の皇剣【終焉殺の剣】の刃の剣先に、己の全魔法力と大魔王闘気を集中・収束させて、"深紫色の小型球体と、その周囲を纏う灰色の火花" を速攻で造り出し、それを《リバーシュートマリアンヌR》四体によって動きを封じられたシル・バニーオン・ズドの方へ向けた。
「あ……あの技は……?」
「まさか……アレを……?」
この技を見て驚く大魔公二人をよそに、
「くらえぇぇっ!!」
大魔王エリュドルスが伝説の皇剣【終焉殺の剣】の刃の剣先から、"深紫色の小型球体と、その周囲を纏う灰色の火花"《アサルト・リベンジ・リベリオン》を発射させた。
「アサルト・リベンジ・リベリオン!!」
ズドォン、ズボォッ、ドッカァーン!
その "深紫色の小型球体と、その周囲を纏う灰色の火花" が、もの凄い速度で押さえつけられてたシル・バニーオン・ズドの胸部を貫通。 胸部の心臓ともいうべき「奸核」が破壊された為、密着していた《リバーシュートマリアンヌR》四体を巻き込んで大爆発が起こり、遂にシル・バニーオン・ズドを破壊した。
この攻撃で《リバーシュートマリアンヌR》も全滅した為、この『東の岬』を防衛する者が、最高指揮官の大魔王エリュドルスを除くと、あとはもうクノシルスとデイラルスの二人だけになった。
一方の大魔王デスゴラグションの先行精鋭部隊側も大魔王エリュドルスの手によって、一体目のシル・バニーオン・ズドを撃破。 残るはもう一体のシル・バニーオン・ズドと先行精鋭部隊のリーダー格の上位魔族だけとなった。
シル・バニーオン・ズド②.対.大魔王エリュドルス
↓
○【大魔王エリュドルスの勝利】
●【シル・バニーオン・ズド②の敗北 ━ 戦闘不能 → ドロップアイテム等無し】
「ふふふ、余の全魔力・大魔王闘気・全ての力を注いだ最高の必殺技・アサルト・リベンジ・リベリオン。 いかにシル・バニーオン・ズドでもひとたまりもあるまい。」
「「………」」
「………」
『………』
大魔王エリュドルスの発言に、全員が無言となる中、遂にこのリーダー格の上位魔族の身体に異変が―――
ドクンッ!
「……ッ!? うっ……うわあああああああぁぁぁぁ―――」
「遂に始まったか」
―――ピピッ!
『オオ、始まった』
突如として、苦しみだした先行精鋭部隊のリーダー格の上位魔族。
果たして本当に大魔王デスゴラグションがここに来るのか?
この《アサルト・リベンジ・リベリオン》とは、大魔王エリュドルスの最大級の必殺技。 高速発射と貫通能力に主眼を置いてる為、あまり威力は高くなく爆発などは起きないものの、全魔法力と大魔王闘気を使用する為、連射及び他の攻撃が一切できない。 まさに最大にして最終攻撃だ。
シル・バニーオン・ズド二体目撃破。
大魔王エリュドルスは少しの間、戦力外通告。
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